2015年度工学院大学 教職課程科目

数学教育の研究B(Study on Mathematics Teaching B)[9121]

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4単位
藏原 清人 非常勤講師  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
 数学は物事を数量の面から把握・分析しようとするもので,人間の生活や活動と深く結びつき,重要な役割をはたしている。しかし,今日の数学教育は入試などで不可欠の教科とされながらも,「できない生徒」「数学ぎらいの生徒」の問題が深刻になるなど,数学について興味をもたせ,理解を進めたり,実生活でその知識や技能を生かすことが出来るものとはなっていない。
 この授業では特に数学教育に実際に携わる立場からこれらの問題をとりあげ考えられるようにすること,数学教師としての力量を身につけていくこと,数学教育を人間教育という広い視野からとらえることができるようにすることをねらいとする。
 数学教育の研究Bでは,教材論,教育内容論を中心にとりあげる。特に学習者の立場に立って数学をとらえ直すことができること、その視点から教材をとらえなおし指導案として構成できるようにすることをねらいとする。

<受講にあたっての前提条件>
現代教職論、教育原論を修得済みか同時に履修していること。なお、通年授業の場合、1・2年生の履修は認めない。
中学校の免許希望者は,A,Bをともに履修すること。高校の場合は,A,Bいずれか一つでよい。すでにAを修得済みの者はその学習をふまえ、より進んだ自分の学習目標を持って臨むこと。

<具体的な到達目標>
数学そのものをとらえ直し,数学の人間生活にとっての意義を再確認すること,数学の問題解法だけではなく,生徒自身の作業や活動をとりこんだ数学教材について体験的に学ぶことに目標を置く。
また中学校または高校の数学教材の一つを取り上げ指導案を作成できること、数学の授業を行うにあたって配慮すべき事項について理解していることを目標とする。

<授業計画及び準備学習>
1. 数学教育 今日の問題 数学はなぜ勉強するのか
2. 数学教育の課題について(ショートスピーチ)
3. 学習指導案の書き方(教材のとり扱いを中心に)
4. 教科書の検討(教材のとり扱いから)
5. 改訂学習指導要領と数学教育内容 /教育課程の意義と編成
6. 学習指導要領改訂の歴史と教材の変化
7. 数学をとらえ直す(1) 数学のはじまり
8. 数学をとらえ直す(2) 変化をとらえる
9. 数学をとらえ直す(3) 厳密性の要求
10. 数学をとらえ直す(4) 統計の意味
11. 数学をとらえ直す(5) 人間生活と数学(コンピュータの利用を含む)
12. 世界の数学教育(1) 数学教育の教育内容はどう考えられているか
13. 世界の数学教育(2) 教科書をみる
14. 数学学習の意義を考える(ショートスピーチ)
15. 前期のまとめ
16. 数学教育の教材開発(1) 代数・関数教材
17. 数学教育の教材開発(2) 幾何・図形教材
18. 数学教育の教材開発(3) 実用教材
19. 数学教育の教材開発(4) 現代化の教材論と情報機器の活用
20. 指導案の講評
21. 特別授業(現場教員ないし教員経験者を招いての模擬授業)
22〜28. 授業をやって考えよう(1)〜(7) (学生による模擬授業と講評)
29. 数学教育をとらえ直す/授業のまとめ
30. 学習成果の確認(試験)

 受講にあたって自分の受けた数学(算数を含む)教育を思い返し,問題をほり下げるよう努力しておく、特に教材についての問題点をまとめておくこと。新聞報道などにも注意して今日の数学教育の課題を考察していること。
 学習指導案を作り,模擬授業を行うことで学習指導を行う上で必要な事柄を知り,生徒が興味や意欲をもって学習に取り組む効果的な指導ができるための基礎を学ぶ。このため,中学校及び高校の教科書を見直し,どの教材(テーマ)で学習指導案を作成するかを考える。
 教科書や学習指導要領,及び数学の意義や必要性などについて,生徒の学習意欲や興味・関心を高める視点から考察を深めておくこと。
 学習指導案については前期に一度提出する。コメントを付けて返却するので、必要な修正をして後期に再提出する(必須)。模擬授業は全員が実施できるのではないが、その場合は生徒役として積極的に参加すること。
 夏期の課題として、藏原の書いた論文その他についての感想をまとめること。具体的には授業中に指示する。

<成績評価方法>
レポート及び試験による。指定レポートは2件(学習指導案の再提出を含む)必須とし、指定レポートを提出しない場合は履修の放棄と見なす。
試験の結果,この授業の達成目標に達している者を成績60点以上とし,単位を認定する。
すでに数学教育の研究Aの単位を修得している者あるいは本年度夏期授業において数学教育の研究Aを履修中のものは、別のレポートを提出すること。詳しくは授業中に指示する。

<教科書>
指定教科書なし。必要な資料は授業中に配布する。

<参考書>
中学,高校の数学教科書を用意すること。
「中学校学習指導要領解説数学編」(文部省) ※これは全員が購入しておくこと。
「高等学校学習指導要領解説数学編」(文部省) ※これは全員が購入しておくこと。
そのほか藏原の論文を参考文献として配付する。

<オフィスアワー>
授業終了後、講師室で行う。その他の時間については事前にアポイントを取ること。

<学生へのメッセージ>
討論や意見交換,模擬授業などの機会を設け,皆で学びあいたい。授業への学生の積極的参加を期待する。模擬授業は教育実習の準備として大変自信になるので,特に3年生が積極的に行うことを期待したい。


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