2016年度工学院大学 第1部応用化学科

酵素化学(Enzyme Chemistry)[2L10]

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2単位
坂口 政吉 講師  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
酵素は生体内の複雑な化学反応を円滑に行う生体触媒である。触媒としての酵素の特性に注目し,特定の化学反応を効率よく進行させる仕組みを理解する。また,酵素および酵素反応の評価法を理解する。

<受講にあたっての前提条件>
酵素の成分は,主にタンパク質である。アミノ酸,ペプチド、タンパク質への理解が必要となる。そのため,生物化学に関する科目,実験を受講していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
1) 酵素の特徴を理解する
2) 酵素の反応特異性について理解する
3) 酵素の調節機構について理解を深める
4) 酵素および酵素反応の解析法について理解する

<授業計画及び準備学習>
1. 酵素研究の歴史と特性
  タンパク質に関する知識の復習と酵素研究の歴史を振り返る
2. 酵素の分類と特異性
  酵素の種類とその反応特異性について理解する
3. 酵素反応と反応制御
  酵素反応(化学反応)の理解と反応を制御する仕組みについて理解する
4. 酵素の性質-触媒機構(1)-酸塩基触媒と共有結合触媒-
  触媒機構の酸塩基触媒と共有結合触媒の機構(メカニズム)を理解する
5. 酵素の性質-触媒機構(2)-金属イオン触媒,静電触媒,近接効果,配向効果-
  その他の触媒機構と種々の効果を理解する
6. 酵素反応機構-加水分解酵素-
  加水分解酵素を例として,その反応機構を理解する
7. 酵素反応機構-タンパク質分解酵素-
  タンパク質分解酵素を例として,その反応機構を理解する
8. 酵素反応速度論-ミカエリス・メンテンの式-
  酵素反応速度論研究の歴史とその評価法について理解する
9. 酵素反応速度論-ミカエリス定数と最大速度-
   酵素反応速度論の評価法とその式の意味を理解する
10.酵素反応の阻害-競合阻害-
   酵素反応制御の例として,競合阻害剤の作用を理解する
11.酵素反応の阻害-反競合阻害と混合阻害-
酵素反応制御の例として,反競合阻害剤と混合阻害剤の作用を理解する
12.酵素活性の調節
酵素反応制御の例として,共有結合修飾などによる四次構造変化を理解する
13.酵素の利用
  私たちの暮らしの中で,酵素が利用されている例を把握する
14.まとめ,学習内容の振り返り

準備学習として復習が重要である。
前回の授業内容を予め把握して,次の授業に臨んでほしい。

<成績評価方法>
試験期間に試験を実施する。
定期試験(90%),授業中の演習問題(10%)で最終成績を評価し,60点以上の者に単位を認める。

<教科書>
ヴォート「基礎生化学」第3版もしくは第4版(東京化学同人)

<参考書>
教科書を中心に、参考書の内容も取り入れて講義する。
中村隆雄 「酵素キネティクス」 学会出版センター
西澤一俊、志村憲助 「新・入門酵素化学」 南江堂

<オフィスアワー>
八王子校舎 月−金 10-17時,17号館303室
(新宿校舎での講義、実験時間を除く)
新宿校舎  火曜  授業終了後1時間 2068室
坂口E-mail: bt11532@ns.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
2年生までに教わったタンパク質の性質に関する復習と,各回で触れた事項を復習することで,次回に触れる事項の理解度が深まる。そのため,復習を繰り返してほしい。その上で酵素の不思議さを感じてほしい。


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