2016年度工学院大学 建築学部建築学科
木質構造(Timber Structure)[3E14]
2単位 河合 直人 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい>
- 我が国には木造建築の長い歴史があり、現在でも戸建て住宅の多くは木造である。また、近年、4階建てなどの中層木造や学校などの大規模木造も建てられている。こうした木造建築物の構造(木質構造)には、木材等の材料特性の類似性により、構造の考え方にも多くの共通点が見られる。この科目では、木材や木質材料の特性、各種の木質構造の構法と構造的特徴、木質構造、特に住宅系の構造設計の概要を理解する。あわせて伝統構法、住宅以外の大規模木造、及び新しい技術などについて幅広い知識を得る。
- <受講にあたっての前提条件>
- 構造についての高度な知識は不要であるが、伝統的な木造建築物から最新の技術まで幅広く関心を持つことが望ましい。
- <具体的な到達目標>
- 木質構造に用いられる材料の種類と特徴、木質構造の各種荷重に対する挙動など、基本的な事項を理解した上で、木質系住宅で用いられる壁量計算その他の簡易な設計方法を習得すること。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.木質構造の概要
概論として木質構造の特徴、構法の分類、今日の課題などの知識を習得する。 準備学習:これまでに建築構法などで学んだ木質構造についての復習をしておく。 2.材料と接合法 木質構造に用いられる木材、木質材料の種類と特徴、接合部の種類と特徴についての知識を習得する。 準備学習:配付資料を読んで予習する。 3.構造設計体系 規模等に応じて建築基準法で要求される構造計算の内容について理解する。 準備学習:配付資料を読んで予習する。 4.柱、はり等の部材 鉛直荷重を受ける柱、はり等の部材の設計法を、木質材料の特徴とともに理解する。 準備学習:配付資料を読んで予習する。 5.耐力壁と配置 木質構造の耐力壁の抵抗機構と壁量規定の考え方を理解する。 準備学習:配付資料を読んで予習する。 6.接合部 木質構造の構造設計において重要な接合部の種類と特徴、柱頭柱脚の接合部設計法を理解する。 準備学習:配付資料を読んで予習する。 7.地震被害−1 1995年から10年間の木質構造の地震被害と、振動実験による検証結果について学ぶ。 準備学習:参考書などから過去の木造建築物の地震被害を調べておく。 8.地震被害−2 2007年以降の地震被害、特に東北地方太平洋沖地震による被害から、地震動と被害の関係について学ぶ。 準備学習:参考書などから木質構造の地震被害と地震動の関係を調べておく。 9.木造住宅の耐震診断と耐震補強 既存木造住宅に対する耐震診断の方法および耐震補強の方法について学ぶ。 準備学習:配付資料を読んで予習しておく。 10.枠組壁工法、接着パネル構法 木造住宅として在来軸組構法に次いで多い枠組壁工法、および接着パネル構法の構造的特徴を学ぶ。 準備学習:配付資料を読んで予習しておく。 11.ログハウス、ハイブリッド構造 別荘などに使われるログハウスおよび近年中大規模建築で用いられるハイブリッド構造について学ぶ。 準備学習:配付資料を読んで予習しておく。近年建てられた木造と他構造の混構造の例を調べておく。 12.伝統構法 伝統構法による住宅・社寺建築(五重塔を含む)の構造的特徴、耐震性能、設計法について学ぶ。 準備学習:伝統的な民家や社寺建築がどのようにして地震に抵抗し得るか考察を加えておくこと。 13.中層大規模木造 中層木造・大規模木造の事例、振動実験例、新しい材料や構法などについて学ぶ。 準備学習:近年建てられた4階建て以上の木造や大規模木造について調べておく。 14.学習内容の振り返り
毎回、授業時間の最後に簡単な演習問題を解いて時間内に提出する。 また、授業の進行に合わせて2回程度のレポート課題を提出する。
- <成績評価方法>
- 成績評価は演習問題の提出状況、レポート課題、定期試験による。
定期試験では、主として木質構造に用いられる材料や各種の木質構造に関する基本的な知識と、壁量計算その他の簡易な設計方法の習得状況を確認する。定期試験の得点A(100点満点)、演習問題の提出状況+レポート課題の得点B(20点満点)とし、Aと(0.8A+B)の大きい方を評価点とする。
- <教科書>
- Ku-port上で事前に資料を配付する
- <参考書>
- 「新・木質構造建築読本」:木質構造研究会編、特定非営利活動法人木未来発行、井上書院発売
- <オフィスアワー>
- 火曜日16:00〜17:00 新宿25階A-2517建築構造研究室4(河合研究室)
- <学生へのメッセージ>
- 木質構造は一見簡単なようで奥が深い構造です。将来、木質構造に関係することになる学生も多いと思います。構造が得意でなくても、興味があれば履修・内容修得が可能な授業内容としていますので、多くの学生の受講を期待しています。
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