2015年度工学院大学 先進工学部応用物理学科

自然科学の歩き方(Fundamentals in Natural Sciences)[5313]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

1単位
小麦 真也 准教授  
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
これまでで学んできた数学などに代表される理数系科目については,就学の際,基礎知識を身につけるために独立した科目として,また,進学の手段としてスキルアップを図ることを目的とする傾向にあった。これから自然科学を学んでいくためには,これらの独立した知識を「自然科学を解き明かしていくための道具」として纏め上げていく必要がある。本授業では,以下の到達目標を達成する。
  • 先進工学部のカリキュラムを学んでいく上で必要となる基礎的な知識を確認し,身につけることをねらいとする。

<受講にあたっての前提条件>
高校卒業程度の数学力を要するが,高校時代のカリキュラムの関係で未修単元がある学生に対しては配慮をする。

<具体的な到達目標>
  • 初等関数をグラフなどにより視覚化し,その傾向を説明できる。
  • 実験により得られたデータを適切なグラフで表現できる。

<授業計画及び準備学習>
  1. 多項式の微分
    多項式を題材に,微分の考え方,合成関数の微分などを定義に基づいて理解する。
     準備学習:「二項定理」の意味を調べ,「二項係数」を理解する。数学における極限の考え方を復習する。
  2. 多項式の積分
    多項式を題材に,積分の考え方,積分に関する演算方法を定義に基づいて理解する。
     準備学習:前回学んだ多項式の微分を復習し,例題,類題を解く。
  3. 関数とグラフ
    1次関数,2次関数を例に,グラフ作成の演習を行う。この演習を通じ「函数」とも表される入力変数とその変数に依存する値の関係を理解し,自然科学を学ぶ上で必須とも言えるグラフの作法について学ぶ。
     準備学習:本授業の第1, 2回で学んだ多項式の微分,積分を復習し,例題,類題を解く。
  4. 三角比・三角関数と弧度法
    幾何学の基本的な考え方の一つである三角比を復習し,自然科学の各分野で頻繁に用いられる三角関数について学ぶ。あわせて,角度の表現方法である弧度法を理解する。
     準備学習:三角比の「直角三角形による定義」と「単位円による定義」を復習する。
  5. 級数展開
    複雑な構造を持つ関数を理解するためには,入力変数の範囲を狭めて,局所的な振る舞いを理解するといった方法をとる場合がある。そのようなときに使う手法としての級数展開を初等関数を例にとって学ぶ。
     準備学習:本授業第1, 2, 4回で学んだ微分,積分,三角関数の復習をし,例題,類題を解く。
  6. 指数関数と対数関数
    指数関数はべき乗における指数を変数とする関数であり,対数関数はその逆関数である。ネイピア数を底とする指数関数と対数関数は,自然法則を表現するために有用なだけではなく,解析学の解法においても重要な考え方である。この2種類の関数を理解し,応用に生かしていくことを学ぶ。
     準備学習:本授業第1, 2回で学んだ多項式の微分,積分を復習し,例題,類題を解く。
  7. 実験データとグラフ
    関数の表現方法としてのグラフと実験データの提示方法としてのグラフの双方を作成,比較することにより,関数の理解を深め,実験データ等の読み取り方を学ぶ。
     準備学習:事前に配布される実験データをグラフ化する。
  8. 学習内容の振り返り
     準備学習:前回までの総復習を行う。

<成績評価方法>
毎時間出題される演習問題により評価を行う。到達目標に照らし,A+, A, B, C, D, Fの6段階のGradeで評価する。A+~Dの者に単位を認める。

<教科書>
毎回配布する印刷物により授業を進める。

<参考書>
・「高校時代に使用した数学の教科書または参考書」
本授業の目的は,高校までの知識を大学で学ぶ学問の道具として昇華することにある。そういった意味では,現在自分が持ち合わせているスキルを再確認,認識を行う作業を常に行っておいてもらいたい。また、高校で数学IIIを履修していないなど、全ての数学科目(I, II, III, A, B)を履修していない場合には,履修していない科目の学習参考書を入手するなどし,どのような内容が高校数学でカバーされているか一通り目を通しておくこと。
・「数学ガール」(ソフトバンククリエイティブ)
これは参考書,問題集などに分類される書籍ではなく小説である。「数学ガール」として5巻,「数学ガールの秘密ノート」として4巻刊行されているが,「数学ガール」の第1巻を読んでみることを強く勧める。数学的発想とはどういったものであるかのヒントを掴むことができるのではないだろうか。

<オフィスアワー>
• 火曜日4、5限および水曜日2限、金曜日5限の時間帯。1S-327に直接来てください。

<学生へのメッセージ>
復習と知識の整理を目的とした授業であるため,十分な負荷を感じる学生から物足りなさを感じる学生まで,これまでの学習履歴によりさまざまな捕らえ方をするであろうことは予想されます。そういった場合は,教員にぜひ相談をしてもらいたいと思います。「きつい」でも,「もっと刺激を」でも結構です。それをある程度予測した上で授業内容は考えていますので,それなりの対応を期待してもらっても結構です。

<参考ホームページアドレス>
http://www.map.kogakuin.ac.jp/~physics/


このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2015 Kogakuin University. All Rights Reserved.