2015年度工学院大学 第2部建築学科

法学A(日本国憲法1単位含)(Law A)[3768]

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2単位
高橋 基樹 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
法を学ぶとは何か。法とは、基本的には、「〜すべし」というルールであり、それに従わなかった場合には国家権力による強制もしくは制裁が加えられる。すなわち法学とは、「何が正義か」を探究する学問である。本授業では、「人権」を保障した憲法を中心に法学を学び、基礎的な法的知識および法的思考を身につけてもらうことをねらいとする。では人権を学ぶとは、どういうことであろうか。「人権」とは、誰もが生まれながらに持つ権利である。しかし実際には、この「人権」を保障する憲法に基づいて、誰もが自分の思いをあますところなく保障されているのであろうか。現代においても「人権」をめぐる社会問題は生じている。本授業では具体的事件の検討を通じて、「人権」問題について自ら考え、肯定もしくは否定する視点を養成することを目指す。
本授業は、講義中心に行う。原則、本授業ではレジュメを配布し、それに沿って授業を進めるが、状況によってPower PointやDVD等を用いた授業を行うこともある。その他、授業に必要な資料はプリントして配布する。また必要に応じて、授業の最後にその日の復習問題を提示し、それに対する解答を授業中の指名もしくは授業後のコメントペーパーで求めることを予定している。

<受講にあたっての前提条件>
本授業は、現在話題となっている問題も新聞記事等をトピックスとして取り上げることを予定する。そのため、日頃から社会問題に関するニュースや新聞、雑誌等に関心をもって授業に参加することが望ましい。法律学の知識を特に有している必要はない。

<具体的な到達目標>
・憲法が定めている人権の意味を理解する。
・現代社会における憲法問題(人権問題・政治問題など)について関心を持ち、実社会における憲法的視野を広げる。
・現代社会における憲法問題に対し、自身がどのように取り組むべきかについて、自ら考え、解決方法を探る能力を身に着ける。

<授業計画及び準備学習>
第1回 法とは何か・憲法とは何か
法・憲法の意義を解説する。
準備学習:「法」の存在の意味について、考えてくる。

第2回 人権とは何か・人権保障のための裁判所
 人権とは何か、人権を保障するための機関としての裁判所について解説する。
 準備学習:人権をめぐる社会問題を報道する新聞等を参考にして、「人権」とはどのようなものか、各自で考えてくる。

第3回 人権保障の一般原則(誰の人権が保障されるのか?)
 人権保障の対象について、国籍の有無や公務との関係から解説する。
 準備学習:教科書153〜162頁等を熟読し、「人権」の対象・範囲について考えてくる。

第4回 人権保障とその限界@(幸福追求権@生命に対する自由)
 生命に対する自由をめぐって、人権保障の限界を探る。
 準備学習:教科書1〜17頁のうち、特に13〜17頁を熟読し、死を選ぶ自由が人権として保障されるかについて考えてくる。

第5回 人権保障とその限界A(幸福追求権Aプライバシー権)
 言いたいことを言う自由がどこまで保障されるべきか、プライバシーとの関係から検討する。
 準備学習:教科書1〜17頁のうち、特に5〜7頁を熟読し、プライバシーに関する人権の保障について理解する。

第6回 法の下の平等(平等とは)
 法における「平等」の意味について解説する。
 準備学習:教科書18〜36頁を熟読し、憲法に定められた「法の下の平等」について理解する。

第7回 精神的自由@(思想・良心の自由、信教の自由)
 個々人の心の中の問題と人権保障の関係について解説する。
 準備学習:教科書37〜51頁を熟読し、心の問題と人権の関係について理解する。    

第8回 精神的自由A(表現の自由の優越)
 個々人の意見・意思表明の自由としての表現の自由の保障の意義について解説する。
 準備学習:教科書52〜65頁を熟読し、表現の自由の意義について理解する。

第9回 精神的自由B(知る権利)
 個人の表現の自由の保障と報道機関の表現の自由の保障との関係から、「知る権利」について解説する。
 準備学習:教科書65〜70頁を熟読し、報道機関の表現の自由保障の意義について理解する。

第10回 経済的自由@(職業選択の自由)
 個々人が自由に職業選択することができることの意義について解説する。
 準備学習:教科書71〜79頁を熟読し、仕事をめぐる人権について理解する。     

第11回 経済的自由A(財産権)
 個人が財産を所有することを人権として保障する意義について解説する。
 準備学習:教科書79〜86頁を熟読し、財産保障に関する人権について理解する。

第12回 社会権の保障(生存権)
 国家による生活保障と人権との関係について解説する。
 準備学習:教科書87〜109頁を熟読し、国家による生活保障の権利とその限界について理解する。

第13回 国家に対する人権保障の請求権(国家賠償・裁判を受ける権利)
 国家による人権侵害の際の救済手段とそれに関わる機関としての裁判所と人権の関係について解説する。
 準備学習:教科書213〜234頁を熟読し、国家による人権侵害の事態に対する救済方法と公正な裁判の実現について検討する。

第14回 政治に参加する権利(参政権・一票の格差)
 日本の国政選挙制度と公正な参政権の保障の実現について解説する。
 準備学習:教科書166〜190頁を熟読し、選挙に参加する権利について理解する。

第15回 学習成果の確認
 準備学習:前回までの総復習を行う。

*その他、準備学習として、授業の最後に提示する復習問題を確認した上で次回の授業に臨むこと。授業のはじめに前回の復習を行うことがある。

<成績評価方法>
主に学期末筆記試験(70%)により成績評価を行うが、授業内で提示する復習問題やレポート課題提出等を含めた授業参加度(30%)も含めて総合的な評価を行う。60%以上の評価に達した場合に単位を認める。成績評価方法及び水準の詳細については、第1回目の授業において説明するので、必ず出席すること。

<教科書>
大津浩・大藤紀子・高佐智美・長谷川憲『憲法四重奏 第2版』(有信堂)
六法(種類は特に問わない)

<参考書>
芦部信喜著(高橋和之補訂)『憲法 第5版』(岩波書店)
浦部法穂『憲法の本 改訂版』(共栄書房)
安念潤司・小山剛・青井美帆・宍戸常寿・山本龍彦『論点日本国憲法』(東京法令出版)
上記以外は講義中に紹介する。

<オフィスアワー>
講義開始1時間前は非常勤講師室、講義終了後は教室。

<学生へのメッセージ>
授業内で取り上げる法学をめぐるトピックスについては、受講者の希望をできる限り取り入れたいと考えているので、随時提案してほしい。

<備 考>
授業内容については、授業の進捗を勘案して適宜調整することがある。また受講者の習熟度によっては、授業内容を変更することもある。


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