2016年度工学院大学 第1部機械システム工学科

プログラミング演習(Seminar in Programming)[3A10]

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1単位
大石 久己 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
 プログラミング技術の習得をねらいとする演習形式の授業である.言語はMATLABを使用する.MATLABは,行列計算や制御系に強い応用範囲の広い言語である.1年で学習したプログラミング言語VBAを踏まえ,実際に機能するプログラムを作成できるようになることを目標とする.以下に具体的な到達目標を示す.
(1) MATLABによるプログラミングの基礎を習得し,使用することができる.
(2) プログラムの構造要素を理解し,プログラムを設計できる.
(3) 実際に機能するプログラムを作ることができる.

<受講にあたっての前提条件>
 本科目を履修する前に,「情報処理入門」で情報処理に関する基礎的事項をしっかり身につけ,「情報処理演習」のVBAの演習でVBAの使用法とプログラミングの基本を身につけておく必要がある.また,「数学I・II」「数学演習I・II」で微分・積分や行列の取り扱いなど数学の基本事項について習得しておくこと.また「線形代数学I」,「工業数学A」と同時進行であるが,関連する部分が多い.さらに「工業数学B」にもつながる.
 修得後は,「数値計算法」「制御工学I・II」「デジタル制御」「機械力学及演習」「機械振動学」で工学問題に重要な役割を持つ数値計算や制御系の科目を学習することになる.また,「機械システム実験及演習」「機械システム設計総合演習」ではMATLABを用いた課題がある.これらの科目では,課題を解くためにプログラムを組むことができるようになっていることが期待される.さらに,「応用プログラミング演習」で他の言語やより高度なプログラミングについて学習し,最終的に卒論においてデータ処理や数値解析に利用することになる.また,他の専門科目の授業でも利用することができる.卒業後も現場で利用できる有益な言語である.

<具体的な到達目標>
 機械システム基礎工学プログラムの学習・教育到達目標の(C)機械システム工学分野の技術者に求められる数学及び自然科学等の基礎知識と方法論を身につけ,(D)機械工学ならびにシステム工学とそれらの融合領域に体系づけられた専門知識とそれらを応用できる能力を身につけた技術者を育成するため,以下のことを具体的な到達目標とする.これは,学位授与の方針の(1-1)数学,自然科学および情報技術の基礎知識を身につけていることの,情報技術の基礎知識を身につけることに対応する.また(2-1)学部学科毎に示された専門分野の基礎知識を修得していることの,専門分野の基礎知識を修得することにも対応する.
(1) MATLABによるプログラミングの基礎を習得し,使用することができる.
(2) プログラムの構造要素を理解し,プログラムを設計できる.
(3) 実際に機能するプログラムを作ることができる.
<JABEE学習・教育到達目標>
「機械システム基礎工学プログラム」(C-2)○ (D-1)○ (D-2)◎
<学位授与の方針>(1-1)○ (2-1)◎

<授業計画及び準備学習>
1. 授業ガイダンスとMATLABの基本操作 シラバスを確認し,資料に従ってMATLABの起動と基本操作を実際に行い,修得する.
目標:MATLABの基本事項を確認する.
準備:シラバスを読み,授業内容を確認し,MATLABについて調べておく.また,「情報処理概論及演習」の授業内容を復習し,理解不十分な点を補っておく.
復習:チュートリアルビデオを確認し,MATLABの基本事項を確認する.問題の解答不十分な点を補う.

2. クイックスタート1 MATLABの主な機能を3回に分け学習する.はじめに行列と配列の基礎を学習する.
目標:行列と配列の作成と演算,利用方法について習得する.
準備:マニュアル1-3〜12の内容を確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,行列と配列操作を十分なものにする.問題の解答不十分な点を補う.また,他の操作も実行してみる.

3. クイックスタート2 MATLABの文字列と関数,グラフィックの基礎について学習する.
目標:文字列と関数の取り扱いと,グラフィックの主な機能を知る.
準備:マニュアル1-12〜20の内容を確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,グラフィック等の主な機能を知る.問題の解答不十分な点を補う.

