2016年度工学院大学 建築学部建築デザイン学科

建築再生論(Renovation and Reuse of Architecture)[3B16]

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2単位
中島 智章 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
澤岡 清秀 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
大内田 史郎 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
 近年、社会の持続性をめぐる関心から、スクラップ・アンド・ビルドではなく、既存の建築をストックとして活用する「建築再生」という建築の営みが注目されている。本科目では「建築再生」、あるいは歴史的建造物の保存・活用をめぐる歴史、思想、制度を学び、さらに現在における建築の保存・再生の事例について理解を深める。

<受講にあたっての前提条件>
 既習科目、または並行履修科目についての前提条件は特にないが、西洋建築史、近代建築史、日本建築史の単位を修得していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
1) 近世以前の建築再生の様々なあり方を理解し、その知識を適用して近世以前の建築再生事例を分析・評価できるようになる。
2) 近代以降に展開されてきた建築保存・活用をめぐる思想・制度を理解し、その知識を適用して近代以降の建築再生事例を分析・評価できるようになる。
3) 現在における建築の保存・再生の諸事例を理解し、その知識を適用して現代における建築再生事例を分析・評価できるようになる。

<授業計画及び準備学習>
1. 古代ギリシア・ローマ建築の破壊と再生(中島(智))
 古代ギリシア・ローマ建築がどのように現在まで残ってきたかを事例を通じて理解する。
 準備学習:西洋建築史で学んだ古代ギリシア・ローマ建築についての知識の復習
2. フランスの各王朝の永続性重視の考え方と建築保存(中島(智))
 ルーヴル宮殿とヴェルサイユ宮殿を例に、建築が保存されること自体の意味を理解する。
 準備学習:第2回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
3. ミュージアム建築の誕生と歴史的建造物の保存・活用(中島(智))
 近世以前の建築の近代におけるミュージアムへの転用事例についての理解を深める。
 準備学習:第3回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
4. 歴史的記念建造物委員会とヴィオレ=ル=デュク(中島(智))
 世界に先駆けて歴史的建造物の保存制度を始めたフランスの制度について理解する。
 準備学習:第4回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
5. 現在における建築再生の事例1(大内田)
 現在における建築再生の事例についての理解を深める。
 準備学習:第5回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
6. 現在における建築再生の事例2(大内田)
 現在における建築再生の事例についての理解を深める。
 準備学習:第6回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
7. アテネ憲章における歴史性と芸術性(中島(智))
 歴史的建造物の価値として歴史的価値と芸術的価値が考えられることを理解する。
 準備学習:第7回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
8. ヴェネツィア憲章とイコモスの成立(中島(智))
 歴史的建造物の「オーセンティシティ」という概念を理解する。
 準備学習:第8回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
9. 日本における歴史的建造物の保存の歴史(中島(智))
 第2次世界大戦以前のわが国の歴史的建造物保存制度について理解する。
 準備学習:第9回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
10. 文化財保護法の成立と変遷(中島(智))
 第2次世界大戦後のわが国の歴史的建造物保存制度について理解する。
 準備学習:第10回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
11. ユネスコの活動と世界遺産条約(中島(智))
 世界遺産(文化遺産)をめぐる制度について理解する。
 準備学習:第11回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
12. 保存再生のデザイン的側面-1(澤岡)
 保存再生のデザイン的側面について事例を通じて理解を深める。
 準備学習:第12回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
13. 保存再生のデザイン的側面-2(澤岡)
 保存再生のデザイン的側面について事例を通じて理解を深める。
 準備学習:第13回授業レジュメを熟読し、例題を解く。
14. 学習内容の振り返り(中島(智))
 準備学習:前回までの総復習を行う。

<成績評価方法>
 最終レポートを出題し、それによって最終成績を評価する。最終レポート課題の得点が60点以上の者に単位を認定する。ただし、履修生数が40名を超える場合、レポートではなく定期試験を実施し、その得点が60点以上の者に単位を認定する。

<教科書>
 指定教科書なし。
 キューポートの「共有フォルダ→170建築系学科フォルダ→授業資料フォルダー→建築再生論」にアップロードされた資料を、あらかじめダウンロードすること。

<参考書>
伊藤延男他:『新建築学大系50 歴史的建造物の保存』、彰国社
その他、各回レジュメに参考文献・論文を明記している。

<オフィスアワー>
時間:前期金曜日の17:30〜18:00
場所:新宿キャンパス高層棟9階設計準備室
その他、簡単な質問は授業前後に教室でも受け付ける。

<学生へのメッセージ>
 様々な建築再生の試みが為されてはいるが、今もなお、多くの歴史的建造物が次々に姿を消している。学生諸君にはなるべく多くの歴史的建造物を、みられる内にみておいてもらいたい。いつでもみられると思っているといつの間にか消えてしまっていることも多いものである。

<備 考>
 授業の情報はキューポートに随時掲載するので、頻繁にキューポートを確認すること。キューポートの通知をメイル転送する場合は、携帯キャリア・メイルは絶対に避けること。また、下記サイトにも掲示することがある。

<参考ホームページアドレス>
https://www.facebook.com/cours.nakashima.tomoaki


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