2016年度工学院大学 第1部機械工学科 メカノデザインコース

社会と技術者の倫理(Social and Engineering'S Morals)[3H02]

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2単位
水谷  巽 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
 科学技術は世界を豊かにし、人々の生活を便利で快適にするために大きな役割を果たしているが、同時に環境問題や工業製品の事故、薬害など大きな問題を発生させうる負の側面も有している。現代の技術者はこうした技術の負の側面を如何に抑制するかについても深い見識と判断力、行動力が求められている。この科目では、社会における技術者の役割および技術者の倫理について学び、真剣に検討すべき多くの事例も用いて倫理問題に関し技術者として如何に行動すべきかを判断できる能力を養う。

<受講にあたっての前提条件>
特になし。

<具体的な到達目標>
(1)社会において技術者が活動する上で技術者の倫理が不可欠であることを理解する。
(2)技術者の判断が社会に与える影響の大きさ、および社会に対する技術者の責任を理解する。
(3)倫理問題に関する感性を高め、技術者として適切に判断、行動できる能力を養う。
(4)倫理的思考法、具体的な行動決定法を理解し、これらを実際に活用する能力を養う。

(JABEE学習・教育到達目標)
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:(B)◎

<授業計画及び準備学習>
1.技術者と倫理
 第1週:ガイダンス:なぜ技術者の倫理を学ぶのか
     準備学習:"倫理とは何か、なぜ技術者の倫理を学ぶか"について各自の考えを纏めておく.
 第2週:技術者が直面する倫理課題
     備準学習:教科書第1章に目を通しておくこと.技術者は社会でどのような場面に直面しうる
     かについて、各自の考えを纏めておくこと.
 第3週:倫理とは何か
     準備学習:教科書第2章を読み、倫理とは何かについて概略を把握する.
 第4週:技術者の倫理とは何か
     準備学習:教科書第3、4章を読み、これを参考に”なぜ技術者の倫理が必要か”について考
     えを纏める.
 第5週:ケーススタディ1
     準備学習:第16章に目を通す.第4週の学習を復習して、技術者が行動決定する際に考慮す
     べき要件を理解する.
2.如何に考え、如何に行動するか
 第6週:倫理的思考の実践−倫理テスト、先取権・研究倫理、情報倫理
     準備学習:第4週の学習を復習し、第8、11章に目を通して、倫理的思考の手順、研究と発
     明・発見の倫理について考える.
 第7週:倫理的思考の実践−線引き問題
     準備学習:第13章に目を通し、立場によって正否の判断が異なる問題にどのように対処する
     か考えてみる.
 第8週:倫理的思考の実践−ジレンマ問題
     準備学習:第5週の学習を復習し、価値の対立がある場合の行動決定について考えてみる.
 第9週:ケーススタディ2
     準備学習:第4週、第6週(6-1)、第8週の学習を復習して、価値の対立がある場合に技術者と
     してどのように行動決定するか考えておく.
3.社会において技術者が直面する倫理的課題
 第10週:企業における技術者倫理
     準備学習:第5、6、8章に目を通すと共に、技術者と企業の関係および企業のなかでどのよ
     うに行動決定すべきか考えておく.
 第11週:公共社会における技術者倫理
     準備学習:第7、9、10、15章を読み、公共に対する技術者の義務について考えておく.
 第12週:国際社会における技術者倫理
     準備学習:第12章に目を通し、文化と技術者の倫理とがどのように関係するか考えておく.
 第13週:ケーススタディ3
     準備学習:これまでの学習をもとに、第2週で示した場面で、技術者がどのように行動すべ
     きか、各自の考えを纏めておく.
 第14週:事例検討で使った事例の考え方の解説、鉄道・航空機の最近の事例、学習内容の振り返り
     準備学習:ケーススタディの復習.

<成績評価方法>
試験は行わない.各回の課題に対してその理解を確認するため授業後に提出する小レポート(又は小テスト)(配点30点)と3回のケーススタディのレポート(配点70点)の合計得点が60点以上の場合を合格とする。

<教科書>
「技術者の倫理」林真理、宮澤健二、小野幸子 ほか(コロナ社)
別に講義内容のプリントを配布する。

<参考書>
「第3版 科学技術者の倫理 その考え方と応用」社団法人日本技術士会 訳編(丸善)

<オフィスアワー>
授業前後30分、講師室にて。
他の時間を希望する場合は相談して下さい。

<学生へのメッセージ>
技術者の倫理は“社会において技術者がどのように行動すべきか”を考える学問です。すなわち、単に規則・規範を覚えて守るというものではなく、倫理的な判断や行動を創造的、能動的に実践できることを目標としており、このことを理解して皆さんの将来に生かして下さい。


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