4. クイックスタート3 MATLAB のプログラミング,Mファイルの基礎について学習する.
目標:プログラミング機能(Mファイル)の基礎について習得する.
準備:マニュアル1-21〜28の内容を確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,Mファイルの取り扱いについて理解する.問題の解答不十分な点を補う.

5. プログラミング1 MATLAB のプログラミング(Mファイルについて)について学習する.
目標:条件判断,繰り返し構文について使えるようにする.
準備:マニュアル5-1〜7の内容を確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,条件判断,繰り返し構文について理解する.問題の解答不十分な点を補う.

6. プログラミング2 VBAと対比してMATLABのプログラムを作成し,プログラミング方法を学習する.
目標:MATLABのプログラムを実際に作成して基本事項を理解し,MATLABのスクリプトとファンクションについて理解し,プログラム構成できるようにする.
準備:マニュアル5-7〜17と,配付資料の内容を確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,プログラミングについて理解を深める.問題の解答不十分な点を補う.また,スクリプトとファンクションの理解を深める.問題の解答不十分な点を補う.

7.言語の基礎1 MATLAB言語の基礎について2回に分け学習する.はじめにMATLABの変数,行列・配列について学習する.
目標:MATLABの変数,行列・配列についてのルールをまとめ,利用できるようにする.
準備:マニュアル2-1〜16の内容と,授業前半で学習した内容を併せて確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,変数,行列・配列操作について全体的な整理を行う.問題の解答不十分な点を補う.

8. 言語の基礎2 行列・配列操作と,プログラムでの利用方法を学習する.また,プログラム作成のための演習課題を行う.
目標:MATLABの行列・配列操作について理解し,プログラムで使えるようにする.
準備:マニュアル2-17〜34と,授業前半で学習した内容を併せて確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,行列・配列操作とプログラムでの利用方法の全体的整理を行い,利用できるようにする.問題の解答不十分な点を補う.

9. グラフィックスの基礎 MATLABのグラフィックの基礎と応用を2回に分け学習する.はじめに基本事項とプログラムでの利用を学習する.
目標:MATLABのグラフィックの基礎事項を理解し,プログラムで使えるようにする.
準備: マニュアル4-1〜27の内容と,授業前半で学習した内容と併せて確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,グラフィックについて理解を深める.問題の解答不十分な点を補う.

10. グラフィックの応用 グラフィックのハンドル機能について学習し,プログラムでの利用を検討する.
目標:グラフィックのハンドルによる操作を理解し,プログラムで使えるようにする.
準備:マニュアル4-28〜36の内容を確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,グラフィックのハンドル操作について理解を深める.問題の解答不十分な点を補う.

11. MATLABのファイル操作 MATLABのファイル操作の基本を,Excelファイルを対象に学習する.
目標:MATLABでExcelファイルが取り扱うことができるようにする.
準備:配付資料の内容を確認しておく.
復習:資料の内容を再確認し,MATLABのファイル操作の理解を深める.問題の解答不十分な点を補う.

12. 最終の演習課題 最終のまとめの演習課題を行う.
目標:今までの授業の内容をまとめた演習課題を課すので,時間内に問題を解き,プログラム構成を理解する.
準備: 今までの授業内容を確認して整理し,資料をまとめておく.不十分な点があれば,それを補い,最終の演習課題ができるように準備する.
復習:演習課題をまとめることで,MATLABのファイル操作を確認する.間違いや理解不十分な点を確認して修正する.不足部分を補う.

13. 最終の演習課題の確認 最終の演習課題の問題点を確認し,修正する.
目標:前回の演習課題の問題点を確認し,修正する.理解不十分な点があれば,それを補う.
準備:前回の最終演習課題の結果を確認し,問題点を明らかにする.間違いがあれば修正する.また,実際にプログラムを作成し,動作の確認を行っておく.できるだけエラー対策をしておく.
復習:最終の演習課題の不十分な点を補い,完成させ,レポートとして再提出する.

14. 授業の振り返り
目標:今までの課題の内容を確認し,授業の振り返りを行う.未提出課題の確認を行い,MATLABの基礎の不足部分を補い,MATLABを的確に利用できるようにする.
準備: 今までの授業と提出課題の内容を確認する.
復習:MATLABの基礎の内容を確認し,不足部分があれば授業資料を再確認して補い,MATLABを的確に利用できるようにする.

