2015年度工学院大学 建築学部建築デザイン学科

保存・再生デザイン演習(Practice of Preserving and Reusing Structures)[3E72]

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2単位
中島 智章 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
大内田 史郎 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
 歴史的建造物や町並みを保存して将来に継承していくためには、まず、それらがどのような歴史的・芸術的意義(または、学術的・技術的・芸術的意義)を有しているのかを明らかにし、人々に説明しなければならない。また、現代の都市的文脈のなかでそれらを継承するためには、現在の様々な事情とすりあわせることも必要である。

 本演習では、歴史的建造物の歴史的・芸術的意義(または、学術的・技術的・芸術的意義)について、構造や構法などの技術的な観点(強)、建築計画や建築設備の特徴(用)、および、様式=デザイン的特徴(美)などの観点から説明できるようになることを目指す。

 本演習を通じて、現在の都市の中に様々な歴史的建造物が様々なあり方で残されている(「残されている」とはいえない場合もあるが・・・)ことを認識し、将来の建築設計やまちづくりに役立てるための知識を身につけてもらいたい。

<受講にあたっての前提条件>
 西洋建築史、近代建築史、日本建築史を修得し、建築再生論、建築保全学を履修していることが望ましいが、これらを履修条件とはしない。

<具体的な到達目標>
<授業のねらい>をふまえ、本演習の目標として以下の5点を挙げる。

1)歴史的建造物の構造や構法などの技術的な特徴を理解できるようになる。
2)歴史的建造物の建築計画や建築設備の特徴を理解できるようになる。
 →これらの特徴が当時の社会のあり方と密接な関係を持っていることを理解しつつ、過去とは異なる現代社会において保存・活用する上での問題点を把握する。
3)歴史的建造物の様式=デザイン的特徴を判別できるようになる。
 →様式的ディテール、各種仕上げ(テクスチュア)が現在では再現困難なことを理解する。
4)以上の点から、保存・活用する上での問題点を理解しながら、歴史的建造物の歴史的・芸術的意義(または、学術的・技術的・芸術的意義)を説明できるようになる。
5)以上の歴史的・芸術的意義(または、学術的・技術的・芸術的意義)を踏まえつつも、現在の都市が経済性を第一として成り立っている現実の中で、歴史的建造物を保存・活用するための技術上、制度上、建築計画上可能な手法を、さまざまな保存・活用事例から理解できるようになる。

<授業計画及び準備学習>
 本演習は、日本近代の建築の作例見学・調査、および、その事前に行われる講義からなる。作例の見学・調査等は,基本的に終日拘束されるので、各自、十分に留意すること。原則として水曜日5限開講だが、見学・調査は場所の都合により休日に行うこともあるので注意すること。

1. 全体説明 授業の進め方 調査練習のための簡単な演習 建築写真の撮り方
 準備学習:第1回授業レジュメの予習
2. 講義I 様式建築とは何か?−19世紀ヨーロッパの歴史主義建築−
 入園料、保険料、資料代が発生する場合は所定の金額を徴収
 準備学習:第2回授業レジュメの予習
3. 講義II 擬洋風建築と看板建築
 準備学習:第3回授業レジュメの予習
4~7. 現地見学I 江戸東京たてもの園
 準備学習:第2、3回授業レジュメの復習
8. 講義III ジョサイア・コンドルの様式感
 第1レポート提出
 準備学習:第8回授業レジュメの予習
9. 講義IV 東京駅丸ノ内本屋と辰野金吾
 準備学習:第9回授業レジュメの予習
10~13 現地見学II 東京駅丸ノ内本屋(予定)
 準備学習:第8、9回授業レジュメの復習
14. 講義V 工手学校と妻木頼黄
 第2レポート提出
 準備学習:第14回授業レジュメの予習
15~16. 見学旅行の説明
 準備学習:第15、16回授業レジュメの予習
第17〜30回 夏期休暇期間に見学旅行実施(今年度は名古屋方面を予定)
 準備学習:第15、16回授業レジュメの復習

<成績評価方法>
 見学・調査時の演習課題、および、見学・調査についてのレポート課題の平均点が60点以上の者に単位を認める。

<教科書>
 指定教科書なし。キューポートの「共有フォルダ→170建築系学科フォルダ→授業資料フォルダー→保存・再生デザイン演習」にアップロードされた資料を、あらかじめダウンロードすること。

<参考書>
伊藤延男ほか:『新建築学大系50 歴史的建造物の保存』、彰国社、1999年
陣内秀信、中山繁信編:『実測術―サーベイで都市を読む・建築を学ぶ』、学芸出版社、2001年

<オフィスアワー>
 前期水曜日5限の後。
 ただし、下記のウェブサイトに記載されたメイル・アドレス宛てに、注意書きをよく読んでアポイントメントを必ず要請すること。
https://www.facebook.com/cours.nakashima.tomoaki/info?tab=page_info
(スマホ・サイトではなく、PCサイトに接続することが望ましい)

<学生へのメッセージ>
 見学・調査は学外での集団行動になるので、現地では責任感ある行動をとるよう十分に留意すること。

<参考ホームページアドレス>
https://www.facebook.com/cours.nakashima.tomoaki


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