2015年度工学院大学 第1部情報通信工学科

アナログ電子回路I(Analog Electronic Circuit I)[2277]

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2単位
高橋 泰樹 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
アナログ系電子回路の基本機能として、「増幅」、「発振」、「変調・復調」の3つが考えられる。本講義ではダイオード、バイポーラ・トランジスタ、ユニポーラ・トランジスタ(電界効果トランジスタ(FET))の基本特性を示し、トランジスタのバイアス回路の設計及び、増幅回路の働きと等価回路による動作量の計算法について理解を深める。
この講義の続きは次年度のアナログ電子回路IIへ続く。

<受講にあたっての前提条件>
この講義は電子回路の基本中の基本となる半導体(ダイオードやトランジスタ)の基本的な
動作や使い方について学ぶ。また、回路理論Iで習う回路網解析、分圧、分流、また一部、
回路理論IIで習う交流理論を理解した上で聴講する必要がある。

<具体的な到達目標>
・各種接地方式の特徴を理解する。
・バイアス回路の動作ついて理解する。(信号と電源の関係)
・トランジスタ等価回路を理解する。(交流成分で考える部分。直流成分で考える部分。)

<授業計画及び準備学習>
1.半導体の性質
 半導体とはどういうモノかを軽く学ぶ(詳しくは半導体の講義で)。
 p型、n型の半導体について理解する。

2.pn接合ダイオードとその性質
 p型、n型の半導体が接合すると、その接合面ではどのような現象が起こるかを学ぶ
 (詳しくは半導体の講義で)その現象を用いたもの「ダイオード」について、様々な
 種類とその特徴について学ぶ。回路に組み込んだときの動作を知り、回路解析により
 抵抗などの定数を決定できるようにする。

3.トランジスタの基本回路
 トランジスタの動作原理を学び、どの足(端子)にどのような方向に電圧をかけると
 動作させることができるかを分かるようにする。接地方式と電源の向きを理解する。

4.トランジスタの増幅作用(その1)
 主に、トランジスタの静特性(入力、電流伝達、出力、電圧帰還)について学ぶ。
 入力特性、電流伝達特性について理解する。その際、バイアス電圧の重要性について
 十分理解できるようにする。また「電流増幅率」というパラメータの重要性にも注意する。

5.トランジスタの増幅作用(その2)
 前回の講義の続き。出力特性、電圧帰還特性について十分理解できるようにする。
 動作点、負荷線について理解し、グラフ内に作図できるようにする。

6.トランジスタのバイアス回路(その1)
 トランジスタを増幅器として動作させるために重要な「バイアス電圧」を作り出すため
 の回路についての動作原理を学ぶ。これまでの講義では電源を2つ用いているが、
 これを1つにまとめるための考え方とその実際について。電気回路理論Iの知識を必要とする。
 固定バイアス回路の動作原理と考え方を理解する。例題を解けるようにする。
 また、コンデンサの働きを理解する。

7.トランジスタのバイアス回路(その2)
 前回の講義の続き。自己バイアス回路。例題を解けるようにする。

8.トランジスタのバイアス回路(その3)
 前回の講義の続き。電流帰還バイアス回路。講義で扱うバイアス回路の中で、一番複雑である
 が、一番実用的な回路である。動作を十分理解し、各部分の抵抗値を決定できるようにする。
 例題を解けるようにする。

9.トランジスタ増幅回路の等価回路(その1)
 トランジスタを入力抵抗と電流源として扱えることを理解する。
 等価回路のパラメータと静特性の特性(グラフ)の関連性について理解する。

10.トランジスタ増幅回路の等価回路(その2)
 前回の講義の続き。等価回路を使って簡単に回路を解析できるようにする。
 また等価回路のパラメータを用いることで各種接地回路を理論的に比較できることを学ぶ。

11.電界効果トランジスタ(その1)
 前回までの講義では電流で電流を制御するトランジスタ(バイポーラ型)を扱ったが、ここでは
 電圧(電界)で電流を制御するトランジスタ(ユニポーラ型)について扱う。このトランジスタ
 の動作原理と特徴を理解する。(バイポーラ型との違い、長所を理解する。)

12.電界効果トランジスタ(その2)
 前回の講義の続き。様々な電界効果トランジスタの特徴と動作を理解する。

13.負帰還増幅回路(その1)
 帰還回路についての考え方、特徴を理解する。安定に動作するための条件を導出できるようにする。

14.負帰還増幅回路(その2)
 負帰還を用いた増幅回路について学び、増幅度などの計算をできるようにする。

15.学習成果の確認(定期試験)

<成績評価方法>
定期試験及びレポートの結果で評価。(60点以上を合格とする。)

<教科書>
アナログ電子回路、大類重範、日本理工出版会

<参考書>
様々な本が出版されているので、特に「これ」といった参考書を指定しない。
例えば、「電子回路 基礎から応用まで、坂本康正著、協立出版」

<オフィスアワー>
授業の前後30分
研究室(5-704)または講師室


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