2015年度工学院大学 第1部情報通信工学科

回路理論I(Circuit Theory I)[6108]

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2単位
高橋 泰樹 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
電気回路理論は、電磁現象を形式化し、複雑な電磁現象を簡単に取り扱えるようにした理論体系と言うことができる。アナログ電子回路や過度現象、通信関係の回路等、全ての電気・電子回路の基本となる。この講義は十分に理解することが必要である。本講義では、直流回路についての基礎的事項、交流回路の基礎的事項について学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
・分数計算は間違いなくできること。
・三角関数の計算ができること。(高校で学んだ三角関数の復習をしておくことが望ましい)
・複素数の計算ができること。
・複素数のベクトル表示(複素平面)を理解していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
直列接続・並列接続が混ざり合った抵抗の合成抵抗値を導出できる。
直流回路についての基礎的な法則を理解し、回路図を数式で表し解析できる。
交流電圧(電流)の瞬時値表示、実効値表示の違いを理解し、与えられた電圧(電流)波形から導出できる。
正弦波交流における電圧・電流・インピーダンス等の複素表記が理解できる。
正弦波交流回路の基礎的な解析ができる。

<授業計画及び準備学習>
1.電流、電圧、抵抗、電圧降下と逆起電力の概念。
  抵抗に加える電圧、流れる電流の関係(オームの法則)を理解し、オームの法則(式)
  を使って計算ができるようにする。
2.抵抗回路の合成抵抗に関する式の導出
  電気回路図に徐々に慣れると共に、基本的な抵抗の並列・直列接続の式の導出をできる
  ようにする。また、基本的な合成抵抗の式を用い、抵抗を任意の状態で接続(直列、
  並列、それらの混合)したときの合成抵抗を自由に計算できるようにする。
3.分圧、分流
  抵抗を用いて電圧や電流を分配できることを理解し、分圧の公式、分流の公式を導ける
  ようにし、これらの式を自由に使いこなせるようにする。
  また、電圧計、電流計に応用した場合、許容以上の電圧、電流を測定できることを理解する。
4.電流と電力
  抵抗体に電流が流れると熱(ジュール熱)が発生することを学び、電力について学ぶ。
  効率よく電力を供給する条件(最大消費電力)について学び、電源の内部抵抗と負荷抵抗
  の関係と最大消費電力の関係を理解し、条件を導けるようにする。
5.キルヒホッフの法則
  回路解析をする上で基本となるキルヒホッフの法則を理解し、簡単な電気回路を解析で
  きるようにし、知りたい部分の電圧や電流を自由に求めることができるようにする。
6.回路解析・回路方程式(1)
  キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。(枝電流法)
  これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
7.回路解析・回路方程式(2)
  前回の講義の続き。キルヒホッフの法則を応用し、回路網解析法を解析例を通して学ぶ。
 (ループ電流法、接点方程式法)これによりより複雑な電気回路を解析できるようにする。
8.重ね合わせの定理・テブナンの定理・ノルトンの定理
  回路解析の手法の1つである重ね合わせの定理について学び、自由に使えるようにする。
  また、電源に電圧源、電流源が有ることを学び、任意の回路網が1つの抵抗と1つの
  電源(電圧源あるいは電流源)で表せることを理解し、これらの変換を自由にできるよ
  うにする。
9.Δ−Y変換、Y−Δ変換、ホイートストンブリッジ
  抵抗の特別な場合の接続法(Δ接続、Y接続)の変換を学ぶ。またブリッジ回路について
  学び平衡条件を導けるようにする。ブリッジ回路は交流回路理論でも使うことがあり十分
  に理解しておく必要がある。
10.正弦波交流:振幅、角周波数、初期位相、位相差、実効値
  交流回路を学ぶ上での基本的な概念を学び理解する。
  特にこの講義以降頻繁に三角関数が出てくるので十分な数学的な復習や理解が必要となる。
11.LRCの基本的性質
  コイルやコンデンサの交流回路での働きを十分理解する。
  コイル、コンデンサの働きは今後、通信系回路やアンテナを学ぶ上で基本となる。
12.相互誘導回路
  物理的には接続されていない2つのコイルの誘導現象について回路の観点から学び、
  回路網に接続されたときの等価回路への変換や、全体の回路の解析をできるようにする。
  誘導現象については電気磁気学で学んだことを復習のこと。
13.交流電力:瞬時電力、平均電力、皮相電力、有効電力、無効電力、力率
  交流にはいろいろな電力の定義がありそれぞれの特徴を理解し求められるようにする。
  また、どのような場合にどの表記をするのが適切なのかを分かるようにする。
14.複素数と正弦波交流の複素数表示・複素インピーダンス、複素アドミッタンス
  複素数を用いることで、コイルやコンデンサが直流回路における抵抗と同様に扱えることを学ぶ。
  (インピーダンス、アドミッタンスの概念の理解)
  合成インピーダンスの計算が間違いなくできるようにする。
  この講義以降(回路理論IIに向けて)、頻繁に複素数の計算を行うことになるので十分な数学的
  な復習や理解が必要となる。
  複素数の絶対値、分母の有理化が計算ミス無くできるようにしておくこと。
15.学習成果の確認(定期試験)

<成績評価方法>
定期試験の結果60点以上を合格とする。

<教科書>
電気回路教本 秋月影雄、橋本洋志(オーム社出版局)

<参考書>
電気学会大学講座「電気回路論 2版改訂」、平山 博 大附辰夫 共著、(電気学会)、オーム社

<オフィスアワー>
水曜15:00〜
研究室(5-704)


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