2016年度工学院大学 第1部情報通信工学科

情報通信工学実験I(Experiments in Information and Communications Engineering I)[5G09]

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2単位
高橋 泰樹 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
天澤 敬生 非常勤講師  
大須賀 威彦 非常勤講師  
小西 義雄 非常勤講師  
工藤 幸寛 助教  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
電気磁気学、回路理論、アナログ電子回路、電気電子計測、電子デバイスなどの講義で学んぶ基礎的事項を、体験的に理解把握する。電気特性の基本である電圧、電流、増幅度、周波数及び周波数特性などの基礎的測定を通し、それぞれどのような装置でどのように測定するものなのか、またそれぞれの装置の特性も把握しながら、実験を進め実験的・理工学的センスを体得する。これらの実験結果を整理・考察して報告書にまとめる作業を通じ、エンジニアとして必要な総合的な表現・洞察力を養成する。また、報告書やグラフの描き方の基本も身につけるため、指定した書式で期限内に報告書を仕上げるという作業にも慣れる。

<受講にあたっての前提条件>
電気系の専門科目(回路理論、電気磁気学等)を履修(あるいは同時期に履修)していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
回路理論、電気磁気学、(アナログ電子回路I)等の座学に対応した実験であるので、実際に実験によりこれらの現象を理解する。
各種実験装置の使い方を学ぶ。
報告書の書き方、期日までに完成・提出という作業に慣れる。

<授業計画及び準備学習>
第1週 ガイダンス

第2週以降は以下の実験テーマを数人ずつの班に分かれ、ローテーション
を組んで実験していく。2週で1テーマの実験を行う。実験の前後に講義
、ディスカッションの時間を設ける。
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実験1:計測基礎(直流素子)
   抵抗にかかる電圧、流れる電流を測定するが、電圧計、電流計を入
   れる位置により値がずれる。このズレの原因を把握し、正しい値を
   求められるようにする。
    この実験を通し、他の測定においても、どのような測定器をどの
   ような使い方をすると、どのような誤差が生じるかを認識できるよ
   うになって欲しい。

実験2:計測基礎(交流素子)
   交流素子(コイルやコンデンサ)がどのような周波数特性を持つか
   、通常の抵抗と比べてどうなのかを実験を通して把握する。電気回
   路理論Iの後半からIIに掛けて学ぶ交流理論に関連している。

実験3:ダイオードの静特性
   半導体の基本であるpn接合(ダイオード)の静特性を実際に測定す
   ることで、半導体の特性をより理解を深める。電圧と電流の関係は
   直線ではなく非線形になることや、しきい値が存在することを認識
   する。電子デバイス工学Iやアナログ電子回路Iの講義に関連する。

実験4:ダイオードと整流・平滑回路(プリント基板の設計作製を含む)
   プリント基板にパターンを描き、エッチング、穴開け、半田付けと
   いう作業を経験すしながら、
    ダイオードを用いた整流回路を作製し、特性を測定する。整流回
   路の動作や、平滑コンデンサの役割を理解する。整流回路はACアダ
   プターなど身の回りの製品に数多く使われており、ダイオードを用
   いた基本的な回路の1つである。

実験5:トランジスタの諸特性
   トランジスタの静特性を測定する実験である。静特性として入力、
   電流伝達、出力、電圧帰還がある。これらの特性はトランジスタを
   理解する上で基本となる特性である。通常これらの特性はデータシ
   ートとしてメーカーから発表されているが、この特性も基本的には
   本実験と同じようして測定されたデータである。君たちの実験(測
   定)でも、データシートと同じ特性が得られることを実感して欲し
   い。アナログ電子回路Iの講義に関連した実験である。

実験6:共振回路
   L、Cを使った回路で特殊な条件な時に「共振」という現象が起こ
   る。電気的な共振とはどういうモノなのかを把握する。周波数を変
   化させたとき、特定の周波数付近で電圧、電流はどう変化するか、
   入力と出力の位相のズレはどうなるか。共振周波数は回路理論の授
   業で習うように素子の定数から理論計算することができる。実際の
   値と等しいのか、ズレるのか?
    共振回路はラジオやフィルタ回路など特に無線技術の基本原理で
   ある。回路理論の講義に関連した実験である。

<成績評価方法>
レポートの採点結果と実験中の態度を総合的に評価して、60点以上の者に単位を認める。
「未提出」あるいは「受理されていない」レポートが1通でもある場合、単位を認めない。

<教科書>
実験指導書(プリント) ガイダンス時に配布。

<参考書>
回路理論の授業で使うテキスト。
電気磁気学で使うテキスト。
アナログ電子回路Iで使うテキスト。

<オフィスアワー>
金曜日昼休み
実験室(5-301)または研究室(5-704)

水曜15:40〜17:00
研究室(5-704)

<学生へのメッセージ>
◆学生実験は、実際に装置に触れ体験的に学習・確認できる数少ない機会です。積極的に取り組んでください。

◆授業で習う事柄(理論)と現実の現象(実験)との対応・比較を意識し考察するようにしてください。

◆実験はうまくいくとは限りません。むしろ失敗しておかしな結果が出たときこそ、「何でだろう?」と深く考えてください。このときが、理系のセンスを磨くチャンスです!

◆場合によっては実験中に抵抗、ダイオード、トランジスタから煙が出たり壊れたりすることがあるかもしれません。でも、これも「実験したからこそ経験できる」ことなのです。どうしたら壊れたか、煙が出たかを経験するチャンスです。どんな「臭いがしたらヤバイか」を経験するチャンスでもあります。(意図的に壊すのは問題だけど・・・)

◆<授業のねらい及び具体的な達成目標>に記述した「達成目標」を達成するために(近づくために)、報告書の不備は(あえて厳しく)指摘し、返却します。しかし、これは社会に出て、君たち自身が恥をかかないための訓練と思ってください。(グラフが描けないないエンジニア、報告書をまとめられないエンジニアでは困りますよね・・・)


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