2016年度工学院大学 第1部機械システム工学科

機械力学及演習(Dyanamics of Machinary and Experience)[4B06]

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3単位
大石 久己 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
 機械力学は機械の稼動時に生ずる問題を扱う学問である.機械の主要な機構と問題点について講義と演習を行い,機械の設計のための基礎的知識を身につけることを目的とする.以下に具体的な努力目標を示す.
1. ピストンークランク機構の慣性力とつりあわせ原理を理解し説明できる.
2. 動力伝達機構の関係式と等価モデルを理解し説明できる.
3. 回転機械のつりあわせについて理解し説明できる.
4. 回転機械のふれ回り危険速度について理解し説明できる.
5. 1自由度系の振動現象についての基本事項を理解し説明できる.

<受講にあたっての前提条件>
 本科目を履修する前に,「数学I,II」「工業数学A,B」などにより微分積分学や微分方程式の解法,「物理I,II」「物理学演習I,II」「工業力学及演習I,II」などの科目により,速度と加速度,質点に働く力と運動法則,剛体の運動,仕事とエネルギー,運動量と力積の基本事項と「機構学及演習」で機械の構造と運動について習得しておく必要がある.
 本科目の修得後は,「機械振動学」でさらに振動について詳しく学習する.また,機械の運動を取り扱う他の専門科目の基礎となる.

<具体的な到達目標>
 機械システム工学基礎プログラムの学習・教育到達目標 (D)機械工学ならびにシステム工学とそれらの融合領域に体系づけられた専門知識とそれらを応用する能力を身につけた技術者の育成のため,機械工学の主要分野の内,「機械力学」の基礎知識を身につけ,それとシステム工学の主要分野に関連した知識を修得するため,以下のことを具体的な到達目標とする.これは,学位授与の方針の(2-1)学部学科毎に示された専門分野の基礎知識を修得していることに対応する.
1. ピストンークランク機構の慣性力とつりあわせ原理を説明できる.
2. 動力伝達機構の関係式と等価モデルを理解し説明できる.
3. 回転機械のつりあわせについて理解し説明できる.
4. 回転機械のふれ回り危険速度について理解し説明できる.
5. 1自由度系の振動現象についての基本事項を理解し説明できる.
<JABEE学習・教育到達目標>
「機械システム基礎工学プログラム」:(D-1)◎,(D-2)○
<学位授与の方針>(2-1)◎

<授業計画及び準備学習>
1. ガイダンスと機械力学の基礎1(13講と14講) はじめに「機械力学」の位置づけ,学習内容,他の科目との関連について示す.次に「機械力学」の学習に必要な「工業力学」の学習内容についての演習を行い,基礎的な事項の確認と整理を行う.主な内容は,力のつりあい,ニュートンの運動法則,質点の直線運動と円運動,瞬間中心,加速度の表現,運動量と力積,回転の運動方程式,代表的な形状の慣性モーメント,角運動量と角力積および角運動量保存則である.
努力目標:質点系の運動についての基礎的な事項の確認と理解
準備:工業力学の内容の中で,力のつりあい,ニュートンの運動法則,質点の直線運動と円運動,
瞬間中心,加速度の表現,運動量と力積,回転の運動方程式,代表的な形状の慣性モーメント,
角運動量と角力積および角運動量保存則について復習しておく.
復習:授業内容を確認し,不足している部分について,工業力学の内容を復習しておく.
また,関連問題1と類似問題を解き,理解を深める.

2. 機械力学の基礎2(13講と14講) 質点系の運動についての演習問題の確認を行い,より理解を深める.また,13講と14講の内容について確認する.
努力目標:解答を確認し,機械力学の学習で必要とする基礎的な事項を確認し,理解する.
準備:教科書の13講と14講を予習しておく.
復習:関連問題1と類似問題を解き,理解を深める.

3. 往復機械の動力学(15講) 往復運動と回転運動の変換機構として利用される代表的なピストンークランク機構の運動について学習する.
努力目標:1気筒のピストンの往復運動の慣性力についてよく理解する.
準備:教科書57-58ページの5.1節までを予習し,不明な点を確認しておく.
復習:配付資料の式の導出を確認し,授業の復習を行う.また,ピストンークランク機構の作図課題を行い,運動のイメージをつかみ,理解を深める.課題はレポートとして提出を求める.表紙のチェクシートをしっかり記入すること.また,提出時に解説するので,内容を確認し,不十分な点は補うこと.

4. 直列形機関のつりあわせ(15講) シリンダーの向きが同じ直列形2気筒と4気筒エンジンの慣性力のつりあわせ方法を2ストロークサイクルと4ストロークサイクルについて学習する.
努力目標:2ストロークサイクルと4ストロークサイクルの違いを理解し,直列形機関のつりあわせ原理が異なることを理解する.
準備:教科書58-60ページを予習.配付資料の内容を確認し,後半の内容を確認する.また,2気筒と4気筒の動きを実際に作図して確認する.
復習:配付資料の内容を確認し,不足部分について図を完成し,理解を深める.関連問題2と類似問題を解き理解を深める.

5. 多列形機械のつりあわせ(16講) 水平対向エンジン等のシリンダー列が複数ある多列形機関の慣性力のつりあわせ方法を学習する.
努力目標:多列形機関のつりあわせ原理を理解する.
準備:配付資料の内容を確認し,不足部分について図を完成する.また,多列機関への適用を検討する.教科書の61-62ページの16.1節までを予習.
復習:配付資料の図を完成し,理論的裏付けを確認する.

6. 変速機による動力伝達(16講) 変速機による動力伝達についての関係式とその1軸等価系について学習する.これは歯車の動力伝達の基礎となる.
努力目標:変速機の関係式と等価モデルを理解する.
準備:教科書の62-63ページを予習.工業力学の剛体の回転運動について確認.
復習:配付資料の式の導出を確認,理解を深める.関連問題3と類似問題を解き理解を深める.

