2016年度工学院大学 第1部機械システム工学科
△生産管理(Production Management)[6B02]
2単位 榎本 昌之 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 日本の産業の中で、製造業は依然として重要な位置を占めている。各メーカは、顧客満足向上と適正な利潤追求の両立を目指して、製品やサービスのQCD(品質、コスト、納期)の改善に継続して取り組んでいる。本授業の狙いを以下に記す。
・メーカで製品を生産する際に必要となる計画や管理の手法を習得する。 ・生産管理の専門事項だけでなく、生産管理を含む広義のものづくり(マーケティング、新製品開発、資材購買管理、物流管理、生産準備など)について、基本的な考え方とトピックスを理解する。 ・製造業を中心とした具体的な事例(生産活動に関するビデオの視聴を含む)を理解し、日本のメーカが現在直面している課題について理解を深める。
- <受講にあたっての前提条件>
- ・「システム工学」「統計学」などを履修し、数学の基礎やシステムの概念を習得すること。
・新聞や雑誌などで日本の製造業を取り巻く経済・社会動向などを理解しておくことが望ましい。
- <具体的な到達目標>
- ・メーカで製品を生産する際に必要となる計画や管理の概要、そして生産性やQCDを改善する手法の基本的な考え方を理解できる。
・広義のものづくりにおける生産管理の位置付けと、他の活動との関連について理解し考察できる。 ・日本の製造業が直面している課題を理解し、その課題を解決するアプローチを分析・評価できる。 (JABEE学習・教育到達目標) 「機械システム基礎工学プログラム」:D-1◎
- <授業計画及び準備学習>
- 01. 生産管理の概要
・講義内容: 日本の製造業を取り巻く環境、生産システムの概要を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、受注生産方式と見込生産方式の違いを整理すること 02. 研究開発・製品開発 ・講義内容: 新製品を開発するプロセス、設計情報管理、コスト管理、技術情報マネジメントを学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、製品開発と生産との関連性を整理すること 03. マーケティング・商品企画・需要予測 ・講義内容: 顧客ニーズを新製品に反映させる手法、生産管理に関連した予測手法を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、マーケティング、製品開発や需要予測に関する文献(雑誌の記事でも良い)を読むこと 04. 生産計画/管理(1) ・講義内容: 生産における生産計画の位置付けと概要を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、生産や生産管理の基礎用語を整理すること 05. 生産計画/管理(2) ・講義内容: 生産計画の手法と留意点を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、生産計画の種類や内容を整理すること 06. 生産計画/管理(3) ・講義内容: 生産計画に基づく生産制御の手法と留意点を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、仕掛とリードタイムの関係、部品の余剰や欠品を少なくする手法を整理すること 07. 資材購買管理 ・講義内容: 原材料や部品を購入して在庫管理やコスト管理をする手法と留意点を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、在庫管理や発注方式について整理すること 08. 工場計画・設備計画・設備管理・生産準備・作業研究 ・講義内容: 工場建設、工場管理、設備投資、設備保全、製品設計情報を生産基準情報に変換するシステム設計手法、生産性改善手法を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読み、海外工場立地の課題を整理すること 09. トヨタ生産方式 ・講義内容: 日本が世界に誇る生産管理方式の概要を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読むと共に、トヨタ生産方式に関する文献(雑誌の記事でも良い)を読むこと 10. 物流管理・ロジスティクス ・講義内容: 資材や製品を効率的に輸送・保管するシステム設計手法と留意点を学ぶ ・準備学習: 講義資料を読むと共に、物流やロジスティクスに関する文献(雑誌の記事でも良い)を読むこと 11. 品質管理と生産 ・講義内容: 品質改善、安全管理について学ぶ ・準備学習: 講義資料を読むと共に、品質改善に関する文献(雑誌の記事でも良い)を読むこと 12. 環境管理と生産 ・講義内容: 地球環境問題、環境と生産、リサイクルについて学ぶ ・準備学習: 講義資料を読むと共に、最近の品質や環境に関する文献(雑誌の記事でも良い)を読むこと 13. 生産自動化・生産情報システム・サプライチェーンマネジメント ・講義内容: CAD/CAM/CAE、CIM/FMS/FA、サプライチェーンマネジメントについて学ぶ ・準備学習: 講義資料を読むと共に、サプライチェーンマネジメントに関する文献(雑誌の記事でも良い)を読むこと 14. 学習内容の振り返り ・準備学習: 前回までの総復習を行うこと
- <成績評価方法>
- 授業中の小テスト提出(複数回実施)の30点と、レポート提出(授業期間中に2回実施)の70点との総計100点に対して、60点以上を合格とする。定期試験は行わない。なお、レポート提出が0回の場合には履修放棄とみなし成績評価は行わない。「機械システム基礎工学プログラム」の学習・教育到達目標D-1は、上記の評価基準を満たせば達成される。
- <教科書>
- 指定教科書なし。
プリント「生産管理」講義資料を毎回の授業で配付。
- <参考書>
- 指定参考書なし。
- <オフィスアワー>
- 授業終了後約15分間、新宿キャンパス12階講師室で。
- <学生へのメッセージ>
- 日本のものづくりを取り巻く環境としては、顧客ニーズの多様化、製品の価格破壊、製品ライフサイクルの短命化などが挙げられます。生産の海外移転に伴う国内空洞化や雇用問題も課題となっています。このように、日本の製造業は厳しい現実に直面していますが、この授業が今後も日本経済を支えてゆく日本のものづくりについて、皆さんが関心を持つきっかけになればと思います。
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