2015年度工学院大学 第2部情報通信メディア工学科
人間工学(Human Engineering)[2665]
2単位 徳永 幸生 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 「人間工学」を人間とコンピュータの関わりを中心に講義する。具体的には、人間を中心とした「使いやすさ」を縦軸に、メディアとしてのコンピュータを横軸に取り人間工学の概念を体系的に学ぶことをねらいに、次の3つを柱に講義を進める。
1.人間工学の基本概念や基本知識を学ぶ 2.”人間中心”の視点から、コンピュータを中心とする種々のシステムやメディアについて理解する 3.上記1,2を通じて、コンピュータを念頭に置いて人間工学を構造的に捉え、その本質や周辺技術・システムとの関わりを理解する また講義では、最新のトピックスを取り上げ、その背景や社会とのかかわりなどにも言及する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 特に事前の知識は必要としない。
- <具体的な到達目標>
- 1.人間を中心にした「使いやすさ」と、コンピュータをメディアとして捉える視点から人間工学の(初歩的な)評価・設計ができること。
2.人間工学の視点から、コンピュータの利用の仕方や、コンピュータのあり方について自分の考えを持てるようになること。 3.人間工学を学ぶことによって、人間と機械(コンピュータ)の利点、欠点が整理できること。
- <授業計画及び準備学習>
- 第1回 授業の進め方/序論
1.人間工学のとらえ方/人間工学とは(1) ・準備学習:シラバスを読み、本科目の全体構成を理解しておくこと。 第2回 人間工学のとらえ方/人間工学とは(2) ・人間工学に関わる基礎科学系の学問分野 ・人工物(システム)とインタラクション ・人間工学/ヒューマンインタフェース/HCI ・準備学習:人間工学、ヒューマンインタフェース、ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)の違いについて考えておくこと。 第3回 2.使いやすさとは何か(1) ・「人」を対象としたモデル ・・・ 時間特性としての使いやすさ ・準備学習:“足でスイッチを踏んでいるのに、なぜ「足操作型ドア」ではなく「自動ドア」と呼ぶ?”かについて考えておくこと。 第4回 2.使いやすさとは何か(2) ・「人+人工物」を対象としたモデル ・・・ 言語翻訳としての使いやすさ ・準備学習:第3回目の「人」を対象にしたモデルを使って、人工物の「使いやすさ」を議論する時、どのような点が問題になるかについて考えておくこと。 第5回 2.使いやすさとは何か(3) ・「人+人工物+課題」を対象としたモデル ・・・道具としての使いやすさ ・準備学習:第4回目の「人+人工物」モデルを使って、人工物の「使いやすさ」を議論する時、どのような点が問題になるかについて考えておくこと。 第6回 2.使いやすさとは何か(4) ・状況を含めたモデル化 ・・・ 全体が一つの認知システム ・「使いやすさ」の総括 ・準備学習:第5回目の「人+人工物+課題」を対象としたモデルを使って、人工物の「使いやすさ」を議論する時、どのような点が問題になるかについて考えておくこと。 第7回 3.人間中心のデザイン(1) ・人工物のデザインと現場の課題 ・準備学習:高齢者や目・耳などが不自由な人にとって使いやすい設計が,健常者にとっても使いやすいものとなる例について考えておくこと。 第8回 3.人間中心のデザイン(2) ・人間工学の設計原理 ・準備学習:第7回目の講義を踏まえ、人間工学の設計原理にはどのような項目があるかについて考えておくこと。 第9回 4.インタラクションのモダリティ (1) ・インタラクションを構成するモダリティ ・言語メディア ・準備学習:WPで書く時と手で書く時では,文章にどのような差異が生まれるかについて考えておくこと。 第10回 4.インタラクションのモダリティ (2) ・非言語メディア ・準備学習:コミュニケーションにおける視線の役割について考えておくこと。 第11回 4.インタラクションのモダリティ (3) ・メディアとインタフェース ・準備学習:「リアルでなければ伝わらないこと,バーチャルだから伝えられること」について考えておくこと。 第12回 5.インタラクションの環境(1) ・人工環境のデザイン ・準備学習:コンピュータシステムを用いた環境設計についてさまざまな視点から考えておくこと。 第13回 5.インタラクションの環境(2) ・人間同士のインタラクション支援:CSCW ・準備学習:コンピュータを介在させたコミュニケーション支援法について考えておくこと。 第14回 6.コンピュータ(情報社会)の夢と人間工学 ・未来を決定する要因 ・コンピュータの夢 ・情報(コンピュータ)社会の未来 ・準備学習:情報社会に関わる“夢”と,その実現に向けた技術的課題について考えておくこと。 第15回 期末試験と解説 1回目から14回目までの範囲を対象に、達成目標について評価する。また、試験内容について解説する。 ・準備学習:14回までの講義について理解を深め、期末試験に備えること。
- <成績評価方法>
- 評価点を100点満点とし、出席点(授業への出席および授業時のミニュッツ・ペーパー)を30%、期末試験を70%とする。60点以上を合格点とするが、5回以上欠席した学生は履修放棄と見なし成績評価を行なわない。
- <教科書>
- 教科書は特に指定せず、毎回資料を配布する。
- <参考書>
- 参考書としては、以下の2冊を薦める。また,授業時に適宜紹介する.
山岡俊樹「人間工学講義」、武蔵野美術大学出版局、2003. D.ノーマン、野島久雄(翻訳)「誰のためのデザイン」、新曜社、1990.
- <オフィスアワー>
- 授業後の火曜日19時30分以降.
事前にメールでアポをとると確実です。 tokunaga@sic.shibaura-it.ac.jp
- <学生へのメッセージ>
- 人間とコンピュータとの関わりは、今後ますます多くの場面で遭遇します。人間工学を通じて人間とは何か,を考える一方、人間に備わっている素晴らしい機能やその性能を見直して、人間中心の創造的なエンジニアリングを学んで欲しい。
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