2016年度工学院大学 第1部応用化学科
医薬品合成化学(Synthetic Medicinal Chemistry)[3B20]
2単位 南雲 紳史 教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい>
- 有機合成化学は、最終的に目標とする化合物(標的化合物)があり、その化学構造を正確に組み立てていく際に必要な技術ならびにその基礎となる化学であり、医薬品、農薬、香料、電子材料、有機材料など、多岐にわたる材料創製に大きな威力を発揮する。本講座においては、今まで学んだ(あるいはこれから学ぶ)化学反応や化合物の性質に関する知識を駆使し、標的化合物の多段階合成を合理的に計画する方法(逆合成)を学ぶ。逆合成の考え方を身に着けることで、実際に行われた天然物合成や医薬品合成を概観し、それらの重要なポイントを理解できるようにする。
- <受講にあたっての前提条件>
- 有機化学T〜Vを総復習すること。また、反応機構に関する5つのルールをある程度使いこなせるようになっていること。
- <具体的な到達目標>
- 医薬品や天然物の合成に用いられている反応を説明できる。
医薬品や天然物の合成法を計画するために必要な逆合成という考え方を理解する。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.逆合成の考え方:結合切断法
2.シントンと合成等価体 3.二官能基間の結合切断 4.極性転換 5.環状化合物の合成 6.官能基変換 7.合成戦略と計画 8.官能基が複数あるときの合成戦略(官能基選択的反応) 9.官能基が複数あるときの合成戦略(保護基) 10.アルケンの合成、アルケンへの位置選択的付加反応 11.ケトンの位置選択的アルキル化反応、α,β―不飽和カルボニル化合物への位置選択的付加反応 12.立体特異的反応 13.立体選択的反応 14.有機合成の実例、学習内容の振り返り
最終の試験は、定期試験期間中に行います。
- <成績評価方法>
- 全開講数の3分の2以上を出席しなかった場合は履修放棄とみなす。
定期試験の成績が60点以上の者に対して単位を認める。ただし、講義中に行う小テストの内容を最大10%加味する。
- <教科書>
- 「マクマリー有機化学概説(第6版)」 伊東椒・児玉三明 訳(東京化学同人)
- <参考書>
- 「有機合成の戦略」 富岡清 訳(化学同人)
「ウォーレン有機合成―逆合成からのアプローチ―」 柴崎正勝・橋本俊一 監訳(東京化学同人)
- <オフィスアワー>
- 毎週水曜日昼休み(2068号室)。ただし、あらかじめメールで連絡をするか、講義の前後で予約をした場合は、水曜日の午後も可能。
予約がない場合には、八王子キャンパスに戻ります。 それ以外の日でも、連絡をしてもらえば、極力調整します。
- <学生へのメッセージ>
- 有機合成化学は非常に実践的な学問です。そのため、ついつい何でもできるというように思ってしまいます。しかし、ひとたび複雑な天然物の合成に着手すると、まだまだ難しいことが多く、研究テーマは無尽蔵に出てきます。ただ、興味あるテーマを見出すために、現在はどこまでできるのかということを知ることも大切です。是非、この講座により有機合成化学をしっかり勉強してください。可能性は無限です。
授業はなるべく丁寧に進めるつもりですが、限られた時間の中で新しい知識が次々と出てきます。ただし、その多くの基礎となるものは、有機化学T〜Vである程度学んでます。ですから、マクマリ―の有機化学概説をおさらいしてください。また、講義の予復習は十分に行ってください。
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