2015年度工学院大学 第1部情報通信工学科

回路理論演習II(Practice on Circuit Theory II)[3380]

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1単位
高橋 泰樹 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
電気回路に関する問題を解きながら電気回路理論の理解を深めると共に、その応用能力を養うことを目標とする。
「回路理論I」の講義内容に沿って演習問題を授業中に解き提出。回答例は次週の授業中に示す。計算力や回路変形のセンスを要求されるケースも多く、数多くの問題に触れる。また実際の企業の入社試験等で出された問題も解いてみる。
本講義では、「回路理論I」で学んだことを基礎とし、より高度な電気回路の解析ができるようなセンスを身につけると共に、実際に解析できるようになることを目的とする。特に、複素数を用いた交流回路の解析が中心となる。

<受講にあたっての前提条件>
・三角関数の計算ができること。
・複素数(虚数)の計算ができ、複素数のベクトル表示(複素平面)を理解していること。(苦手な人は学習支援センターの活用を勧める。)
・回路理論Iで習得する直流回路の回路網解析を理解していること。(理解していない場合、回路理論IIにおける交流回路網解析が困難になる可能性がある。)

<具体的な到達目標>
・複素インピーダンスについて理解し、合成インピーダンスが計算できる。
・RLCが混ざった回路の複素インピーダンスを複素平面上のベクトルで表記でき、周波数との関係が理解できる。
・共振回路について理解する。(共振周波数が求められ、RLCの役割が理解できる。)・RLCが入り混じった回路網の解析ができる。
・二端子対回路における計算ができる。

<授業計画及び準備学習>
1.合成複素インピーダンスの計算(回路理論Iの復習を含む)
 回路理論Iで習った基本的な複素インピーダンスを思い出し、計算できるようにする。
2.ベクトル図とベクトル軌跡、電力ベクトル
 複素平面内に複素インピーダンス等の複素数表記をベクトルで表せることを学び、
 実際に与えられた複素インピーダンスをを適当な形に変形し、ベクトルとして表せるようにする。
 (瞬時値形式、指数形式から直交形式への変換や分母の有理化等)
 実数部と虚数部の意味を理解する。
3.RLC直列回路(基礎)
 R、L、Cが混在した直列回路の合成インピーダンスが求められる様にする。
 分母の有理化や、絶対値の計算も確実に求められるようにする。
4.RLC直列回路(ベクトル軌跡・応用)
 周波数が変化したときにベクトルの軌跡がどう変化するかを学ぶ。R−L、R−C,L−C、
 R−L−Cの組み合わせ回路でベクトル軌跡のそれぞれの特徴を理解する。
5.RLC並列回路(基礎)
 R、L、Cが混在した並列回路の合成インピーダンスが求められる様にする。
 分母の有理化や、絶対値も確実に求められるようにする。
6.RLC並列回路(ベクトル軌跡・応用)
 周波数が変化したときにベクトルの軌跡がどう変化するかを学ぶ。R−L、R−C,L−C、
 R−L−Cの組み合わせ回路でベクトル軌跡のそれぞれの特徴を理解する。
7.RLC回路網解析
 R、L、Cが含まれる回路を直流回路の時と同様に、電流ループ法などの解析手法を用い、
 任意の電流や電圧を求められるようにする。
8.RLC共振回路(1)
 R、L、Cが混在した回路で特別な条件の時、「共振」という現象が起きることを理解する。
 直列共振、並列共振を学ぶ。
 電気的な共振という現象はラジオやフィルタの基本原理となっており非常に重要な現象であることを学ぶ。
9.RLC共振回路(2)
 前回の講義で学んだ共振回路についてさらに深く考察すし、自分で条件を導き出せるようにする。
 コイルに含まれる抵抗成分の影響について学ぶ。
10.ブリッジ回路
 直流回路(回路理論I)で学んだブリッジ回路を交流素子(L、C)を用いた場合に拡張する。
 それぞれの回路でどのような未知パラメータが導出できるかを理解する。
11.交流回路のまとめ
 R、L、Cが混在した回路での応用例について学ぶ。
 最大消費電力条件や、任意に位相を調整するための条件など。
12.三相交流
 三相交流の基礎を学ぶ。Δ結線、Y結線について学び、相互に変換できることを知る。
13.二端子対回路(1)
 回路網をブラックボックス化した入力と出力の端子のみが存在する様な回路を扱う。
 それらのパラメータは行列式で表記でき、数種類の表記の仕方があることを学ぶ。
 Zパラメータ、Yパラメータ、Fパラメータ
14.二端子対回路(2)
 前回の授業で学んだ各種表記法に従い、実際の回路図からパラメータに変換できるようにする。
 また、それぞれのパラメータ表記間の変換をできるようにする。
15.学習成果の確認(定期試験)

<成績評価方法>
定期試験と提出物(レポートなど)の平均値が60点以上の者を合格とする。
ただし、上記の結果が50点以上60点未満の者で、8割以上出席し、課題を8割以上提出した者については、提出物の内容を判断し合格とする場合がある。
◆定期試験・レポートの結果が良くても、出席状況が悪い場合には不合格とする場合がある。

<教科書>
問題は毎回、教員側で用意する。
(電気回路教本 秋月影雄、橋本洋志(オーム社出版局))

<参考書>
「詳解 電気回路演習」木下真二郎著(共立出版)

<オフィスアワー>
水曜15:00〜
研究室(5-704)

<学生へのメッセージ>
最近の傾向として、計算ミスが非常に目立ちます。頻繁に計算を行うので、つまらないところでミスの無いように。
多くの問題を自分で考えて、必ず紙に書ながら最後まで(答えの単位まで)答えを出すようにして下さい。
また授業中にやった問題で、自分が間違えたところは理解するまで、こだわって下さい。
三角関数、複素数など苦手分野は早めに復習しておくことを勧めます。(学習支援センターの活用も)


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