2015年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科

情報デザイン先端技術(Technical Topics of Information Design)[2B24]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
管村  昇 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
現代社会において、情報に関する技術は、我々が日常生活を送る上で欠かせないものである。しかしながら、情報に関する技術は広範囲にわたっており、分野だけではなく、研究開発のフェーズも、基礎研究から応用、さらには実用化、商品開発まで多岐にわたっている。本講義では、社会の第一線でご活躍されている講師を大学外部からお招きして、オムニバス形式で講義を進める。本講義を通して、情報に関するさまざまな分野の知識と研究開発に触れ、自らの視野を大きく広げてもらいたい。

<受講にあたっての前提条件>
各講義分野について、事前によく調べ講義に臨むこと。質問時間がある場合には積極的に質問すること。

<具体的な到達目標>
各回の講義を通して、情報が関係するさまざまな分野の研究、開発状況やその方法論を学修し、他の講義に活かすこと。また就職、大学院への進学を考えるヒントを得ること。

<授業計画及び準備学習>
1.9月15日 講師:坂本真一(株式会社 オトデザイナーズ、代表取締役)
  講義題目:聴覚心理学と音が伝わる技術 〜研究成果の実用化と起業〜
  内容:日本の聴覚心理学研究は古い歴史を持ち、世界的に知られる数多くの研究成果を産み出してきているが、これらの研究成果が実用化された事例は数少ない。本講義では、聴覚心理的知見の産業応用を目指して創業された(株)オトデザイナーズの事例を基に、研究成果の産業応用に関する問題点などを議論したい。
参考図書:「オトデザイナーが教える!伝わる技術(WAVE出版)」「サウンドと
オーディオ技術の基礎知識(リットーミュージック)」

担当教員:近藤 公久

2.9月29日 講師:畑中健志(東京工業大学機械制御システム専攻、准教授)
  講義題目:ロボティックネットワークの協調制御
  内容:制御工学とは,対象とするモノを自分の思い通りに操るための学問です.
制御すべき対象は,日常身近に触れることができるロボット,車,電化製品,空調などにとどまらず、社会インフラのような大規模システムや,人間あるいは人間社会といった曖昧模糊としたものにまで及びます.本講義では,まず制御工学とは何か?を知ってもらうために,分野の根幹を成す「フィードバック制御」なる考え方をロボットを用いた実演を通して紹介します.つぎに,複数のロボットがネットワークでつながれたロボティックネットワークシステムを対象に,各ロボットの局所的な情報処理・情報交換によって理想的な「協調」を達成する協調制御に関する最新の研究成果を紹介します.

参考資料
http://www.fl.ctrl.titech.ac.jp/
http://www.springer.com/engineering/control/book/978-3-319-15170-0

  担当教員:竹川高志

3.10月6日 講師:樋口知之(統計数理研究所、所長)
  講義題目:ビッグデータ時代に生きる力を育む情報デザイン学
  内容:スマホ、セキュリティセンサー、駅の改札、コンビニでの購買、などなど、私たちの身の回りの生活行動がまるごとデジタル化され、クラウド上に集積される時代がもう目の前です。このような状況に対応して、これまで人間が行ってきた認識・予測・判断をコンピュータにおきかえる研究開発も大学・産業界を問わず活発です。いずれホワイトカラーの多くの仕事は人工知能に置き換わることを予想する研究者もいます。本講演では、ビッグデータ時代に私たちが身につけねばならない情報リテラシーを概説し、近い将来、私たち人間に残された(人間しかできない)仕事は何になるのかをみんなで考えてみたいと思います。

下記のホームページを参照すること。
     http://tswww.ism.ac.jp/higuchi/index_jp/new/index.html

  担当教員:橘 完太

4.10月13日 講師:重見聡史
((株)本田技術研究所 基礎技術研究センター(株)室長・上席研究員)
  講義題目:ヒューマノイドロボット開発経緯と今後の展開
内容:人の役に立ち、人間社会の生活を豊かにするという夢の実現に向けて、
   人と共存し、協調できるヒューマノイドロボット研究を行っています。
   そのヒューマノイドロボットの実現するためには、制御、認識、センシング、  情報処理など多分野の総合技術が必要です。27年前から開始したロボット開発経緯を振り返りながら、現状の技術成果とその技術を応用した車やバイクへの適用例を説明します。た、近年、世界規模で盛んになっているロボット研究の今後についても紹介します。

