2016年度工学院大学 第1部情報通信工学科

回路理論演習I(Practice on Circuit Theory I)[6D03]

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1単位
高橋 泰樹 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
電気回路に関する問題を解きながら電気回路理論の理解を深めると共に、その応用能力を養うことを目標とする。
「回路理論I」の講義内容に沿って演習問題を授業中に解き提出。回答例は次週の授業中に示す。計算力や回路変形のセンスを要求されるケースも多く、数多くの問題に触れる。また実際の企業の入社試験等で出された問題も解いてみる。

<受講にあたっての前提条件>
・分数計算は間違いなくできること。
・三角関数の計算ができること。(高校での復習をしておくことが望ましい。)
・複素数の計算ができること。
・複素数のベクトル表示(複素平面)を理解していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
・直流回路に関して理解し、種々の計算が出来ること。
・正弦波交流回路の瞬時値表示による解析が出来ること。
・複素数を用いて正弦波交流回路を解析出来ること。
・複素数で表現されていることと実際に起きる現象との対応を理解すること。

<授業計画及び準備学習>
1.電流、電圧、抵抗、電圧降下と逆起電力の概念
  抵抗に加える電圧、流れる電流の関係(オームの法則)を理解し、オー
  ムの法則(式)使って計算ができるようにする。

2.抵抗回路の合成抵抗に関する式の導出
  電気回路図に徐々に慣れると共に、基本的な抵抗の並列・直列接続の式
  の導出をできるようにする。また、基本的な合成抵抗の式を用い、抵抗
  を任意の状態で接続(直列、並列、それらの混合)したときの合成抵抗
  を自由に計算できるようにする。

3.分圧、分流
  抵抗を用いて電圧や電流を分配できることを理解し、分圧の公式、分流
  の公式を導けるようにし、これらの式を自由に使いこなせるようにする。
  また、電圧計、電流計に応用した場合、許容以上の電圧、電流を測定で
  きることを理解する。

4.電流と電力
  抵抗体に電流が流れると熱(ジュール熱)が発生することを学び、電力
  について学ぶ。効率よく電力を供給する条件(最大消費電力)について
  学び、電源の内部抵抗と負荷抵抗の関係と最大消費電力の関係を理解し
  、条件を導けるようにする。

5.キルヒホッフの法則
  回路解析をする上で基本となるキルヒホッフの法則を理解し、簡単な電
  気回路を解析できるようにし、知りたい部分の電圧や電流を自由に求め
  ることができるようにする。

6.回路解析・回路方程式(1)
  キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。
 (枝電流法)これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。

7.回路解析・回路方程式(2)
  前回の講義の続き。キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析
  例を通して学ぶ。(ループ電流法、接点方程式法)
  これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。

8.重ね合わせの定理・テブナンの定理・ノルトンの定理
  回路解析の手法の1つである重ね合わせの定理について学び、自由に使
  えるようにする。
  また、電源に電圧源、電流源が有ることを学び、任意の回路網が1つの
  抵抗と1つの電源(電圧源あるいは電流源)で表せることを理解し、こ
  れらの変換を自由にできるようにする。

9.Δ−Y変換、Y−Δ変換、ホイートストンブリッジ
  抵抗の特別な場合の接続法(Δ接続、Y接続)の変換を学ぶ。またブリ
  ッジ回路について学び平衡条件を導けるようにする。ブリッジ回路は交
  流回路理論でも使うことがあり十分に理解しておく必要がある。

10.正弦波交流:振幅、角周波数、初期位相、位相差、実効値
  交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。
  特にこの講義以降頻繁に三角関数が出てくるので十分な数学的な復習や
  理解が必要となる。

11.LRCの基本的性質
  コイルやコンデンサの交流回路での働きを十分理解する。
  コイル、コンデンサの働きは今後、通信系回路やアンテナを学ぶ上で基
  本となる。

12.交流電力
  交流にはいろいろな電力の定義がありそれぞれの特徴を理解し求められ
  るようにする。また、どのような場合にどの表記をするのが適切なのか
  を分かるようにする。

13.複素数と正弦波交流の複素数表示
  複素数を用いることで、コイルやコンデンサが直流回路における抵抗と
  同様に扱えることを学ぶ。
  (インピーダンス、アドミッタンスの概念の理解)
  合成インピーダンスの計算が間違いなくできるようにする。
  この講義以降(回路理論IIに向けて)、頻繁に複素数の計算を行うこと
  になるので十分な数学的な復習や理解が必要となる。
  複素数の絶対値、分母の有理化が計算ミス無くできるようにしておくこと。

14.学習内容の振り返り

<成績評価方法>
2/3以上出席していることが成績評価の前提条件。
毎回の提出物の評価を25%、定期試験の点を75%とし、60点以上の者を合格とする。
◆定期試験・提出物の結果が良くても、出席状況が悪い場合には不合格となる場合がある。

<教科書>
問題は毎回、教員側で用意する。

<参考書>
・電気回路教本 秋月影雄、橋本洋志[オーム社]
・基本からわかる電気回路:西方正司 監修、岩崎久雄、鈴木憲史、鷹野一朗、松井幹彦、宮下収「オーム社]
・テキストブック電気回路:本田徳正[日本理工出版会]
・電気学会大学講座「電気回路論 2版改訂」:平山 博 大附辰夫 共著、(電気学会)[オーム社]

<オフィスアワー>
水曜15:40〜17:00
研究室(5-704)

<学生へのメッセージ>
最近の学生の傾向として、つまらない計算ミスが非常に目立ちます。頻繁に計算を行うので、つまらないところでミスの無いように。
多くの問題を自分で考えて、必ず紙に書きながら最後まで(答えの単位まで)答えを出すようにして下さい。
また授業中にやった問題で、自分が間違えたところは理解するまで、こだわって下さい。
三角関数、複素数など苦手分野は早めに復習しておくことを勧めます。(学習支援センターの活用)


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