△デジタル信号処理（Digital Signal Processing）[3L09]

＜授業のねらい＞

この講義では、アナログとディジタルといわれる連続時間信号と離散時間信号を通して、信号処理システムの一般的な解析方法を学びます。そして、ディジタル信号処理の基礎理論として重要な標本化定理を理解することを前提に、離散フーリエ変換（ＤＦＴ）、高速フーリエ変換（ＦＦＴ）のアルゴリズム、さらにディジタルフィルタの設計理論についての知識を理解します。

＜受講にあたっての前提条件＞

情報通信工学科開講科目「電気数学演習」「回路理論I・II」「ディジタルメディア工学基礎」「複素関数論」の履修が望ましい。また、「過渡現象論」の受講が望ましい。

＜具体的な到達目標＞

連続時間・離散時間信号の意味を理解でき、そのフーリエ解析ができること。標本化定理の意味とその必要性について理解していること。高速フーリエ変換を理解していること。ＦＩＲとＩＩＲディジタルフィルタについて理解し、簡単なフィルタの設計ができること。

＜授業計画及び準備学習＞

1.　デジタル信号処理の概要(信号の分類と形態、２進数コード)
　準備学習（教科書）：第１章を熟読し、例題を解くこと。
2.　連続時間信号とフーリエ変換(三角フーリエ級数、複素フーリエ級数)
　準備学習（教科書）：2.1及び2.2を熟読し、例題を解くこと。
3.　連続時間信号とフーリエ変換(インパルス関数、フーリエ変換)
　準備学習（教科書）：2.4及び2.5を熟読し、例題を解くこと。
4.　連続時間システム(インパルス応答、畳込み積分)
　準備学習（教科書）：3.1及び3.2を熟読し、例題を解くこと。
5.　連続時間システム(ラプラス変換、伝達関数)
　準備学習（教科書）：3.3及び3.4を熟読し、例題を解くこと。
6.　連続時間信号の標本化(標本化定理、エイリアシング)
　準備学習（教科書）：4.1〜4.3を熟読し、例題を解くこと。
7.　離散時間信号とＺ変換(Ｚ変換とその性質、逆Ｚ変換)
　準備学習（教科書）：第5章を熟読し、例題を解くこと。
8.　離散時間システム(インパル応答、離散畳込み和、差分方程式)
　準備学習（教科書）：6.1及び6.2を熟読し、例題を解くこと。
9.　離散時間システム(伝達関数、システム関数、周波数特性)
　準備学習（教科書）：6.3〜6.5を熟読し、例題を解くこと。
10.　離散フーリエ変換(ＤＦＴ)
　準備学習（教科書）：第7章を熟読し、例題を解くこと。
11.　高速フーリエ変換(ＦＦＴ)
　準備学習（教科書）：8.1〜8.3を熟読し、例題を解くこと。
12.　ＦＩＲディジタルフィルタの設計(直線位相フィルタ、窓関数法)
　準備学習（教科書）：9.1〜9.3を熟読し、例題を解くこと。
13.　ＦＩＲとＩＩＲディジタルフィルタの設計(FIRフィルタの設計、アナログフィルタの設計、双一次変換法、周波数変換)
　準備学習（教科書）：9.4及び10.1〜10.3を熟読し、例題を解くこと。
14.　学習成果の確認（試験）
ただし、開講年次により講義で扱うテーマの変更もしく進捗状況を判断して修正する場合がありますが、その場合には講義などを通じて別途通知します。また、第13回目までの講義に必要となる準備学習については、事前に教科書の指定された箇所を読むなどの準備をして下さい。また必要となる場合には、講義時間中に理解を深めるための小テストを実施する場合があります。講義終了後には、講義で得た知識を基に、与えられた復習問題を解くことや、各自で不明箇所について復習して下さい。また，第14回目の講義における準備学習は，第13回目までの学習事項を復習しておいてください．

＜成績評価方法＞

小テスト（確認問題）、課題（復習問題）、定期(学期末)試験の結果で総合的に評価します。総合点で60点以上を合格とします。他の履修条件については、基本的に学生便覧の各種規程に従います。

＜教科書＞

「ディジタル信号処理」大類重範著（日本理工出版）

＜参考書＞

特に指定参考書はありません。既に多くの和書の専門書が出版されていますので、自己に合うものを選んで下さい。

＜オフィスアワー＞

水曜日14:00-15:00新宿校舎A-2274教室、別途電子メールによる連絡でも結構です（初回の講義時に通知します）。

＜学生へのメッセージ＞

皆さんは、インターネットなどのコンピュータによる通信、携帯電話、放送、様々なAV機器などを通して、「ディジタル」という言葉はよく耳にすることでしょう。近年はディジタル信号の処理技術の適用範囲はますます広がり、その重要性は増してきています。こうしたディジタル信号を取り扱う技術の基礎理論について知識を深めましょう。

＜備 考＞

フーリエ級数やフーリエ変換については、この講義を通じてよく理解するように努めて下さい。