2015年度工学院大学 情報学部情報デザイン学科

幾何学(Geometry)[3479]

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2単位
鈴木 敏行 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
この講座で,受講者は座標と計算を用いて図形の性質をとらえる方法を身につける.このためには,線形代数学の知識が必要不可欠である.しかし,情報学部は線形代数学を1年後期に履修するが半年だけで,1年間であれば後半で習う線形代数学の重要な単元である固有値・固有ベクトルまで学習するのは難しい.
そこで,線形代数学に登場する固有値・固有ベクトルを理解し,具体的に計算し,それを幾何学(2次曲線・2次曲面)に応用し,構造をとらえたり,分類したりすることができるようにする.

<受講にあたっての前提条件>
1年次に開講されている線形代数学の修得は必須であると考えられる.ただし,重要な部分については講義内でも復習をする予定である.3次までの行列の掛け算や行列式は講義で活用するので,できれば予習の段階で慣れておいてほしい.
また,高校数学の「図形と方程式」(数学II),「ベクトル」(数学B)は既知のものとして授業を進行する予定なので,復習をしてください.
(数学III・Cの「式と曲線」の話は知っていた方が取り組みやすいと考えられるが,前提ではない).

<具体的な到達目標>
具体的な達成目標は以下のとおりである.
(1) 2次曲線の分類ができ,性質や概形がわかる.例えば,焦点の座標が計算できる.
(2) (2次および3次の)正方行列の固有値・固有ベクトルを理解し,具体的に計算できる.
(3) 2次曲面の分類ができ,性質や概形がわかる.

<授業計画及び準備学習>
前半は「平面上の2次曲線」,後半は「空間上の2次曲面」について考える.
講義の開始前までに高校数学の「図形と方程式」(数学II),「ベクトル」(数学B)の基本的なことは復習しておいてほしい.また,行列の基本的な計算(掛け算・逆行列・行列式)は2×2行列だけでも良いからできるようにしておくこと.【】内は事前学習としてやっておいてほしい内容である.
第01回 平面上の直線と曲線
 直線の方程式の復習する.
 【直線の方程式の表し方(高校数学の内容)】
第02回 楕円・双曲線・放物線 (1)
 定義と標準形を理解する.
 (焦点・長軸・短軸・漸近線・準線)
 【2点間の距離の表し方・円の方程式】
第03回 楕円・双曲線・放物線 (2)
 平行移動を考える.
 【楕円・双曲線・放物線の標準形や焦点などを覚えておく】
第04回 平面上の点の運動と変換
 平行移動・対称移動・回転移動を数式で表す.
 行列の必要性を理解する.
 【三角関数の加法定理・座標平面】
第05回 行列と2次形式
 2次式を対称行列を利用して表現し,単純な2次式への変換を考える.
 【行列の基本計算】
第06回 2次曲線の分類 (1)
 複雑な2次式を変換して標準形にすることにより,2次曲線を分類する.
 【楕円・双曲線・放物線の標準形を思い出す.対称行列の対角化のやり方(講義で紹介)】
第07回 2次曲線の分類 (2)
 2次曲線に関する補足をする.
 【3×3の行列式・2次の行列の固有値】
第08回 3次元空間の平面と曲面
 空間における直線・平面の方程式を紹介する.
 【平面図形の基本的なことを理解・空間ベクトル】
第09回 2次曲面の紹介
 楕円面・双曲面・錐面・放物面を紹介する.
 簡単な性質にも触れる.
 【平面曲線の楕円・双曲線・放物線の標準形を思い出す】
第10回 2次曲面の標準形を目指して (1)
 対称行列の固有値・固有ベクトルを計算する.
 【2次の行列の固有値の導出・3次の行列式・掃き出し法】
第11回 2次曲面の標準形を目指して (2)
 対称行列の対角化をする.
 【3次の行列の固有値】
第12回 2次曲面の分類 (1)
 2次式の変換により,2次曲線の分類を行う.
 【3次の行列の対角化・2次曲面の標準形】
第13回 2次曲面の分類 (2)
 平方完成と平行移動により,2次曲線の分類を行う.
 【平方完成・2次曲面の標準形】
第14回 2次曲面のまとめ
 ここまででわからないことがあれば遠慮せずに質問して,理解を深める.
第15回 学習成果の確認(試験)
行列計算に慣れ,講義の内容を理解してもらうために,ほぼ毎回レポートを課す(計13回を予定).採点して返却し,成績にも反映するので,取り組むようにしてください.
また,レポートを含め,日頃の学習への取り組みは大事である.
事前学習も大事だが,それ以上に復習に真剣に取り組んでください.

<成績評価方法>
定期試験の点数(7割ほど)
レポート課題の解答状況(3割ほど)

<教科書>
指定教科書なし.プリントを配布する.
KUPORT(キューポート)を活用するので,使えるようにしておくこと.

<参考書>
授業内で適宜紹介する.
なお,1年次の線形代数の教材は十分に役立つはずである.
なお,講義は次のテキストを土台に組み立てている.

石原繁 竹村由也 共著「解析幾何」(森北出版)

<オフィスアワー>
授業の前後で受け付ける(12階講師室).


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