2016年度工学院大学 第1部応用化学科

薬品分析化学(Analytical Chemistry of Medicine)[6H02]

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2単位
高橋 博文 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
医薬品を創製する上で、クスリの生体内での挙動を理解することは、有効性を高めることと同時に安全性を担保する上でも重要な問題です。安全性を担保するためには、研究の段階からリスク要因を評価し、排除していく必要があります。本授業では

 医薬品研究開発の困難さを理解する
 医薬品が効果を示す機序を理解する
 医薬品の生体内での挙動を理解する
 副作用の原因と機序を理解する

ことを通じて医薬品(薬)の本質を理解して頂きます。

<受講にあたっての前提条件>
医薬品研究開発に対して興味がある事が受講条件です。
生化学、有機化学、物理化学、機器分析の受講経験が有用です。

<具体的な到達目標>
医薬品がどのように効果を示すのか説明できる
医薬品の生体内での挙動を説明できる
医薬品同士、および医薬品と食物との相互作用について説明できる
副作用の原因および発生機序を説明できる
生体内薬物濃度測定に必要な機器の原理及び測定法を説明できる

<授業計画及び準備学習>
(1-3回)薬の本質
薬の効果および副作用の発現機序(作用点)を理解し、これらのことから薬の本質を考える

(4回)創薬のタイムラインと分析研究の関わり
医薬品を上市するまでの道のりと創薬のもつ問題点を理解する

(5回)薬物の生体内での運命
薬物が投与されてから排泄されるまでの概説とそれらの過程で生ずる諸問題を理解する

(6-8回)薬物速度論(Pharmacokinetics)の基礎
Pharmacokineticsについて血中薬物濃度測定の重要性を慨説する
血中薬物濃度の測定方法を慨説する
測定された血中薬物濃度データの解析方法の基礎を理解する

(9-13回)薬物動態の諸問題
薬物の生体内への吸収・分布過程について詳細を理解する
生体の「解毒機構」である代謝の様式・機構を理解する
薬物の吸収や排泄にかかわるトランスポーターについて理解する
代謝やトランスポーターに種差、個人差があることを理解する
薬物相互作用、いわゆる薬物同士又は食物との「飲み合わせ」について理解する
以上の問題と副作用(または毒性)との関連について理解する

(14回)学習のふりかえり

<成績評価方法>
定期試験、授業中の課題および授業参加度(質問やディスカッションなど)によって総合評価します。
ウエイトは定期試験(100点:A)を60%、授業中の課題および授業参加度(計100点:B)を40%とします。
A x 0.6 + B x 0.4 = 60点以上を合格点とします。

<教科書>
指定教科書はありません。
キューポートに資料をアップしますので授業の予習・復習に利用してください。

<参考書>
「創薬の分析化学」
開発タイムラインにそった全過程
日本分析化学会編
丸善出版
「薬物代謝学」
医療薬学・医薬品開発の基礎として第3版
加藤隆一他編
東京化学同人

「医薬品クライシス78兆円市場の激震」
佐藤健太郎
新潮新書

<オフィスアワー>
授業終了後、教室または講師控え室で声をかけてください。
Emailによる質問やご意見も随時受け付けています。
(takahashi_office084@yahoo.co.jp)

<学生へのメッセージ>
「くすりはどうして効くのですか?」「同じくすりを飲んでいても効いたり効かなかったりする人がいるのは何故ですか?」「何故夢の新薬は出てこないのですか?」「健康食品はくすりより安心ですよね?」このようなくすりに関する疑問や興味がある方は是非受講してみてください。質問や疑問提起など積極的に授業に参加してくれる方大歓迎です。


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