2016年度工学院大学 第1部機械工学科

工業熱力学I及演習(Engineering Thermodynamics I and Exercise)[1A06]

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3単位
大竹 浩靖 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
長谷川 浩司 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
金子 達司 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/10/27

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
熱はエネルギーの一つの形である。熱力学は物質の圧力,容積および温度の変化(熱力学的過程)を述べる。そして,熱力学は,熱と仕事は相互に変換可能である(第1法則)が,自然界に何ら変化を残さず熱を継続的に仕事に変えることは実現不可能である(第2法則)ことを与える。工業熱力学では,熱と仕事およびそれらの変換に関することを理解し、熱力学理論の工学的応用(熱から機械的エネルギーの生産)を考察するとともに定量的に計算できる知識を身につけることを目的とする。

(JABEE学習・教育到達目標)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: (D)◎
(JABEEキーワード)
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」:状態量と状態変化、エネルギー保存則(熱力学の第一法則),熱力学の第二法則,状態方程式,気体の流動,エネルギーの形態と変換,ガスサイクル,統計熱力学,分子気体力学

<受講にあたっての前提条件>
本科目を履修する前に,「数学I・II」「数学演習I・II」などにより微分積分学を,「物理学I」により熱学の基礎を,さらに,「工業力学及演習I・II」などの科目により,速度と加速度,仕事とエネルギー,動力に関する項目を習得(履修中も可)しておく必要がある.

<具体的な到達目標>
具体的には,理想気体の状態方程式と熱力学第1法則および第2法則を組み合わせて,熱や仕事,エンタルピーやエントロピーの変化量を定量的に計算できる能力の習得を目指す。併せて,それらの物理的概念の習得も目指す。

<授業計画及び準備学習>
毎週2時限続けて授業を行う。主に,初めの時限で講義を行い,次の時限で前時限の講義に関する演習を実施し,講義内容を体得する。演習は,小テスト形式で進める。
1. 授業のガイダンスと熱力学の基礎事項【予習:教科書を用意し、シラバスを確認すること。復習:配布資料を整理する。】
授業の進め方,熱力学とその応用の歴史(第1、2法則),単位(SI),記号,温度(絶対温度),圧力(絶対圧力,ゲージ圧力,真空度),状態量など。
2. 熱力学第1法則(1) 【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
熱平衡と熱力第ゼロ法則,熱と仕事の作用と効果の同等性(エネルギーの形態と変換)。
3. 熱力学第1法則(2) 【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
状態変化,純静的過程,エンタルピー,比熱。
4. 理想気体の状態変化(1)【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
状態方程式,気体分子運動論(分子気体力学),内部エネルギー,エンタルピー,理想気体の比熱,マイヤーの関係式,代表的な純静的変化(1)(等温変化)。
5. 理想気体の状態変化(2)【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
代表的な純静的変化(2)(等圧変化、等容変化、断熱変化)。
6. 理想気体の状態変化(3)【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
代表的な純静的変化(3)(ポリトロープ変化),理想気体の混合。
7. 開いた系(気体の流動)【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
定常流動系,連続の式,エネルギー式,ノズルを通る可逆断熱流れ,臨界流と臨界圧力,マッハ数,断熱熱落差。
8. 熱力学の第2法則(1) 【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
新しい概念の導入の必要性,熱力学第2法則,変化過程とサイクル,可逆過程と不可逆過程と純静的過程。
9. 中間試験(電卓のみ持ち込み可の予定)【予習:試験勉強。復習:自己採点。】
10. 熱力学の第2法則(2) 【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
サイクルの熱効率,動作係数,カルノーサイクル,熱力学的温度,エントロピー,統計力学的なエントロピーの概念と熱力学的確率(統計熱力学の初歩)。
11. 熱力学の第2法則(3) 【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
固体,液体,気体のエントロピー,不可逆過程によるエントロピーの増加,有効エネルギー(エクセルギー),無効エネルギー(アネルギー)。
12. 熱と仕事の変換サイクル(ガスサイクル)【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
機械的エネルギーの生産,熱機関の仕事発生の原理。オットーサイクル,ディーゼルサイクルの状態変化を通しての熱効率の計算。
13. 熱と仕事の変換サイクル(ガスサイクル)【予習:前週の配布資料で指示する。復習:適時、講義中に指示する。】
複合サイクル(サバテサイクル)の状態変化を通しての熱効率の計算。オットーサイクルの熱効率とディーゼルサイクルの熱効率の比較。ガスタービンの概説。ブレイトンサイクルの状態変化を通しての熱効率の計算。中間試験の返却と解説。
14. 授業を振り返って。

<成績評価方法>
中間試験(授業期間中に実施)と期末試験(定期試験期間中に実施する)を実施する。これらの試験結果と演習点を総合(中間試験1/3、期末試験1/3、演習点1/3)して成績の評価を行う。なお、客観的事由なしに中間および期末試験の区別にかかわらず1回でも試験未受験者は成績評価の対象者からはずれます。試験未受験者は病気診断書,電車遅延証明書等,客観的事由の提示の後,追試験を受験して下さい。また、欠席時の演習課題も,証明書(簡易版で可)とともに,後日の提出を許可します。
 GPA D以上を合格とします。
 「機械工学エネルギー・デザインプログラム」の学習・教育目標(D)の一部は,上記の評価基準を満たせば,達成される.

<教科書>
「大学演習工業熱力学」谷下市松編(裳華房)

<参考書>
「JSMEテキストシリーズ 熱力学」日本機械学会(丸善)
「機械技術者のための熱力学」熱力学教育研究会編(産業図書)
「基礎熱力学」谷下市松著(裳華房)
「基礎工業熱力学」P.B. Whalley著,多田壽雄訳(裳華房)
「熱力学,統計力学」原島鮮(培風館)
演習問題は適時プリントを配布する。

<オフィスアワー>
講義・演習終了(月曜日・12時50分)後、約1時間,八王子校舎講師室にて。

<学生へのメッセージ>
機械工学における基礎力学(四力学)の一つです。しっかりと,身に付けて下さい。

<参考ホームページアドレス>
http://intra.ns.kogakuin.ac.jp/~at10988/


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