<成績評価方法>
 学習・教育到達目標(1)は,演習課題を行うことで達成できる.(2)はプログラム構造についての演習課題を行うことで達成できる.(3)は授業中のプログラム作成と最終課題を行うことで達成できる.したがって,以下の基準を満たせば目標は達成されたと評価する.
 学習・教育到達目標(1)は,授業の内の演習課題をしっかり行っているかで判断する.目標(2)はプログラム構造についての演習課題をしっかり行っているかで判断する.目標(3)は最終課題を十分に理解しているかで判断する.したがって,以下の評価基準とする.
A+: 授業内の演習をしっかり行い,全ての課題を期日内に提出し,理解も十分である.また,最終課題を提出し,不十分な点については,補足レポートを期日内に提出している.理解度も十分である.
A : 授業内の演習はしっかり行っているが,課題の提出についてやや不十分な点がある.ただし,期日は遅れたが,補足レポートを提出し,理解十分である.また,最終課題を提出し,不十分な点については十分に理解して補足レポートを期日通りに提出している.
B : 授業内の演習は行っているが,課題の提出についてやや不十分な点がある.ただし,補足レポートを提出して理解十分である.また,最終課題を提出し,不十分な点については,補足レポートを提出している.内容も良好な状態である.
C : 授業内の演習は行っているが,課題提出に不十分な点がある.ただし,MATLABによるプログラミングの基礎は理解し,使用できると判断できる.また,最終課題についても不十分であるが提出し,内容を理解した補足レポートを提出し,機能するプログラムを作ることができると判断できる.
D : 授業内の演習は不十分な点はあるが実施し,ほとんどの課題を提出している.やや理解不十分な点はあるが,MATLABによるプログラミングの最低限の基礎は理解し,使用できると判断できる.また,最終課題についても不十分であるが提出し,内容を理解した補足レポートを提出し,機能するプログラムを作る基礎は身についていると判断できる.ただし,習熟を確実にするためには,再度学習内容について確認し,補う必要がある.また,演習課題についても再度実施し,実際に機能するプログラムを作成できる力を確実なものとする必要がある.

<教科書>
市販の教科書は利用せず,ソフトに付属した入門マニュアルなどや授業で配付する資料を利用する.

<参考書>
 指定の参考書は特に定めない.関連図書は何冊か出ている.基本事項については同じであるので,自分に合ったものを探すと良い.MATLABを用いた専門分野の教科書もある.また,ソフトに付属したチュートリアル用の資料が充実していて役立つ.いろいろと利用するとよい.

<オフィスアワー>
 水曜日1限授業前か授業後,場所は八王子1号館講師室(1N-125室)とする.ただし,2限に基礎演習の授業を担当する場合は,2限直後の昼休みとする.
また,新宿キャンパスの場合は,金曜日12:20〜13:20新宿キャンパス高層棟1772室または1863室(機械力学研究室).これ以外でも,1772室前の質問用紙(記入例に従って記入)と掲示連絡で対応可とする.

<学生へのメッセージ>
 MATLABは,気軽に利用できる割に,行列計算や制御系に強く,応用範囲の広い言語である.将来に亘って利用が期待できる.しっかり修得しておくことは有益である.その反面,プログラミングの基礎が疎かになってしまう危険がある.そのため,本授業では,例題を入力するだけでなく,プログラムの流れと命令の意味を理解するよう努め,基礎をしっかり身につけることを希望する.そして,例題のプログラムをいろいろと変更し,同様なプログラムを多く作って遊んでほしい.自分でプログラムを作ってみると多くのエラーが発生する.演習の時間はその解決のためにできるだけ時間を割きたい.それらのエラーの経験が諸君のプログラミングの力を飛躍的に伸ばすことになる.また,MATLABは,他の授業でも利用することができる.また,卒論でも大いに役立つ.MATLABの良さを知り,大いに利用してもらいたい.奥は深い言語である.サイトライセンスが確保され,在学中は自宅でも自由に利用できる.この機会を生かしてもらいたい.


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