2015年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科

デジタル信号処理(Digital Signal Processing)[1E16]

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2単位
中島 弘史 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
デジタル信号処理は,音や画像,電波などを扱う分野で広く使われている技術である。本授業では,デジタル信号処理の基礎であるAD変換やDFT,Z変換などについての理論を深く理解するとともに,実際に手を動かしてDFTやZ変換の計算をしたり,LTIシステムの出力が畳み込みで計算できる事を説明できるようになる事を目的とする。

<受講にあたっての前提条件>
大学2年次までに配当されている数学系の科目について十分理解していることを前提とする。また線形システム論を受講していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
達成目標は,信号の標本化と量子化,畳み込みとインパルス応答,周波数応答,DFT,FFT,Z変換などの信号処理の考え方,基本演算法を身につける事である。

<授業計画及び準備学習>
授業計画は下記の通りである。準備学習として,各回の講義内容についての予習復習を行うとともに,基礎となる数学的な知識についても事前に理解を深めておくこと。例えば2回目の講義では対数計算,3回目では関数の性質,4回目以降では三角関数,加法定理,複素数の性質などについて十分に理解を深めておく必要がある。

【1】AD変換,正弦波の性質と複素正弦波
1)ガイダンス:デジタル信号とは,デジタル信号処理の用途,AD変換,離散化,量子化
2)AD変換:AD変換回路,アンチエイリアシングフィルタ,サンプリング定理,デシベル
3)畳み込み:信号の畳み込み表現,移動平均,差分
4)正弦波の性質:周波数,振幅,位相,オイラーの公式,複素正弦波,フーリエ変換の概要
5)複素正弦波:実正弦波⇔複素正弦波,複素スペクトル表現,ベクトルの線形結合,成分の算出
6)中間試験A

【2】離散フーリエ変換(DFT)
7)フーリエ解析:フーリエ解析の種類,複素内積,複素成分の抽出,複素正弦波と倍音
8)DFTの計算:DFTの行列表現,DFTの計算
9)DFT解析:DFT結果の読み方,DFTの内積表現,DFTの要素表現
10)IDFTとFFT:IDFT,FFT,サンプリング定理の証明
11)中間試験B

【3】 LTIシステムとZ変換
12)LTIシステム:線形システム,時不変システム,インパルス応答
13)畳み込みとZ変換:LTIシステムの出力計算(畳み込み),Z変換,周波数特性
14)Z変換の性質:畳み込み⇔Z領域の積の証明,Z変換の応用
15)期末試験

<成績評価方法>
2回の中間試験と期末試験,並びに授業中の演習の結果で評価する。評価の重みは,中間試験を各20%,期末試験を50%,演習を10%とする。到達目標にわずかに達していないと判断される場合には,追加の試験やレポート提出を課し,その結果によって到達目標に達していると判断することがある。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
「デジタル信号処理」 貴家 仁志著(昭晃堂)
「デジタル信号処理」 電子情報通信学会編(コロナ社)
「デジタル信号処理」 辻井重男,久保田 一(オーム社)

<オフィスアワー>
質問は講義中または講義終了後
その他の時間は、メールにて連絡してください。

<学生へのメッセージ>
デジタル信号処理は,通信,画像,音響などの処理で広く使われている技術です。これらの分野に興味がある人や,音や画像の処理を扱う研究室への配属を希望する人は必ず受講してほしいと思います。


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