2016年度工学院大学 第1部機械システム工学科
○線形代数学I(Linear Algebra I)[4H02]
2単位 山崎 浩之 講師 [ 教員業績 JP EN ]
- <授業のねらい>
- 理学・工学分野の専門知識を学ぶとき、線形代数の理解が必要となる場面はいたるところに現れる。
この講義では線形代数の基礎となっているベクトルと行列・行列式・連立一次方程式の計算法を、 実数の範囲で身につける。 易しい問題を独力で正確にしっかりと計算できるよう練習し、疑問を残さないことをめざす。
- <受講にあたっての前提条件>
- 高校数学の範囲で、平面や空間の幾何学とベクトルを理解していること。
二元連立一次方程式を手早く確実に解けること。
- <具体的な到達目標>
- 1. ベクトルや行列の加法・乗法が計算できる。
2. 与えられた連立一次方程式を、行列の形式で書き直すことができる。 3. 連立一次方程式の基本変形(掃き出し法)と行列の簡約化の計算が理解できる。 4. 行列の簡約化の計算ができ、それを利用して連立一次方程式を解くことができる。 5. 与えられた行列の正則性を判定でき、正則行列の逆行列を求めることができる。 6. 行列式の対称性が理解でき、行列式の基本変形の計算ができる。 7. 行列式の余因子展開ができ、行列式の値を求めることができる。 8. 連立一次方程式の解の公式(クラメルの公式)が理解できる。
(JABEE学習・教育目標) 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: D-1 ◎ 「機械システム基礎工学プログラム」: C-1 ◎
- <授業計画及び準備学習>
- 1. ガイダンス。 行列式と連立一次方程式。
授業の進め方と成績評価について説明する。 簡単な二元連立一次方程式を題材に、講義の目的を解説する。 準備学習: 教科書(下記)を入手し、本科目の対象となる範囲(第1章〜第3章)の全体に渡って、軽く目を通しておく。教科書p.1〜p.5を予習。問題1.1を解く。
2. 行列と数ベクトル。行列の演算。 行列演算(和・差・定数倍と積)の定義と性質について紹介する。 与えられた行列の積が定義できるかできないかを判定できるようになる。 積が定義できる場合には乗算を実行し、積行列を求められるようになる。 準備学習: 教科書p.6〜p.10を予習。問題1.2を解く
3. 行列の分割。行列と連立一次方程式。 連立一次方程式を、行列とベクトルの積として表現することを学ぶ。 準備学習: 教科書p.11〜p.18を予習。問題1.4を解く。
4. 連立一次方程式の基本変形。行列の基本変形。 連立一次方程式を掃き出し法で解く方法を学ぶ。 掃き出し法の計算が、拡大係数行列の基本変形で表せることを学ぶ。 準備学習: 教科書p.19〜p.26を予習。問題2.1および問題2.2(1.)を解く。
5. 小テスト。行列の積と連立一次方程式の変数変換。 ※前回までの範囲について、小テスト形式で理解度を確認する。 後半は、連立一次方程式対する変数変換は、行列の積で表されることを紹介する。 準備学習: 前回までの範囲について、十分に計算練習をしておく。
6. 行列の簡約化と階数。同次形の連立一次方程式。 連立一次方程式の解の有無を判定し、一般解を求める方法を学ぶ。 準備学習: 教科書p.26〜p.33を予習。問題2.2および問題2.3(1.)を解く。
7. 逆行列と正則行列。逆行列と連立一次方程式。 逆行列について学ぶ。 係数行列の逆行列が与えられると、連立一次方程式が簡単に解けることを理解する。 準備学習: 教科書p.34〜p.35を予習。問題2.4(4.〜6.)を解く。
8. 行列の簡約化と逆行列。 行列の簡約化の計算を用いると、与えられた行列が正則であるかが 判定でき、正則であれば逆行列が求まることを理解する。 逆行列を求めるための、簡約化計算を練習する。 準備学習: 教科書p.36〜p.37を予習。問題2.4(1.〜3.)を解く。
9. 小テスト。置換。 ※前回までの範囲について、小テスト形式で理解度を確認する。 後半は、行列式の定義を理解するために必要な、置換の計算を紹介する。 準備学習: 前回までの範囲について、十分に計算練習をしておく。
10. 行列式の定義。行列式の性質(1)。 置換の符号を用いた行列式の定義について解説する。 行列式の対称性と、(行)基本変形について解説する。 3行3列以内の行列式について、値を求められるようになる。 準備学習: 教科書p.43〜p.48を予習。問題3.2を解く。
11. 行列式の性質(2)。余因子展開。 行列式の対称性と、基本変形について解説する。 基本変形を用いて、4行4列以内の行列式が計算できるようになる。 後半は、行列式の余因子展開について解説する。 準備学習: 教科書p.49〜p.55を予習。問題3.3を解く。
12. 小テスト。行列式とベクトル積。 ※前回までの範囲について、小テスト形式で理解度を確認する。 後半は、行列式の図形的意味(面積・体積・ベクトル積との関係)を紹介する。 準備学習: 前回までの範囲について、十分に計算練習をしておく。
13. 余因子展開とクラメルの公式 余因子展開を用いて、「正則 ⇔ 行列式が0でない」を解説する。 正則行列に対する逆行列を求め、連立一次方程式の解の公式を紹介する。 準備学習: 教科書p.56〜p.59を予習。問題3.4を解く。
14. 学習内容の振り返り 準備学習: 期末試験でできなかった問題の解き方を復習しておく。
- <成績評価方法>
- 授業内に行う小テストなどにより平常点 a(30点満点)を算出する。
試験期間内に実施する期末試験の得点を b(100点満点)とし、c=min(70,a+b)とする。 以下 1.〜4. のように定める最終評価点が60点以上の者に単位を認める。 1. 70≦b であれば、最終評価点を b とする。 2. b<70 であれば、最終評価点を c とする。 3. 上記2. で50≦c<60 かつ 15≦a である者のうち希望者に対しては、提出期限を指定して追加レポート(100点満点)を課し、その得点を d として最終評価点を min(60,d)で置き換える。 4. ただし、上記3. において追加レポートを期限内に提出しなかった者の最終評価点は c のままとする。 なお、正当な理由なく期末試験を受験しなかった者は履修放棄と見なします。
- <教科書>
- 「入門 線形代数」三宅敏恒 著(培風館)
- <参考書>
- 指定参考書なし。
- <オフィスアワー>
- 木曜日 16:00〜17:00 新宿校舎高層棟 A-1476室(情報処理研究室)
土曜日 16:00〜17:00 八王子校舎15号館 15-010室(準備室) 不在の場合もあるので、事前に連絡することを推奨する。 学生連絡用のアドレスは[ct10634@ns.kogakuin.ac.jp] なお、簡単な質問は授業後の教室でも受け付ける。
- <学生へのメッセージ>
- たくさん問題を解いて、計算に慣れてください。ノートや計算用紙を惜しんで式を小さく書こうとすると、ごちゃごちゃして無駄に難しく感じます。紙を惜しまず練習するとよいでしょう。
欠席した場合と、教科書を持参しない場合は、平常点から減点します。
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