2016年度工学院大学 第1部機械工学科 エコエネルギーコース

航空宇宙工学(Aerospace Engineering)[2F01]

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2単位
薄 一平 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<授業のねらい>
航空、宇宙分野の技術革新を機械工学という視点から捉えて、必要な知識・技術について学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
特になし。

<具体的な到達目標>
航空宇宙技術は、多くの分野の技術革新に支えられて実現される総合科学技術である。同時に航空宇宙分野における成果は、多くの分野で我々の社会に還元されている。航空宇宙技術の一端を、「機能・目的」を縦軸に、「安全性・信頼性」を横軸として「歴史・体験」という時間軸と共に学ぶことによって、機械工学を専攻してきた諸君に期待されている技術に対する深い理解力、分析力、鋭い洞察力を養い、以て明日の技術革新、創造に貢献する能力が培われることを目標とする。

<授業計画及び準備学習>
第 1回 講義概要:機械系技術者と航空宇宙工学
      準備学習:航空宇宙分野に対する機械工学の役割について調べる
第 2回 空への挑戦:航空機開発・宇宙開発における飛翔体の力学と制御。その基礎と概要
      準備学習:飛行力学・制御の概要を復習、航空機/ロケット等の開発の歩みを調べる
第 3回 推進システム:ロケットエンジン・ジェットエンジンの基礎
      準備学習:ロケットやジェット機の推進システムには何があるか。歴史と原理を調べる
第 4回 人工衛星と宇宙利用を支える技術
      準備学習:宇宙利用と日常生活、人工衛星の必要性について調べる
第 5回 月・惑星探査を支える機械工学
      準備学習:宇宙科学と宇宙工学を各種プロジェクトから学ぶ
第 6回 ライト兄弟の航空機開発:フライヤー号の光と影
      準備学習:ライト兄弟の航空機開発に学ぶ点を調べる
第 7回 航空機事故に学ぶ構造設計1:初のジェット旅客機コメットの悲劇と教訓
      準備学習:英国航空技術者が図らずも現代に残した技術遺産を調べる
第 8回 航空機事故に学ぶ構造設計2:DC−10スーシティ事故と航空機システム安全性
      準備学習:小さな傷が大きな構造物の破壊に至る連鎖を調べる
第 9回 航空宇宙分野における構造信頼性確保と損傷許容設計
      準備学習:「損傷」を「許容」する設計で信頼性を確保する事が出来るか調べる
第10回 航空宇宙構造の「老化」と健全性診断技術
      準備学習:経年劣化、老化を診断する技術とはなにか
第11回 航空宇宙分野における新素材適用:比剛性・比強度の適用
      準備学習:近年、航空宇宙分野を中心に開発されている新素材とその意義について調べる
第12回 複合材設計概論
      準備学習:新素材を用いて設計するにはどんなデータとどんな解析が必要か調べる
第13回 航空機構造、宇宙構造体への複合材適用と熱防御システム・知的構造開発への挑戦
      準備学習:複合材適用例とその理由、更に極限環境への挑戦について調べる
第14回 学習内容の振り返り
      準備学習:本講義の整理と復習

<成績評価方法>
講義の中で課する小課題(原則その授業時間内に提出する)、宿題(次回までに回答を提出する)、および最終レポートにより成績を評価する。講義の中の提出物、最終レポートの比率はおよそ1:1とする。満点を100点として60点以上を合格とする。

<教科書>
指定教科書なし。

<参考書>
適宜、具体的に指示する。全般的な参考書として下記を挙げる。

「第3版 航空宇宙工学便覧」日本航空宇宙学会編、丸善株式会社、2005年 ISBN 4-621-07570-5C3053
「日本機械学会員のための宇宙工学概論」日本機械学会、春恒社、2004年
「Mechanics of Aircraft Structures」C.T.Sun, John Wiley & Sons, 2006 ISBN-10 0-471-69966-7
「Introduction to Composite Materials」S.W.Tsai & H.T.Hahn,TECNOMICS,1980 ISBN 0-87762-288-4
「Theory of Composites Design」S.W.Tsai, Think Composites, 1992 ISBN 0-9618090-3-5
「New Materials and Fatigue Resistant Aircraft Design」D.L.Simpson,edit, EMS, 1987 ISBN 0 947817

<オフィスアワー>
火曜日 11:30〜13:30

<学生へのメッセージ>
航空宇宙分野も総合科学技術分野であり、機械工学系の知識と技術はその基盤を構成する。観客席から目立つことはないかもしれないが、諸君の専門分野である機械工学なしにはその発展は望めない。諸君は将来、いつかどこかでこの分野の仕事に関わるであろう。この講義から興味と好奇心が湧き出てくるように努力する。諸君も調べて、考えて、深い知識と洞察力を培っていただきたい。 健闘を祈る。

<参考ホームページアドレス>
http://www.jaxa.jp


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