2016年度工学院大学 第1部電気システム工学科

電気機器基礎(Fundamentals of Electric Machinery)[4A13]

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2単位
高木  亮 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
電気と機械のパワー変換機および電力の形態の変換器である電気機器に関する基礎を学ぶ。
 まずはじめに全ての機器に共通する基礎事項を学修する。その上で広義の電気工学を学ぶ者全員が身につけなければならない各種の機器についての概要を説明し,後期の講義「電気機器」につなぐ。別に行われる「実験」の意義と基礎知識を学ぶ意味もある。
 電気機器に関して広義の電気系工学を学んだ者として身につけていなければならない最低限の知識やセンス(工学的直感力)を全員が得ることが最低の目標であるが,余力のある者には電気機器の面白さも感じてもらうこともねらう。

<受講にあたっての前提条件>
回路理論や電気磁気学のうち,1年生配当で必修となっている科目の知識は前提とされる。

<具体的な到達目標>
各種電気機器(変圧器,直流機,誘導機,同期機)に関する基礎的な知識が得られること。

<授業計画及び準備学習>
1. エネルギーとパワー その変換とは
  〜電気−機械変換の原理と各種の力学量
  動力に関する力学の復習を通じて,「パワーの変換」という概念を身につける
2. パワー変換の機能と性能,定格・効率等
  〜電磁力の発生と制御
  電磁気的な原理から,機械としての特性の表現までの基礎を学ぶ
3. 電磁機械の一般的性質・性能
  〜導電/磁気材料による制約,
   電動機と発電機,可逆・非可逆
  電気機械をその電源・負荷・制御装置との関連でどのような性質と性能を持ち得るかを認識する
4. 変圧器(1)
  〜原理・理想変圧器と現実の特性・空心と鉄心・鉄損と銅損・単相/多相変圧器
5. 変圧器(2) 〜等価回路 電圧変動率と磁気飽和の影響
  誰もが使うことになる変圧器に関して実用上必要な全ての知識を得る
6. 直流機(1) 〜他励機としての基本 電機子反作用 整流
7. 直流機(2) 〜界磁と電機子との各種の関係
  現実にはあまり用いられなくなったが,電気機器の基本としての重要性を持つ直流機の特性を把握し,その他のモータにも共通する基本を理解する
8. 永久磁石式モータ
  〜永久磁石直流機・同期機 小型機が永久磁石を用いる理由
9. 同期機(1)
  〜発電機と電動機 直流機との関係 突極機と非突極機
10. 同期機(2)
  〜発電所と電力網の特性 電機子反作用と各種の特性,各種のリアクタンス
  発電機の基本である同期機の基礎的な特性を理解する
11. 誘導機(1) 〜回転磁界とトルクの発生
12. 誘導機(2) 〜等価回路と円線図
  モータの代表である誘導機に関して,基本的な事項をひととおり理解する
13. 「電気機器」へのつなぎと心構え
14. 学習成果の振り返り

準備学習(予習):シラバスに記載されているキーワードをもとに,教科書等を調べ,その意味を把握するように努めること。
準備学習(復習):配布した問題について復習すること。教科書の該当部分について問題を自分で解いてみること。

<成績評価方法>
期末の定期試験で成績を評価し,D以上のものに単位を与える。試験内容としては,電気機器に関するごく基礎的なことがらが理解できているかどうかを問うものとする。なお,出席を毎回とることとし,出席率がある割合を下回った学生には単位を与えないことがある。

<教科書>
下村ほか: 「基本からわかる 電気機器講義ノート」, オーム社 (2014). ISBN 978-4-274-21576-6

<参考書>
指定教科書以外にも,類書は多数ある。都内大手書店の電気工学のコーナーや,図書室をのぞいてみよう。ちなみに,昨年度までは以下を教科書として指定していた:
●「大学課程 電気機器 (1) (改訂2版)」, オーム社 (1992). ISBN 4-274-12897-0
●仁田, 古関: 「電気機器学基礎」, 数理工学社 (2011). ISBN 978-4-901683-76-0

<オフィスアワー>
水曜日5限・新宿キャンパス23階A-2374室。

<学生へのメッセージ>
電気機器は動くモノであり(変圧器を除けば),電気工学の「楽しみ」のひとつでもあります。やや暗記することが多いため大変な部分もありますが,いろいろな式をしっかり追うことを通じていくつかの理屈を理解すれば,楽しみがぐんと広がってくると思います。おっくうがらずに,紙に向かって実際に鉛筆を動かし,自分の手で式を実際に追ってみる,ということを,予習・復習の作業のなかでたくさん行うことをすすめます。


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