2016年度工学院大学 第1部情報通信工学科

電子デバイス工学I(Electron Devices I)[2K03]

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2単位
吉川 明彦 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
情報通信では信号の変調、増幅、伝達、検出が必要です。これらの用途には必ずダイオードやトランジスタなどの能動素子が必要であり、それらは半導体、主にシリコンによって作製されています。そして、特別な機能を有するデバイス、高速動作デバイスや発光デバイスなどは化合物半導体によって作られます。
 この授業のねらいは、まず、半導体とは何か、またどのような性質を持つかを学びます。そして、トランジスタによって、どうして信号の増幅が出来るのか、また、多くのトランジスタはシリコンで出来ていますが、シリコンによってどのようにしてトランジスタを作るのか、さらにトランジスタがどうしてそのような動作をするのかを理解することです。
 達成目標
 (1)信号処理、信号伝送する上で、電子デバイスがどのように使われているか。
 (2)ダイオードやトランジスタを作るには、n 型とp 型の半導体が必要だが、
    これらはどのように異なるのか、またどのようにして作ることが出来るのか。
 (3)pn接合ダイオードではどのようにして整流特性がえられるのか。
 (4)トランジスタはどのような構造になっており、またどのようにして信号増幅が出来るのか。
 (5)トランジスタの基本的な増幅回路はどのようになっているのか。
 を理解する。

<受講にあたっての前提条件>
この授業は教科書に沿って進められます。受講に当たっては、教科書内の授業計画に該当する箇所の予習が必要です。また、物理学の基礎の授業内容を理解していることを前提にしています。

<具体的な到達目標>
到達目標は、授業計画に書かれているキーワードを、言葉で説明できる程度に理解することです。

<授業計画及び準備学習>
準備学習について:
 教科書の内容に沿って講義を行うので、毎週の講義に対応する箇所をよく読んで、講義の予習・復習に当てること。

第1週 信号の変調、増幅、検波
 アナログとディジタル、利点と難しさ
第2週 トランジスタによる増幅の動作
 電流‐電圧特性、電流増幅、電圧増幅、
 トランジスタのダムによるモデル
第3週 電子と結晶
 固体の電気伝導度、周期表と元素の周りの電子
第4週 エネルギー帯と自由電子
 半導体・金属・絶縁物のエネルギー帯
第5週 半導体のキャリア
 真性半導体、n-型半導体、p-型半導体
第6週 キャリア密度とフェルミ準位
 多数キャリアと少数キャリア、
 外因性半導体のフェルミ準位
第7週 半導体の電気伝導
 ドリフト電流、拡散電流
第8週 PN 接合とダイオード
 pn接合、金属・半導体接触、空乏層と空間電荷、
 ポアソンの方程式
第9週 ダイオードの接合容量と電流-電圧特性
 接合容量、小数キャリアの分布、拡散方程式
第10週 中間試験と授業
 授業;ダイオードの電流-電圧特性
第11週 バイポーラ・トランジスタ-I
 動作原理、電流増幅率、各端子の電流成分
第12週 バイポーラ・トランジスタ-II
 接地形式と利得、少信号特性、しゃ断周波数
第13週 MOSFET(電界効果トランジスタ)- I
 MOSダイオード、蓄積、空乏、反転
第14週 MOSFET - II
 MOSFETの構造と動作原理、エンハンスメント型、
 ディプレッション型、相互コンダクタンス
第15週 期末試験

<成績評価方法>
中間テストと演習・レポート課題(30%)及び期末テスト(70%)の結果によります。テストでは、授業計画に示すキーワードを理解し、その意味や利用法などを、まず定性的に説明できることをチェックします。また、PN接合ダイオード、バイポーラ・トランジスタ、FETについては、関係する式の半定量的な理解が必要です。なお、テストでの教科書、ノートの持ち込みは不可です。

<教科書>
「電子デバイスの基礎と応用」長谷川文夫・本田 徹 共著(産業図書:2940円)

<参考書>
「半導体デバイス第2版--基礎理論とプロセス技術--」 S.M.ジー著、南日、川辺、長谷川訳(産業図書:6600円)

<オフィスアワー>
講義後、教授室(5号棟803号室)で。

<学生へのメッセージ>
説明やプレゼンテーション(ppt)内容が分からなければその場で説明を求めたり、気軽に質問して下さい。質問がない場合は指名してこちらから質問します。


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