2016年度工学院大学 第1部電気システム工学科

化学実験(Experiments in Chemistry)[5210]

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1単位
兼清 真人 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
一般教養として基礎的な化学の実験を通じ、化学理論を実験により検証し、化学変化を観察する。その上で化学の基本的素養を身につけた科学的に広い視点から物事を思慮できる人格の形成を目指す。

<受講にあたっての前提条件>
・高校レベルの化学の基礎知識を有することが望ましいが、必須ではない。
・高校で化学を履修しなかった人は、学習支援センターの基礎講座を受講し、化学の知識を補うこと。
・大学生協で販売されているA4実験ノート(オレンジ色の表紙)を購入し、実験の予習を必ず行うこと。
・実験ノートへの記録用に、黒の油性ボールペン(指定はないが、後から消す機能がないものとする)を用意すること。
・関数電卓を用意すること。指定はない。普通の電卓でも良いが、携帯電話などの電卓機能の使用は禁止する。

<具体的な到達目標>
・安全と環境に配慮し、化学実験器具や化学薬品を適切に取り扱うことができる。
・実験の全体像を理解し、実験ノートに予習を行うことができる。
・実験中に起こる変化を注意深く観察・洞察し、正確にノートに記述することができる。
・実験データに基づき、濃度・収率などの量を計算することができる。
・実験結果を十分に考察し、実験レポートを作成できる。

(習得後の展開)
本科目で習得した内容の理論的背景を「化学I・II」で履修することが望ましい。また、本科目で化学の基本的素養を習得することは、今後の専門科目の履修ばかりでなく工学全分野で有用である。

<授業計画及び準備学習>
高校で化学を十分学習していない学生に配慮し、高校化学程度の初歩的な内容から始める。実験はほとんど個人で実験で行う(「蒸留水の製造」のみグループ実験)。実験テーマは、定性分析を主とし、未知試料の定性実験、初歩的な定量分析実験を行ない、さらに2〜3の物理化学実験、合成実験を行なう。他クラスとの進度の調整のため、以下の実験内容と順序は、やむを得ず変更あるいは省略になることがある。

第1週:化学実験の説明(実験ガイダンス・全般的な注意) ★
 [学習内容] 実験内容、安全に関する注意、予習・レポートの書き方の説明を行う。
       化学式および有効数字に関する練習問題を行う。
 [学習準備] 化学式および有効数字について復習しておくこと。
第2週:炎色反応(Na+, K+, Ca2+, Sr2+, Ba2+) ●
 [学習内容] Na+, K+, Ca2+, Sr2+, Ba2+の炎色反応を見る。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第3週:無機陽イオン各個の反応(Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+) ★
 [学習内容] Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+各イオンの存在を確認するための化学反応を行う。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第4週:第I属陽イオン(Ag+, Pb2+)の系統的分析 ●
 [学習内容] Ag+, Pb2+イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第5週:第III属陽イオン(Al3+, Fe3+)の系統的分析 ●
 [学習内容] Al3+, Fe3+イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第6週:第I, III属陽イオンの混合試料の分析 ★
 [学習内容] 第一属(Ag+, Pb2+)・第三属(Al3+, Fe3+)イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第7週:第I, III属陽イオンの未知試料の分析 ●
 [学習内容] 第一属(Ag+, Pb2+)・第三属(Al3+, Fe3+)イオンの未知試料溶液から各イオンを分離・同定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第8週:分子模型 ●
 [学習内容] 分子模型を作成し、分子の形を理解する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第9週:硫酸銅の合成と再結晶による精製 ★
 [学習内容] 無機化合物である硫酸銅を合成し、再結晶法による精製を行う。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第10週:アルカリ標準液の調製 ●
 [学習内容] アリカリ溶液を調整する。濃度の分かっている酸標準液を用いて、アルカリ溶液の濃度を滴定法で決定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第11週:市販食酢中の酢酸の定量 ★
 [学習内容] 濃度既知のアルカリ標準液を用いて、市販食酢中の酢酸の濃度を滴定法で決定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第12週:蒸留水の製造 ★
 [学習内容] 水道水を蒸留することにより精製し、比抵抗測定によりその純度向上を確認する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第13週:ナイロン6 10の界面重合 ●
 [学習内容] 有機化合物である合成高分子ナイロン6 10を合成する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第14週:学習内容の振り返り
 [学習内容] 第2−13回の実験内容の総復習を行う。

<成績評価方法>
試験は行わない。予習、実験終了時に提出する課題(●印、7回)、実験レポート(★印、6回)で成績評価し、Grade D以上の者に単位を認める。点数配分は、予習20%、課題20%、レポート60%とする。課題・レポートの提出が無い場合は、不合格となる。
欠席の場合は、その回の点数は0点となる。

レポート提出は学園ポータルサイトを使用する。但し、履修登録前のレポート提出は電子メールを用いる。レポート提出要領や評価法の詳細は最初の授業の際に説明する。

<教科書>
テキストはPDFファイルで配布する。<参考ホームページアドレス>に書かれている化学実験ホームページにアクセスし、化学実験テキストのPDFファイルを参照しながら、実験ノートに予習すること。初回の授業に関連する部分(「受講のための準備」)は、初回に講義室で配布する。第2回以降のページは、必要であれば、各自で印刷すること。

<参考書>
以下の参考図書・参考DVDは、すべて図書館に置いてある。有効に活用すること。
●化学全般に関する教科書
 ・「大学生の化学 Introduction」佐藤 光史 監修、2013年、培風館
●化学全般に関する演習書
・「大学と高校を結ぶ 化学基礎演習」佐藤 光史 監修、2015年、培風館
●化学反応式や沈殿の色・形状
・「−視覚でとらえる−フォトサイエンス化学図録(新課程改訂版)」数研出版編集部 編、2013年、数研出版
●酸と塩基
・「DVD教材 化学:未来をひらくサイエンス CHEMISTRYシリーズ 第10巻 酸と塩基」
●実験レポートの書き方
・「改訂 化学のレポートと論文の書き方」泉 美治 他監修、1999年、化学同人
●安全について
・「実験を安全に行うために(第7版)」化学同人編集部 編、2006年、化学同人
・「続 実験を安全に行うために(第3版)」化学同人編集部 編、2007年、化学同人
●各種データ
・「理科年表」丸善出版
・「化学便覧」丸善出版

<オフィスアワー>
後期は金曜日10:00−11:00とする。教員の居室は八王子キャンパス(講師室)。不在の可能性があるので、事前に連絡を取ることを推奨する。メールで連絡・質問する場合は、fu41137@ns.kogakuin.ac.jpまで。

<学生へのメッセージ>
安全に注意しつつ、興味を持って主体的に実験に取り組んでほしい。また、化学実験室では立って実験を行なうので、健康に留意し実験に臨んでほしい。実験とレポート作成の一連の作業を通して、自然現象の観察力、現象を統合・整理する能力、論理的文章の構成力などを養い、科学的に広い視点から物事を思慮できるようになってもらいたい

<備 考>
・2年生以上の再履修、2年生のリピート受講は認める。1年生の再履修・リピート受講は認めない。
・安全かつ手際良く実験を行うため、事前に実験ノートに予習を行うこと。テキストを見ながら実験を行うことは禁止する。
・全回出席、無遅刻、全レポート提出が原則である。
・予習を忘れた場合や、遅刻した場合は、実験を禁止する場合がある。

<参考ホームページアドレス>
化学実験ホームページ: http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wwa1077/index.html


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