2016年度工学院大学 第1部情報通信工学科

科学と哲学(Science and Philosophy)[5E10]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
草野  章 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
「もの」と「こころ」の問題を軸として、受講者に科学的思考と哲学的思考の特徴と差異を把握させること。

<受講にあたっての前提条件>
特に無し。但し、鉛筆やシャープペンシル等の筆記用具の正しい持ち方ができること。

<具体的な到達目標>
「もの」は様々に規定可能であることを理解する。
原子論の思想を哲学的背景から理解する。
ゼノンのパラドクスの真意を理解する。
古代哲学における「こころ」の解釈を理解する。
近世哲学のパラダイムである物心二元論における「こころ」の解釈を理解する。
人間の「こころ」と動物の「こころ」の差異について考察を深める。

<授業計画及び準備学習>
授業は大凡以下の順序で進められる。

1.「もの」の様々な規定の仕方
  原子論、形相質料二元論、観念論等の立場の違いにより、「もの」の規定に差異が生じることを解説する。
  準備学習:特に必要としない。
2.古代原子論の思想的特徴と思想史的意義
  古代原子論の思想的特徴と思想史的意義について概説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
3.古代原子論における「もの」の捉え方
  古代原子論において「もの」の差異はどのように説明されていたかを解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
4.古代原子論出現の理由と背景
  電子顕微鏡が存在しなかった時代に原子論が出現した理由と背景、そして原子論が廃れていった
  理由について解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
5.古代原子論における「こころ」と倫理
  古代原子論において「こころ」はどのようなものと捉えられていたか、倫理的問題はどのように
  考えられていたかを解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
6.ゼノンのパラドクス(1)
  古代原子論出現の布石の1つとなった、ゼノンの4つのパラドクスの真意と意義を概説し、第1パラドクスと  第2パラドクスについて解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
7.ゼノンのパラドクス(2)
  ゼノンの第3パラドクスと第4パラドクスについて解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
8.「こころ」のプラトンモデル
  西洋における「こころ」の考察の雛型となったプラトンモデルについて解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
9.アリストテレスにおける「こころ」の考察(1)
  プラトンモデルとは異なった、アリストテレスの「こころ」解釈の独自性とその意義について解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
10.アリストテレスにおける「こころ」の考察(2)
  アリストテレスの形相質料説に基づく心身の関係について解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。   
11.近世哲学における「こころ」と「もの」の問題(1)
  近世哲学において「こころ」と「もの」の厳格な区別を説くデカルトの物心二元論について解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
12.近世哲学における「こころ」と「もの」の問題(2)
  物心二元論に潜む難問と、それが先鋭化する心身問題について解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
13.動物の「こころ」と人間の「こころ」の連続性・非連続性
  動物の「こころ」を廻る、アリストテレスとデカルトの見解の異同について解説し、
  併せて定期試験受験上の留意点について解説する。
  準備学習:前回までの講義内容を復習し、自分なりにノートにまとめておく。
14.今期の学習内容の振り返り
  今期の学習内容と定期試験を振り返る。
  準備学習:今期の学習内容と定期試験を自分なりに振り返っておく。

<成績評価方法>
受講者のきちんとした出席を不可欠の前提とした上で、定期試験の成績(90%)に、授業中の小レポート等の成績(10%)を加味して総合的に評価し、60点以上の者に単位を認定する(2015年度以降入学の学生の場合には、Grade D 以上の者に単位を認める)。成績評価方法及び水準の詳細については初回授業時に説明するので、
必ず出席すること。

<教科書>
指定教科書無し。
プリントや電子教材等を適宜配布する。

<参考書>
指定参考書は無いが、授業の中で関連参考図書を紹介する。

<オフィスアワー>
八王子校舎総合教育棟1E−301号室 水曜日 17:30〜18:00
新宿校舎 A−2745号室 金曜日 13:00〜13:30
授業出席等で上記日時の都合がつかない場合は、日時変更の相談に応じるので、ft21971@ns.kogakuin.ac.jp宛に連絡を入れること。

<学生へのメッセージ>
「科学」という言葉に信仰にも似た思いを抱く人が多いようですが、科学的な「説明」が実在のすべての「説明」を引き受けるものではないということにも気がついて欲しいと思います。今、「実在」という言葉を使ってしまいましたが、その意味を考えておいて下さい。


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