2015年度工学院大学 情報学部コンピュータ科学科
△政治システム論(Political Systems)[1132]
2単位 小野 一 准教授 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | ◎ | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 現代日本政治のアクチュアルなテーマを題材に、政治学の基礎概念や考え方を学ぶ。一話完結型の講義形態をとるが、学期全体を通して体系的な知識を習得できるように編成してある。
- <受講にあたっての前提条件>
- 特になし。
- <具体的な到達目標>
- 本講義における具体的な達成目標は以下のとおり。
(1)現代社会の問題状況を知悉し、新しい政治的テーマの出現とその政策的展開を比較論的方法を用いて論理的に考察する。 (2)授業で学んだ知見を基に、現代社会の問題状況に対し自ら問いを設定し、批判精神をもって現実を読み解く思考態度を養う。 (3)社会科学の学修の基本である、分析力、論理的思考力、表現力を養う。
- <授業計画及び準備学習>
- (1) 政治とは何か?:「アメ玉」を使って考える
(2) 政治的正統性:人はなぜ、指導者に従うのか? (3) 求められる政治家像とは?:M.ヴェーバーの問題提起より (4) 利益政治:不正や腐敗はなぜなくならないのか? (5) 「下流社会」化する日本、というのは本当? (6) 「君たちに明日はない」?!:雇用環境悪化の背後にあるもの (7) 格差社会の行き着く先:戦争も「民営化」される時代? (8) 戦後憲法政治の屋台骨:なぜ象徴天皇制なのか? なぜ戦争放棄なのか? (9) 「55年体制」とその崩壊 (10) 政界再編成:二大政党制で日本は元気になれるか? (11) 時事問題:だから選挙はおもしろい 近年の(国政)選挙を例に (12) 「劇場型民主主義」の落とし穴:面白くなければ政治じゃない?! (13) 閉塞の時代からの突破口?:橋下型政治に潜む危険な兆候 (14) 若者に広がる「ぷちナショナリズム」:その社会的背景を問う (15) 学習成果の確認 ※ 準備学習として、前回の授業の復習をした上で各回の授業に臨むこと。具体的な課題が指示されている場合は、それに従うこ と。
- <成績評価方法>
- 授業時間中の小レポートを適宜行う。最終的な成績評価は学期末試験の成績を主たる基準として行い、平常点を加味した総合評価において60点以上を獲得した場合に合格と判定される「(2015年度入学の1年生については、GradeD以上の者に単位を認める。)。
- <教科書>
- 使用しない。ただし次の「参考書」の項を参照のこと。時々、プリントを配布する。
- <参考書>
- 最初の数回の授業では、M.ヴェーバー『職業としての政治』(岩波文庫)を使用する。小さな書物だが、政治とは何かを考えるための有益なテキストなので、目を通した上で持参すること。その他の参考書は講義中に指示する。
- <オフィスアワー>
- 八王子校舎1号館1E-310号室:木曜日5時限目(前期)、木曜日昼休み(後期)
新宿校舎27階2744号室:月:11〜12時(前期)、火:11〜12時(後期) 新宿校舎12階講師室:水:19:30〜20時(前期)、19〜19:30(後期) 上記以外にも、事前に協議の上で研究室来訪の日時を予約することができる。休暇中は必ず事前に予約した上で来室すること。
- <学生へのメッセージ>
- 私は政治学者として、今日の政治状況を深く憂慮する者です。既成制度が現代社会の新しい問題状況に答えきれず、政治家のスキャンダルが相次ぐ現実を前に、政治的無関心がはびこるのも無理からぬことかもしれません。しかし政治の劣化に対しては、私たち市民の側にも責任の一端はあります。多くの人が考えることを放棄し、直感的にわかりやすいシンボル的テーマに付和雷同的に反応している状況は、民主主義の危機とも言いうる状況だからです。
今年の講義の重要テーマのひとつは、「ポピュリズム」ということです。ポピュリズムを超えて、市民社会の生き生きとした議論を政治に場に反映させるためには、私たち市民の成熟が求められます。この講義を通して批判的思考能力を養い、急速に変動する現代社会の中で適切な判断を下せる人となりたいものです。意欲的な学生の参加を望みます。
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