2015年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

開発途上地域論(Studies on Developing Economies)[4B07]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
高木  功 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
人類の大半は「開発途上地域」に生活しています。「貧困」の克服は人類的課題であり、また先進諸国の将来もこの開発途上諸国問題の解決いかんにかかっています。近年は中国、インド、ブラジル、東南アジア諸国の新興経済諸国が世界経済において大きな影響力を持つようになりました。これら諸国の動向は私たちの生活に直接かかわってきます。あらたな世界経済と途上地域との関係が求められております。「開発途上地域」の諸問題を私たち課題として考えてゆきたいと思います。

<受講にあたっての前提条件>
開発途上地域との関わり、特にアジア諸国の人々との関係は、ますます重要となってきます。開発途上地域の人々の生活や文化、政治、経済、社会に関心を持って受講して下さい。すでに経済、政治、国際関係、文化等に関する科目を履修していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
1.開発途上地域の歴史的な背景について理解できる。
2.客観的な経済・社会指標(例えば国民所得、人口動態、乳幼児死亡率、貧困率、産業構成等)を用いて途上地域の現状や発展について理解できる。またそれら指標の限界を認識することができる。
3.開発途上地域と日本の政府、企業、NGO等との関係について理解し、将来の関係を構想できる。

<授業計画及び準備学習>
毎回事前に各回の講義のキーワードを調べて参加してください。授業中に必要となる鍵概念です。
また討論セッション(LTD)が2回予定されています。LTDは予習レポートを作成し参加し、
終了後、提出していただきます。採点し、返還します。
1.「開発途上(developing)」 とは:キーワード(1)「先進国」とは、(2)「開発途上国」とは
2.国際的所得格差:キーワード(1)GDP、(2)購買力平価ドル
3.開発途上国から見た戦後の歴史1:キーワード(1)世界銀行、(2)IMF、(3)GATT
4.開発途上国から見た戦後の歴史2:キーワード(1)石油危機、(2)累積債務、(3)変動相場制
5.発展戦略の諸類形:発展段階モデル、国際従属論:キーワード(1)貧困の罠、(2)発展段階論
6.発展戦略の諸類型:二重構造論:キーワード(1)伝統部門と近代部門、(2)都市化
7.インフォーマル部門:キーワード(1)都市貧困層、(2)スラムとスクオッター
8.第1回LTD(ディスカッションによる学習)
9.「貧困」とは:キーワード(1)所得貧困、(2)貧困線
11.飢餓とエンタイトルメント:キーワード(1)「飢餓」(2)エンタイトルメント
12.ケイパビリティ・アプローチ:キーワード(1)生活の質、(2)ケイパビリティ
13.人間開発指標と人間貧困指標:キーワード(1)HDI、(2)HPI
14.ソーシャルビジネスとBOP(経済ピラミッドの基層)ビジネス:キーワード(1)ソーシャルビジネス、(2)BOP
15.第2回LTD

<成績評価方法>
出席を前提に、2回のLTD(Learning through Discussion=ディスカッションによる学習)を実施します。LTD予習ノート提出2回とキーワード課題の提出(評価の30%)と期末試験の結果(評価の70%)により評価。

<教科書>
特に教科書は指定しないが,上記の講義の内容にそって独自に作成された資料を配布する。

<参考書>
最初の講義の際に文献リストを配布するが、一部掲げておく。
ムハマド・ユヌス『貧困のない世界を創る―ソーシャル・ビジネスと新しい資本主義』 早川書房 2008年
C.K.プラハラード『ネクスト・マーケット<増補改訂版>』 英治出版 2010年
コトラー他『ソーシャル・マーケティング:貧困に克つ7つの視点と10の戦略的取り組み』 丸善 2010年
ロバート・チェンバース『開発の思想と行動』 明石書店 2007年
ジェフリー・サックス『地球全体を幸福にする経済学』早川書房 2009年
ジェフリー・サックス 『貧困の終焉』早川書房 2006年
国連開発計画(UNDP)『人間開発報告』各年版 国際協力出版 
世界銀行編『世界開発報告』各年版 シュプリンガー・フェアクラフト東京

<オフィスアワー>
講義の前後。またメールによって質問等を受ける。メールは talltreegreen@yahoo.co.jp です。

<学生へのメッセージ>
私たち日本人の生活は途上国・地域に依って成り立っています。自身の毎日の生活の中に、途上地域の生活と経済が含まれているのです。この深い、物理的距離を越えた相互依存の世界の中にあって、私たちの生き方を考えていきましょう。


このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2015 Kogakuin University. All Rights Reserved.