2016年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科

流体の輸送現象(Transport Phenomena of Fluid)[0098]

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2単位
並木 則和 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
私たちは空気という気体の中で生活し、水という液体と密接に関わり合っている。それらは地球環境を支配し、生物を創り出し、文明の発展に寄与してきた。工学的に見ても、流体(気体と液体を総称して流体と呼ぶ)は非常に多くの問題と関係している。流体の流れ(流動)は身近な現象であるあるにもかかわらず、その現象を物理的に理解することはあまりない。また、反応装置や配管内部で起こる化学反応に伴う熱の移動や、反応物・生成物などの物質移動を深く理解するためには、流れの理解が必要である。流体の輸送現象では、流れについての基本的な原理や法則を学び、流れ現象を理解する。

<受講にあたっての前提条件>
数学および物理的要素がたくさん出てくるので,1,2年次に習った数学(特に微積分)および物理学(特に力学)を良く復習しておくこと。

<具体的な到達目標>
流体が流れていない場合の流体各部の圧力を計算できる。
連続の式およびベルヌーイの式を用いて,理想流体中の速度や圧力を計算できること。
レイノルズ数の意味を理解し,円管内流れの層流と乱流を説明できること。
円管内の層流および乱流速度分布式を導出できること。
ファニングの式を用いて,摩擦損失のある円管内のエネルギー損失を計算できること。
直円管以外の拡大管や縮小管,配管付属品を含めたエネルギー損失を計算できること。
流体輸送に必要なポンプの所要動力を求めることができる。

<授業計画及び準備学習>
1. 流体力学の基礎となる静水力学での圧力および流体の粘性・圧縮性について理解する。
準備学習:シラバス中の該当部分についてテキストの掲載内容を確認しておくこと。
2. 流体の粘性と流動の基本的事項:ニュートンの粘性法則について学び,流体(気体と液体)の重要な性質である粘性について理解する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
3. 理想流体のエネルギー保存則である連続の式およびベルヌーイの式を理解する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
4. 円管内層流:無次元数であるレイノルズ数の仕組み,臨海レイノルズ数の意味を学び,層流,乱流の違いを理解する。微小区間の運動量収支から円管内層流の速度分布式を誘導し,層流の特徴を理解する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
5. 円管内乱流(1):乱流の表示方法および円管内乱流の構造を学び,層流との違いを理解する。代表的な円管内乱流の速度分布を表す指数法則速度分布式について学ぶ。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
6. 円管内乱流(2):摩擦速度に基づいた円管内乱流の速度分布を表す対数法則速度分布式について学ぶ。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
7. 中間総合演習
準備学習:1〜6週の小テストの復習を行うこと。
8. 円管内流れの摩擦損失:円管内流れの摩擦によるエネルギー損失を理解し,ファニングの式を誘導する。円管内層流,乱流の摩擦係数の算出法について学び,圧力損失,エネルギー損失を理解する。
準備学習:中間総合演習で理解できなかった箇所の復習を行うこと。
9. 水力相当直径,充填層内の流れ:非円形断面流路内流れで用いられる水力相当直径について学ぶ。充填層に流体を流す操作は,触媒反応,吸着分離,濾過などで行われている。充填層内の圧力損失の求め方を理解する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
10. 流動におけるエネルギー収支:定常状態流れにおける機械的エネルギー保存則から機械的エネルギーの式(ベルヌーイの式の一般形)を誘導する。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
11. 配管内流れのエネルギー損失:摩擦損失係数の導入を理解し,直円管,拡大・縮小管,配管付属品のエネルギー損失について学ぶ。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
12. 流体輸送の所要動力:機械的エネルギー保存式から流体輸送に必要な理論所要動力を求める式を誘導する。ポンプの総合効率を考慮に入れた実際の所要動力を求める。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
13. 流体輸送機の種類と特徴:流体を輸送する場合,液体輸送機または気体輸送機を用いて輸送管内を連続的に輸送する。さまざまな流体輸送機について種類とその特徴について学ぶ。
準備学習:前の時間の小テスト問題を再度自分で解いてみること。
14. 授業の振り返り
準備学習:8〜13週までの小テスト問題を再度復習すること。

<成績評価方法>
成績評価は小テスト(24/174)および中間総合演習(50/174),定期試験(100/174)の結果で評価し,100点満点に換算して60点以上を合格とする。なお,定期試験の受験資格は講義出席率が50%以上であること。

<教科書>
「基礎化学工学」化学工学会編 培風館
適宜補助プリントを配布する。

<参考書>
指定参考書無し。

<オフィスアワー>
集中講義の開講時期は追って掲示する
集中講義期間 19:30〜20:00 総合工学研究棟12-207号室
E-mail : nnamiki@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
短期間の集中講義なので体調管理に気をつけること。


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