7. 回転機械のつりあわせ(17講) タービンなどの回転機械の静つりあいと動つりあいの意味と関係式について学習する.
努力目標:回転機械のふつりあいについての関係式を理解する.
準備:教科書の64-65ページを予習.工業力学の回転運動の基礎について確認.
復習:授業中に行ったつりあわせの基礎問題の内容を全て確認し,理解を確実なものにする.また,それに基づき配付資料の式の導出を確認,理解を深める.関連問題3b問14,15と類似問題を解き理解を深める.

8. まとめ 中間試験を行い,今までのまとめを行う.また,回転機械のつりあわせについて授業を進める.
努力目標:今までの内容をまとめ達成度の確認をする.
準備:教科書16講まで,関連問題3と類似問題を確認し,まとめ資料を作成し,理解を確実なものとする.
復習:中間試験の内容を確認し,理解不十分な点を補う.また,理解不十分な点については関連問題と類似問題を再度行い,理解を確実なものとする.中間試験の結果については,授業の中で詳しく説明する.

9. 回転機械のまとめ(17講)  いままでの回転機械のまとめを行い,整理する.
努力目標:回転機械のつりあわせについて理解を深める.
準備:配付資料の不十分な点を全て補い,関連問題と類似問題を確認する.
復習:回転機械の最終のまとめを行う.

10. 1自由度系の振動モデルと運動方程式(19講)  ばねと質量からなる1自由度系の運動方程式の立て方とその解法を学習する.
努力目標:1自由度系の振動現象についての基本的な事項を理解する.
準備:教科書は19講に飛ぶ.70-74ページを予習する.また工業力学や物理学の振動問題について確認する.
復習:今後の授業の基礎となる.授業内容を確認し,運動方程式の立て方,振動問題の考え方について十分に理解する.関連問題4問24〜30問を行い,理解を深める.

11. 回転機械のふれ回り危険速度(17講)  回転機械のふれ回りの運動方程式を求め,固有振動数と危険速度との関係を学習する.
努力目標:回転機械のふれ回り危険速度の現象を理解し,求め方を学習する.
準備:教科書65-66ページ17.3節に戻る.材料力学のはりの曲げ問題について確認する.
復習:授業の内容を確認し,関連問題3b問16〜19を行い,理解を深める.配付資料の内容を確認にし,危険速度と共振現象について理解し,はりのばね特性ついて材料力学の学習内容と合わせて理解を確実なものとする.

12. 回転機械のねじり危険速度(18講)  ねじりのばね定数の概念を定義し,回転機械のねじりの運動方程式の求め方を学習する.
努力目標:回転機械のねじりの危険速度の求め方を理解する.
準備:教科書67-68ページ18.2節までを予習する.材料力学の棒のねじりについて確認する.
復習:棒のねじりについて確認し,運動方程式と共振についても理解を確実にする.関連問題4問20〜21を行い,理解を深める.

13. 歯車の動力伝達(18講)  2軸の歯車やベルトを介した動力伝達機構の運動方程式について学習し,等価な1軸系へのモデル化が可能であることを示す.最後に,今までの講義内容を整理し,「機械力学」の基本事項の復習とまとめを行う.
 努力目標:歯車の動力伝達機構の等価モデルについて理解する.
準備:教科書68-69ページ18.3節を予習する.歯車の伝達機構の1軸等価モデルの考え方を復習しておく.
復習:軸のばね特性を考慮した歯車機構の考え方を確認し,理解を確実にする.関連問題4問22,23を行い,理解を深める.

14. 授業の振り返り  今まで学習してきた内容をまとめ,重要な項目について再確認を行う.理解不十分な点を確認し,理解を深める.
準備:今までの授業の内容と,理解不十分な点を再度確認する.たとえば,教科書の例題,関連問題,類似問題を確認し,期末試験で解くことができたかを踏まえて,実際の理解度を確認する.
復習:今までの授業内容を再確認し,理解不十分な点を補い,理解を確実なものとする.

<成績評価方法>
 演習課題(40%),中間試験(25%),期末試験(35%)の結果の合計が60点以上の場合に単位を認める.ただし,演習と課題が提出不十分な場合は減点する.
 学習・教育到達目標 Dの内,機械工学の主要分野の中で「機械力学」の分野の基礎的な知識は,上記の評価基準を満たせば修得することができる.また,システム工学の主要分野と「機械力学」の関連も修得することができる.

<教科書>
「機械力学 機構・運動・力学」三浦宏文他著(朝倉書店)

<参考書>
「機械力学」辻岡康著(サイエンス社)
「基礎振動工学(第2版)」横山,日野,芳村共著(共立出版)
「詳解 工業力学」入江著(理工学社)

<オフィスアワー>
金曜日12:20〜13:20新宿キャンパス高層棟1772室または1863室(機械力学研究室).これ以外でも,1772室前の質問用紙(記入例に従って記入)と掲示連絡で対応可.

<学生へのメッセージ>
 1,2年で学習した物理,力学系の科目の復習を履修前にしておくことを期待する.特に,質点系の運動と剛体の運動が基礎となるので重要である.また,いわゆる四力の内の1科目として他の専門科目の基礎となる科目である.しっかり学習すること.授業のはじめに工業力学の中で機械力学に関連する箇所の確認試験を行う.準備をしておくこと(17階に掲示).また,演習課題を行うことで自分の理解度を確認し,より理解を深めてもらいたい.演習問題については,他の類似問題にも挑戦し,分かったところと,分からなかったところを確認し,次の授業に臨んでもらいたい.さらに説明後に改めて問題を見直し,確実に理解するように努力してもらいたい.


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