  担当教員:長嶋祐二

5.10月20日 講師:佐藤いまり
(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系、准教授)
  講義題目:「質を見極める」スペクトル分析に基づく画像解析
  内容:私たち人間は、光を三刺激値(赤緑青)に変換して世界を知覚していることが知られている。しかしながら、私達を取り巻く“光”は単純なRGBの三刺激値では把握しきれないほどの豊かな情報を秘めている。様々な波長の光で解析してみると、食品の品質や美味しさが予測できたり、工芸品の色合いの複雑さを見ることができたり,多くの発見がある。本講義では、実シーンの光源環境の分光特性をモデル化する技術や光を用いて対象物の内部状態を解析する技術を紹介する。
参考URL http://research.nii.ac.jp/~imarik/

  担当教員:福田一帆

6.10月27日 講師:野澤昭雄(青山学院大学 理工学部電気電子工学科、准教授)
  講義題目:製品設計と感性計測
  内容:現代は「人間重視」「感性社会」などの語句が頻出するほどに,製品や情報シ  ステムにおける「感性」の重要性が認識され,「感性」はヒトに関わるシステムにおいて考慮すべき最重要事項とも言われています。近年は,製品の性能評価や嗜好評価に関して,従来のアンケートを中心としたマーケティング手法に加えて,より客観的な指標としての「感性」に注目が集まっています。感性とは「感覚から心理までの情報処理過程の個人性」を意味し,人間そのものと言えます。この講義では,人間の心と身体のメカニズムを通じて人間の感性を科学的に理解すると共に,快適感・ストレス・嗜好等の様々な感性の定量的かつ客観的な評価方法と,その製品開発への応用例をご紹介します。

  担当教員:田中久弥

7.11月10日 講師:内山俊朗(筑波大学 大学院 人間総合科学研究科、准教授)
  講義題目:感性情報の応用とデジタルコンテンツ制作
  内容:デザインに関わる仕事をしていると「なぜそのようなユニークなものをつくることができるのか?」とクライアントに尋ねられることがよくある。また「自分には新しいものをつくる才能がなく創造力に自信がない」とデザインを学ぶ学生から相談を受けることもよくある。このような人たちと話をすると、デザインには生まれ持った才能が必要で、創造力は鍛えることができないと信じているケースが多いことに気がつく。本講義では、プロダクトデザイン、インタラクションデザインの制作プロセスを通して、それらにはポイントやコツがあることについて解説をする。
     参考URL: http://www.kansei.tsukuba.ac.jp/~uchiyamalab/

  担当教員:張

8.11月17日 講師:谷岡健吉(東京電機大学、客員教授)
講義題目:超高感度HARP撮像管の発明と応用
内容:HARP撮像管とは、非晶質セレン半導体の光電変換膜に強い電界をかけた時に生じるアバランシェ(電子なだれ)増倍による感度増加現象の発見を基に開発した超高感度撮像デバイスである。講義では、HARP撮像管の発明の経緯を述べるとともに、この撮像管の放送や医学研究などでの活用例を動画を用いて紹介する。また、40年にわたる自らの研究経験を基に、発見、発明に大事なセレンディピティ(serendipity)を高めるための技術者、研究者の心の持ち方についても触れたい。

担当教員:合志清一

9.11月24日 講師:前田英作(NTTコミュニケーション科学基礎研究所、所長)
  講義題目:情報技術の「見えない」イノベーション
  内容:情報通信技術が社会の中で大きな役割を果たし,ライフスタイルの変革を引き   起こしているとともに,その変化は多様かつ急速である.しかし,普段私たちが接しているこの変化は,製品やサービスを通じた表面的なものであり,その裏側には,確たる「情報技術」の変革が存在する.情報技術を支えるアルゴリズムや理論的背景を技術史的な視座の中において俯瞰することを試みるとともに,情報社会の将来像を議論したい.

