2016年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース

芸術と社会A(Art and Its Social Aspects A)[4A24]

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2単位
梅津 紀雄 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
この授業では映画を主たる素材として、映像表現による歴史表象について学びます。
映画やテレビ番組は多くの皆さんにとっては娯楽でしかなく、それらをじっくり分析する機会もまずないでしょう。しかし、映像表現が与えてくれるさまざまなイメージは、どんなに客観的であろうと努めたとしても、何らかの形で作り手の「プリズム」を通した表現であり、無意識に私たちの意識を方向付けていることを意識する必要があります。
この授業では、映像表現を批判的に読解できるようになることを目標として、20世紀の歴史的事件を描いた劇映画とドキュメンタリー映画を素材として、映像分析を行っていきたいと思います。

<受講にあたっての前提条件>
特になし。

<具体的な到達目標>
1)私たちの生活にあふれている映像表現を娯楽としてではなく、私たちの思考を方向付けるものとして、学問的な対象として検討する眼差しを身につけ、2)映像表現がそもそも中立であることの困難さを理解し、それとともに、そこで描かれる3)20世紀の歴史的な事件についても理解を深めます。

<授業計画及び準備学習>
1. イントロダクション
 準備学習: シラバスを確認しておく
2. ロシア革命と無声映画(1)エイゼンシテイン《ストライキ》
 準備学習: ロシア革命について確認しておく
3. ロシア革命と無声映画(2)エイゼンシテイン《戦艦ポチョムキン》
 準備学習: モンタージュ技法について確認しておく
4. 第一次世界大戦と階級・民族の表象:ルノワール《大いなる幻影》
 準備学習: 第一次世界大戦について確認しておく
5. ナチズムとプロパガンダ(1)リーフェンシュタール《意志の勝利》
 準備学習: ナチズムの歴史について確認しておく
6. ナチズムとプロパガンダ(2)ミュラー《レニ》
 準備学習: 戦後の非ナチ化について確認しておく
7. ホロコーストの表象(1):スピルバーグ《シンドラーのリスト》
 準備学習: ホロコーストという事象について確認しておく
8. ホロコーストの表象(2):ランズマン《ショアー》
 準備学習: 《シンドラーのリスト》への批判記事を確認しておく
9. 第2次世界大戦とプロパガンダ:キャプラ《我々はなぜ戦うか》
 準備学習: 第2次世界大戦について確認しておく
10. 第2次世界大戦と事実の掘り起こし:原一男《ゆきゆきて、神軍》
 準備学習: 終戦直前の日本軍の状況について確認しておく
11. ベトナム戦争:オリヴァー・ストーン《プラトーン》
 準備学習: ベトナム戦争について確認しておく
12. チェチェン紛争:ボドロフ《コーカサスの虜》
 準備学習: チェチェン紛争について確認しておく
13. 現代日本:森達也《A》
 準備学習: 1995年前後の日本の現代史について確認しておく
14. 学習成果の振り返り
準備学習:前回までの総復習を行う。

 以上はあくまで予定です。
 準備学習と復習においてはプリントの通読が柱となります。個別に指示がなくとも、配布物は必ず通読してください。プリントを読まないもの、特に第1回のプリントを読まないものは単位を必要としていないと見なします。

<成績評価方法>
レポート提出と試験期間内の定期試験受験を前提とし、定期試験65%+レポート5%+平常点30%で総合評価します。平常点はレスポンスカードにより採点し、毎回4点ずつで合算し、50点を満点とし、超えた分は切り捨てます。時折実施される小テストはレスポンスカードの一部として採点されます。
 なお、出席していてもまったく聞いていない人には平常点は与えられません。また、仮に定期試験が満点でもレポート未提出者は単位認定の対象としません。

<教科書>
指定教科書なし。毎回プリントを配布します。

<参考書>
・藤崎康(2008)『戦争の映画史 恐怖と快楽のフィルム学』(朝日選書841)朝日新聞出版
・フロドン、ジャン=ミシェル(2002)『映画と国民国家』野崎歓訳、岩波書店
・モーリス−スズキ、テッサ(2004)『過去は死なない メディア・記憶・歴史』岩波書店 その他、講義中に指示します。

<オフィスアワー>
授業開始前・終了後、教室または兼任講師室で。なお、単位に関する個別の交渉には応じません。

<学生へのメッセージ>
現在、一見、情報は気楽に集められるようになりましたが、手軽に身に付く知識の「賞味期限」は短いものです。短時間で覚えたことは短時間で忘れます。そもそも勉強は試験や単位のために行うものではなく、自分自身の今後の人生をより豊かにするためのものであり、知識や教養は決してアクセサリーなどではなく、日常の意識を問い直すためのものなのです。日本が、そして世界が揺らいでいる今、未知なる未来を生き抜く準備をしておきましょう。


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