2015年度工学院大学 グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科

流体機械I(Fluid Machine I)[3D12]

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2単位
川岸 裕之 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
流体機械には、ポンプ、水車、送風機、圧縮機、風車、蒸気タービンなどがあり、発電・化学・産業などの各種プラント、船舶・航空・宇宙システムなどに幅広く使用され、社会基盤を形成する機械として重要な役割を担っている。このため、流体機械の性能や信頼性に関する研究が現在も活発に行われている。本授業では、流体機械の作動原理、構造、性能、信頼性などに関する知識を習得するとともに、流体機械特有の現象や最近の動向を理解して、流体機械を設計するための基本的能力を養うことを目的とする。
本授業により、以下の到達目標を達成する。
1.流体機械の発展の歴史、構造分類、適用事例を把握する。
2.流体機械の作動原理に関連する種々の関係式を理解する。
3.流体機械の構造、性能、信頼性に関する技術を理解する。
4.流体機械の設計を実施するための基本的知識を習得する。

<受講にあたっての前提条件>
本科目の履修前に、流れ学や流体力学関連科目により、質量・運動量・角運動量・エネルギーの保存則や状態方程式を復習しておくこと。

<具体的な到達目標>
1.流体機械の基本となる熱力学・流体力学を理解して基礎的な性能・特性を評価できる。
2.流体機械の種類・構造・性能・適用範囲を理解して基礎的な用語の意味を説明できる。
3.流体機械で発生する種々の不安定現象を理解して実機設計への対処方法を説明できる。
(JABEE学習・教育目標)
「国際工学プログラム」:C-2◎

<授業計画及び準備学習>
1.「ガイダンス」
  流体機械の発展の歴史、構造分類、各種プラント・システムへの適用事例を理解する。
  教科書(口絵〜p.13)
2.「流体エネルギー、動力、エネルギー変換」
  エネルギー保存則、動力、状態方程式、運動量の法則などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.14〜p.19)
3.「エネルギーの成分、羽根車の形状、損失と効率」
  速度三角形、エネルギー変換、羽根車の形状、効率の計算方法などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.20〜p.26)
4.「おもな構成要素、遠心羽根車」
  遠心羽根車の構造、内部流れ、損失、揚程などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.33〜p.41)
5.「軸流羽根車、斜流羽根車」
  軸流羽根車の構造、内部流れ、翼列、斜流羽根車などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.42〜p.52)
6.「固定流路、軸封装置」
  流路内の流れと損失、ディフューザ、案内羽根、軸封装置などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.53〜p.69)
7.「性能と運転」
  相似則、次元解析、比速度、特性曲線などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.74〜p.89)
8.「不安定現象」
  キャビテーション、旋回失速、サージング、水撃現象などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.90〜p.108)
9.「ポンプ」
  ポンプの形式、性能、構造、特徴などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.113〜p.132)
10.「送風機、圧縮機」
  送風機・圧縮機の分類、適用範囲、構造、特性などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.135〜p.156)
11.「水車」
  水車の出力、性能曲線、形式、構造などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.159〜p.172)
12.「流体継手、トルクコンバータ、ターボチャージャ」
  流体継手・トルクコンバータ・ターボチャージャの構造、作動原理、特性などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.175〜p.194)
13.「風車、ターボ真空ポンプ」
  風車の理論、特性、種類など、ターボ真空ポンプの原理、構造などを理解する。例題を解く。
  教科書(p.195〜p.225)
14.「蒸気タービン」
  蒸気タービンの作動原理、構造、特性などを理解する。例題を解く。
15.学習成果の確認(期末試験)

準備学習:教科書の該当する個所を熟読するとともに、該当する例題を理解すること。

<成績評価方法>
最終回に行う期末試験で成績を評価し60点以上の者に単位を認める。
「国際工学プログラム」の学習・教育到達目標C-2は、上記の評価基準を満たせば達成される。
なお、授業を5回以上欠席した者は受講放棄とみなし、成績評価を行わない。

<教科書>
「ターボ機械(入門編)新改訂版」ターボ機械協会編(日本工業出版)

<参考書>
「流体機械 改訂・SI版」大橋秀雄著(森北出版)

<オフィスアワー>
授業終了後の20分間

<学生へのメッセージ>
流体機械を直接目にする機会は少ないと思いますが、社会生活および科学技術に不可欠な機械として重要な役割を担っています。また、流体機械の性能向上は最近のエネルギー・環境問題の改善に大きく貢献しています。本授業を通じて、流体機械の原理、構造、特性を十分に理解するとともに、機械技術者に求められる幅広い工学的センスを養って頂きたいと思います。

<備 考>
授業中に演習問題を行いますので、電卓を持参して下さい。


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