(参考HP) 
http://www.kecl.ntt.co.jp/openhouse/2014/
http://www.kecl.ntt.co.jp/openhouse/2015/ (4月頃公開予定)

  担当教員:管村 昇

10.12月1日 講師:坂本 隆(独立行政法人産業技術総合研究所、主任研究員)
  講義題目:色覚バリアフリー技術−シミュレーション、色変換、情報保障−
  内容:私たちの身の周りには,特定の色を使って情報を伝え,色の違いを識別しなければならない視覚表示物が多数存在する.特に危険や重要な情報を知らせる視覚表示物は,どのような色覚特性の人にも,識別できなければならないが,実際にはそうなっていない.本講義では,人の色覚特性の多様性と,色覚バリアフリーに関する課題を紹介した後に,色覚の多様性に配慮したバリアフリー化
技術(色覚モデルに基づく画像処理技術など)について解説する.

参考文献:坂本, ヒューマンインタフェース学会誌, vol.16, No.4,
pp.269-274 (2014)

  担当教員:市原恭代

11.12月8日 講師:和田有史(食品機能研究領域 食認知科学ユニット、主任研究員)
  講義題目:食と感覚・認知情報処理
内容:おいしさや安全など、食については誰もが興味を持つところだが、日常的 に使われている食に関する用語が学術用語と意味がずれていたり、間違った知見 が常識化していたりすることが多く、非専門家による科学的理解を困難にしてい る。そこで本講義では、味嗅覚と多感覚知覚、ステレオタイプなどの食の心理・ 認知科学的知見の基礎を概説する。

  担当教員:蒲池みゆき

12.12月15日 城塚 音也(株式会社 NTTデータ 技術開発本部
サービスイノベーションセンタ ドキュメントソリューション推進室 室長)
講義題目:ゲームの仕組みをビジネスに生かす「ゲーミフィケーション」
内容:人間行動の誘導技術であるゲーミフィケーションが、人間の心理モデルに基づいたゲームデザインにより、どのように情報システムのユーザ行動を変容させるかについて述べる。消費者や従業員を対象にしたゲーミフィケーションの最新事例を紹介し、ゲーミフィケーションの適用がサービスや業務の課題解決につながることを説明する。

担当教員:管村 昇

13.12月22日 講師:講師:Premachandra Chinthaka(プレーマチャンドラ チンタカ)(東京理科大学、助教)
講義題目:空陸両用ロボットの開発について
  内容:数十年前から移動ロボットに関する研究開発が幅広く行われており,様々な作業への応用も可能となっている.一方,近年飛行ロボットに関する研究も盛 んに行われており,近い将来人間にとって危険な現場などでの応用が期待される.本講義は上述移動及び飛行ロボットを組み合わせた新しいタイプの空陸両用ロ ボットの開発について述べるもので,主にロボットの製作及と移動・飛行制御における基礎内容を述べる.

  担当教員:チャンドラシリ

14.1月12日 講師:松田 晃一(独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)))顧問
講義題目:ソフトウェア危機は解消したか?
内容:大型コンピュータが本格的に使われ始めた約50年前、「ソフトウェア危機」が問題とされた。その後、ソフトウェアは我々の生活の隅々まで入り込み、現在は社会・経済を支えている。では、この「ソフトウェア危機」は解消したのだろうか?この講義では、当時の「ソフトウェア危機」の問題を振り返ると共に、現代の様々な事例に基づいて、その問題は現在解消したのか?について議論する。その中で、ソフトウェアが果たしている役割や抱えているリスクについて触れ、実用的なソフトウェアが実際にどのように開発されているのか、どのような課題を持っているのかについて紹介する。

担当教員:管村 昇

<成績評価方法>
毎回出席を取る。11/14以下は不合格とする。成績は毎回講師が要求するレポート等の合計点で評価する。

<教科書>
指定教科書ない

<参考書>
各講師の指示する参考書、HPなど。

<オフィスアワー>
質問は講義時間中または講義終了後
新宿校舎 原則午前10時から午後5時(ただし講義、会議の時間帯は除く)
面談希望者は事前にメールで連絡、確認すること

<学生へのメッセージ>
本講義は、今年度(2015年度)から、新しく開講するものである。さまざまな分野の外部の講師をお招きしご講演をいただく。めったにない機械なので、講義には真剣に臨んでもらいたい。


このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2015 Kogakuin University. All Rights Reserved.