2015年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科

人工知能(Artificial Intelligence)[3B22]

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2単位
椎塚 久雄 非常勤講師  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
この授業では、情報デザイン学科の学生にとって有用となるような人工知能の講義を行い、以下のような到達目標を達成する。まず、人工知能とは何かを理解し、その最も基本的な部分である推論に関する概念を具体的例題を用いて理解できる。次に、対象領域の専門知識やその分野での専門家がもつ経験的知識を形式化することにより、人間と同じような知識的問題解決能力を示す知的情報処理システムを実現するための方法論および具体的な方法についてのノウハウを理解できる。近年台頭している「ソフトコンピューティング」の分野に関連して、あいまい情報処理(ファジィ理論等)、遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークや等についても、その基本的な概念を例題を用いながら理解できる。そして、さらに、最近話題になっている「ビッグデータと人工知能」との基本的な関係についても理解できる。

<受講にあたっての前提条件>
●集合論の基礎を修得していることが望ましい。
●アルゴリズムの基本的な考え方を修得していることが望ましい。
●人工知能とは何かについてネットなどで調べておくと、授業が楽しくなります。

<具体的な到達目標>
●人工知能とは何かということからスタートして、最も基本的な部分である推論(演繹、帰納、アブダクション)に関する概念を具体的例題を用いて修得できる。
●対象となる領域に関する専門知識やその分野での専門家がもつ経験的知識を形式化することにより、人間と同じような知識的問題解決能力を示す知的情報処理システムを実現するための方法論および具体的な方法についてのノウハウが修得できる。
●近年台頭している「ソフトコンピューティング」の分野に関連して、あいまい情報処理(ファジィ理論等)をはじめとした遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワークや等についても例題を用いながら修得できる。
●最近話題になっている「ビッグデータと人工知能」との基本的な関係についても修得できる。

<授業計画及び準備学習>
1.人工知能(AI)とは何か
 まず、人工知能の歴史を学び、「人工知能」という分野の正しい理解を得るために、「強いAI」と「弱いAI」について学び、関連領域でのAIの役割について学習する。
2.人間と機械の関係の確立
 人間はパターン認識(例えば、リンゴを見たらすぐにリンゴと認識できる)に強いが、機械(コンピュータ)はそれが苦手である。その壁を乗り越えるのが人工知能技術の役割であり、その基本的な意味を学習する。  
3.知能システムのフレームワーク
 人工知能を誌ステム的な視点からとらえるために、横軸に「表現―学習」をとり、縦軸に「自然知能―機械知能」をとって、2次元平面に写像したときに展開される知能システムについて理解を深める。
4.記号論理(AI)の意味するところ
 人工知能の研究の初期の頃は、Yes-Noの記号論理で展開されていた。この基本原則についての理解を深めることにより、人工知能の基礎的原理を学習する。
5.知識の表現と利用/フレームと黒板モデル
  知識工学(人工知能の具体的な工学的応用)の3大研究課題として「知識表現」、「知識利用」、「知識獲得」の3つがあるが、知識の表現はこの中でも最初の重要な課題であり、その基本的表現法について学習する。
6.プロダクションシステムとルールベースエキスパートシステムの動作原理
 プロダクションシステムは、人工知能の実務的なレベルでの応用にとって重要であり、その基本は、認知心理学における「条件―行動」モデルから構成されている。ここでは、プロダクションシステムの基本原理について学習する。
7.推論(演繹、帰納、アブダクション)の基礎
 これまでの学習でも、推論の基礎的なことは使ってきたが、推論の全体像についての理解をさらに深めるために、具体的な例題を通して学習する。
8.前向き推論と演習問題
 前向き推論(あるいは順方向推論)と後ろ向き推論(あるいは逆向き推論)は、解決すべき問題によって適した推論法を用いた方が良い。ここでは、まず、前向き推論の基本的な原理について学習する。
9.後ろ向き推論と演習問題
 一般に、デザイナーは後ろ向き推論によってデザインを行っている。また、医師の診断も後ろ向き推論が多く行われている。8.で学んだ前向き推論との比較によって、後ろ向き推論の理解をさらに深める。
10.2値論理からファジィ推論へ
 人間の行う推論は、Yes(1)-No(0)の2値ではなく、あいまいな情報を的確に判断して意思決定を行っている。ファジィ推論は、より人間が行う意思決定に近いことを学習する。
11.ファジィエキスパートシステムの基本原理
 実際の現場において応用されるファジィエキスパートシステムの具体例を通して、ファジィ情報処理の基本的原理を学習する。
12.遺伝的アルゴリズム(GA)の基本原理と応用
 問題を遺伝子型に変換して、最適解を求める手法として近年注目されている遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)の基本的原理を学習する。
13.ニューラルネットワークの基本原理と応用
 人間の脳の工学モデルであるニューラルネットワーク(Neural Network)の基本的な原理について、例題を交えながら学習する
14.ビッグデータの処理と人工知能技術
 多量のデータ(ビッグデータ)をどうのように処理したら良いのか、という基本的問題に対して人工知能的な視点からとらえて、その基本的な方法論について学習する。
15.学習成果の確認(試験)
   準備学習:この授業のまとめと総復習を行う

<成績評価方法>
評価の比率は次のとおりです。
定期試験:70
レポート:30
レポートの課題は、その授業の内容に関するものであるから、授業に出席していればできる内容です。

<教科書>
教科書は特に指定しないで、毎回の授業の資料はキューポートにてアップするので、それをダウンロードして下さい。

<参考書>
1.人工知能の全体像を勉強したい場合には次の書籍が良いでしょう:
「人工知能入門」、J.フィンレー/A.ディックイス共著、新田克巳/片上大輔共訳、サイエンス社
2.読み物として次の書籍が参考になると思います:
「人工知能」、松尾豊・塩野誠共著、中経出版

<オフィスアワー>
原則は、授業の終わった後、あるいはメール(shiizuka@cc.kogakuin.ac.jp)で連絡して、具体的な日時を決めます。

<学生へのメッセージ>
暗記では本質的な理解が得られないので、是非、「なぜ?」という視点で勉学や課題に向かっていきましょう。理解が深まるにつれて、段々おもしろくなってきます。がんばりましょう!


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