2016年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科
△化学エネルギー工学(Chemical Energy Engineering)[1E19]
2単位 山口 真 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 化学エネルギーの工学的利用において重要性が増している電気エネルギー変換プロセスの基礎となる電気化学について学び、熱力学と反応速度論に基づき実用電池の動作原理および基本特性の定性的および定量的説明ができるようになる。
- <受講にあたっての前提条件>
- 物理化学I、IIを受講していることが望ましい。
指数関数と対数関数の計算ができること。
- <具体的な到達目標>
- 電気化学反応の電気量から反応物質量が計算できる(およびその逆)。
電解質溶液の電気伝導率や活量係数が計算できるようになる。 電池反応のギブスエネルギー変化から起電力が計算できる(およびその逆)。 電池式からネルンストの式に従い標準電極電位の値を参照して起電力が計算できる。 代表的な電池の動作原理を説明し、理論電池容量およびエネルギー密度が計算できる。 電池および電気化学分析法における電位の変化に伴う電流密度の変化を過電圧の概念を用いて説明できる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.講義内容の概要、熱力学の復習
化学エネルギー工学で扱う内容について。熱力学第一および第二法則、エネルギー効率、 準備学習:物理化学の教科書の熱力学に関する部分の復習 2.有効なエネルギー(エクセルギー)と化学エクセルギー 最大有用仕事(エクセルギー)の考え方と化学反応を含む場合への適用。 準備学習:前回の復習 3.電気化学の基礎 電気化学セル、ファラデーの法則 準備学習:教科書第1章の予習 4.電解質溶液の性質(1) イオンの移動と電気伝導度 準備学習:教科書第2章の予習 5.電解質溶液の性質(2) イオンの水和と活量係数 準備学習:前教科書第2章の予習 6.電池の起電力と電極電位(1) 起電力とギブスエネルギー 準備学習:教科書第3章の予習 7.電池の起電力と電極電位(2) 平衡電極電位とネルンストの式 準備学習:教科書第3章の予習 8.電池の起電力と電極電位(3) 濃淡電池と膜電位 準備学習:教科書第3章の予習 9.電極反応の速度(1) 電気二重層、電極表面反応と電流密度、活性化過電圧 準備学習:教科書第4章4.1-3の予習 10.電極反応の速度(2) 拡散と濃度過電圧 準備学習:教科書第4章4.4-7の予習 11.電気化学測定法 実験室でよく用いられる電気化学測定法である、酸化還元滴定、イオンセンサー、サイクリックボルタンメトリーの原理 準備学習:教科書第10章の予習 12.実用電池の基礎と一次電池、二次電池 実用電池の特性、理論容量とエネルギー密度、一次電池および二次電池の具体例 準備学習:教科書第5章5.1〜5.3の予習 13.燃料電池 各種燃料電池の構成と動作原理、固体高分子形燃料電池について 準備学習:教科書第5章5.4の予習 14.学習内容の振り返り 準備学習:前回までの復習
- <成績評価方法>
- 定期試験期間中に行う定期試験と講義中に行う小テストによる。両者の比率は8:2程度とし、100点満点で60点以上で合格とする。
- <教科書>
- 「電気化学概論(第2版)」丸善出版、松田好晴、岩倉千秋著
- <参考書>
- @「電気化学エッセンシャル」東京化学同人、玉虫怜太、高橋勝緒著
A「電気化学の基礎―電気化学を志す人へ」技法堂出版、喜多英明、 電気化学の教科書はかなりの数が出版されており、それぞれに特徴があるなかで、教科書には記述が平易で比較的最近に改訂されたものを選定していますが、@はもう少し深く理解したいと思った時に、Aは本格的に理解したいと思った時にふさわしい本だと思います。講義でもこれらを参照しながら教科書の説明を補っていく予定です。 B「エクセルギーを活かそう エネルギー有効利用の原理」培風館、小島和夫著 C「エクセルギーの基礎」オーム社、唐木田健一著 電気化学プロセスの優位性をエネルギー有効利用の観点から理解するために、最大有効仕事とエクセルギーの概念について最初の2回の講義で扱いますが、これらについては熱力学や電気化学の教科書では扱われていないので、これらの参考書をもとに講義を進める予定です。
- <オフィスアワー>
- 授業の前後に12階または教室。
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