2015年度工学院大学 第2部建築学科

建築法規(Architectural Regulation)[2G72]

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2単位
後藤  治 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
山岸 竜司 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
これから皆さんが携わるであろう「建築」 という行為は、社会環境に大きな影響を与えます。
原発問題、微小粒子状物質(PM2.5)問題、異常気象問題など…。
私たちの“地球”を取り巻く環境は、この数年、もの凄い勢いで、大きく変わってきています。
皆さんが卒業を迎えるころには、「省エネ」や「エコ」は、もはや“最先端”ではなく、時代の趨勢であり、建築に携わる者の「エチケット」=「常識」になっていることでしょう。
この「エチケット」を身に着けるためには、まず、“社会の規範を知ること・守ること”から始まります。
「ごみ」を「ごみ箱」に捨てるのは、当たり前のことですが、現代社会においては、旅先などにおいて、海や山の恵みを享受された後は、“ごみを持ち帰る”ことから始めて、次には“ごみを減らす工夫”が求められています。アウトドア派のBBQでも、このような取り組みが顕著になってきているようです。
「建築法規」の授業を通して、社会生活の中での規範を学び、そのことが“建築”にどう関わっているのかを知ること・考えることによって、設計であれ、現場であれ、建築に携わる者として、自分たちの将来の“ものづくりに対する工夫“に繋げてもらいたいと思います。

<受講にあたっての前提条件>
講義後にKUPORTにUPされた資料の復習(主に例題)を必須とする。  ※ 後述の<参考書A>については、誰でも読みやすい内容となっているため、準備学習として、予め一読しておくことを推奨します。

<具体的な到達目標>
私たちの暮らす日本国は、言わずと知れた「法治国家」です。
国が保障している安全・安心と、健全な生活を維持するためには、法令や規範も含め、大変多くのルールがあります。これらのルールをきちんと守り、実践するためには、そのルールの意味を理解することが最も大切です。
「建築法規」の授業について、具体的な達成目標としては、各条文をバラバラに理解するのではなく、建築関連法規の全体像を体系的に捉えることに力点を置きます。
加えて、第10週目からは、建築(本授業では主に設計監理)行為のプロセスに応じた法令・規制について、ボリューム・スタディなどの実例を取り上げながら、初歩的な実務をイメージできるレベルまで、ステップ・アップしていきたいと思います。また、実際に工事監理業務を行う上での、法律上の留意点などについて、私の体験談を交えながら、伝えて行きたいと思っています。
建築法規を学びながら、実務をシミュレーションできる講義を目指しています。

<授業計画及び準備学習>
第1週:授業のガイダンス
■授業の進め方 (授業計画及び準備学習)

第2週:法令の基本中の基本を学ぶ (総則)
■建築基準法のしくみ
■用語の定義その1

第3週:法令の基本中の基本を学ぶ (総則)
■用語の定義その2

第4週:法令の基本中の基本を学ぶ (総則)
■面積・高さの算定方法
■次回小テストについて

第5週:建築法規小テストその1
■小テストその1
■小テストその1解説

第6週:一般構造等
■採光・換気

第7週:一般構造等
■一般構造規定

第8週:なぜ法律を学ぶ必要があるのか?その1
■事例紹介:私の体験談【(仮称)Sマンション債務不存在請求事件】
■次回小テストについて

第9週:建築法規小テストその2
■小テストその2
■小テストその2解説


第10週:都市計画区域等の制限
■道路・壁面線
■用途地域

第11週:都市計画区域等の制限
■容積率・建ぺい率

第12週:都市計画区域等の制限
■高さ制限
■敷地面積・低層住居専用地域内の制限

13週:なぜ法律を学ぶ必要があるのか?その2
■都市計画と市街地再開発事業について
■事例紹介:【南池袋二丁目A地区第一種市街地再開発事業】

第14週:定期試験の説明
■定期試験対策
■フリートーキング

第15週:学習成果の確認(定期試験)
■定期試験

<成績評価方法>
原則として定期試験による評価とする。60点以上の者に単位を認める。
ただし、試験の点数が50点以上60点未満の者で、かつ、授業内で実施した2回の小テストを全て受けた者は、小テストの結果等を加味し、内容が単位認定相当と判断される場合には、最終成績を60点とする。また、不定期に実施する出席確認において、全て欠席の者の成績評価は「A」を上限とする。

<教科書>
■基本建築基準法関係法令集「平成26年度版」建築資料研究社他、建築士試験会場に持込可能な建築基準法関係法令集であれば可。
■その他、オリジナル資料を授業の都度に配布する。

<参考書>
■@建築申請メモ2014(新日本法規出版)
■A日本で一番やさしい建築基準法算定ガイド(エクスナレッジ)

<オフィスアワー>
授業終了後適宜対応する。または、別途指定する。

<学生へのメッセージ>
どのような職業についても、社会にはルールがあり、そのルールの上に「仕事」は成り立っています。
私自身、日々、通勤通学時における、満員電車のアナウンスには感心させられています。整列乗車の呼び掛けに始まり、“もっと奥まで”誘導や、換気の“窓開け”お願いに至るまで…。JRと私鉄でも違いますし、路線によっても違いますが、他人同士が“満員電車”という、およそ“快適ではない空間“を共有するため、みんなが暗黙のうちにルールを守っています。
人々に“快適な空間”を提供することを使命とする私たちが、社会のルールを守らずして、良い建築など生まれるはずもありません。
難解な建築法規ですが、様々な事例とともに、出来るだけ平易に楽しく進めたいと思います。
一緒に頑張りましょう!


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