2016年度工学院大学 第1部機械工学科 メカノデザインコース

精密加工学(Precision Machining)[1B02]

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2単位
瀧野 日出雄 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
わが国のような先進工業国における製造業には,世界をリードする先進性や競争力に富んだものづくりがもとめられる.また付加価値の高い製品を創造していかなければならない.精密加工学はこのような高度の技術を基盤としたものづくりに役立つ.
 将来,機械系の技術者は,高品質のものづくりに関してさまざまな課題に直面するであろう.本授業は,それに的確に対応できるように,対象物を精密に加工するための考え方を身につけてもらうことをねらいとしている.

<受講にあたっての前提条件>
加工工学概論を履修していることが望ましい.

<具体的な到達目標>
具体的な達成目標は以下のとおりである.
(1)精密加工を実施するうえでの諸原則が理解できている.
(2)ものづくりにおいて,上記(1)に基づいて高精度達成の方針を策定できる.
(3)さまざまな精密加工法の原理と特徴が理解できている.
(4)高い精度が要求されるものづくりにおいて,上記(3)に基づいて最適な精密加工法を選定でき,高精度達成の方策を見いだすことができる.

<授業計画及び準備学習>
精密加工を実施するうえで重要な諸原則を解説する.それら諸原則の理解を深めるために,代表的な精密加工法の原理や特徴を解説する.ここでは,各精密加工法の原理を自然科学や工学基礎の立場から解説して,加工メカニズムや加工領域で生じている現象を理解してもらう.さらに,最近の精密製品の製造例を紹介することにより,これまでの学習内容の理解を深めてもらう.なお,精密加工を実現するために重要な計測技術や,近年注目を集めているナノテクノロジーの分野で用いられる加工技術にもふれる.

 各週の具体的な授業計画は下記のとおりである.ただし,理解度に応じて授業内容を変更することもありうる.
01週 ガイダンスを行う.精密加工とは何かを講義する.
02週 精密加工の効果について講義する.
03週 精密加工法:切削・・・代表的な精密加工法である切削について,特徴や用途を講義する.
04週 精密加工法:研削・・・代表的な精密加工法である研削について,特徴や用途を講義する..
05週 精密加工法:特殊加工・・・代表的な精密加工法である特殊加工について,特徴や用途を講義する.
06週 精密加工法:特殊加工・演習・・・特殊加工について続きを講義するとともに,切削・研削・特殊加工に関する問題演習を行う.
07週 精密加工に用いられる工具(切削工具,砥石)について講義する.
08週 工作機械の構造について講義する.
09週 精密加工の原則:加工誤差の原因となる弾性変形について講義する.
10週 精密加工の原則:加工誤差の原因となる熱変形について講義する.
11週 精密加工の原則:加工誤差の原因となる振動について講義する.
12週 精密加工の原則:精密加工の作業環境について講義する.
13週 精密加工の原則:加工段階の原則,強制加工と圧力加工について講義する.
14週 精密加工の歴史について講義する.
15週 学習成果の確認(試験)

各週の準備学習: 加工学の関連項目を,毎回,参考書などで予習しておくこと.また,復習としてのレポート提出をしてもらうが,その内容は講義中に説明する.

<成績評価方法>
 最終回に行う試験を60点,課題を40点とし,その合計得点により最終成績を評価する.
60点以上に単位を認定する.
講義要点のまとめや,精密加工に関連した計算問題などを課題とする予定である.

<教科書>
教科書は使用しない.ほぼ毎回配付する資料に沿って講義を進める.

<参考書>
精密加工で使われる各種の加工技術については、たとえば下記の書籍などで解説されている.
・JSMEテキストシリーズ 加工学I −除去加工− 日本機械学会発行 丸善(株)発売 2006年

<オフィスアワー>
授業前後に兼任講師控え室でおこないます.ただし,事前に講師宛に電子メールを送って予約をしてください.簡単な質問等であれば、電子メールでも対応します.メールアドレスは,ガイダンスの時にお知らせします.

<学生へのメッセージ>
深い専門性(縦棒)と幅広い知識(横棒)とを備えたT字型の技術者をめざしてください.深い専門知識とそれに基づく課題解決力は,技術者として社会からの期待にこたえて活躍していくうえで重要であり,幅広い知識は急速に変化している社会に適応してさらなる活躍をしていくために大切であると思います.


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