2015年度工学院大学 第1部電気システム工学科

電気電子材料(k)[4B11]

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2単位
坂本 哲夫 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
本講義では電気・電子工学に関連する材料の基本的性質について学ぶ。基礎科目で学んだ理論的な知識を基に、材料において生じる電気・磁気的現象を把握し、原子・分子レベルの視点からも理解を深める。この講義によって、電気機器や電子デバイスで用いられる磁性体・半導体・誘電体材料などについてより深く理解することを目標とする。

<受講にあたっての前提条件>
物質と電気的性質の関わりを学ぶため、「化学I,II」、「電力用デバイス」を履修しておくこと。この科目以降、物質を扱う科目はないため、電気電子に関連する材料分野を志望する学生は受講することが望ましい。

<具体的な到達目標>
・固体を構成する原子の構造や結合といった物性論の考え方を理解する。
・その物性と電気電子材料の利用分野との関連性を理解する。
・導電材料、絶縁材料、半導体材料、誘電材料、磁気材料の代表例と利用分野を理解する。

<授業計画及び準備学習>
1.電気電子材料の基礎(1):すべての材料は原子・分子から成っている。すなわち、材料の性質を理解するためには最小単位である原子・分子の性質、これらが集まった結晶の性質を理解することである。1回目は原子の構造から原子間の結合までを理解する。
2.電気電子材料の基礎(2):原子が規則正しく結合したものが結晶である。結晶は原子の並び方などによって特徴づけられるが、それに伴い、電子が結晶のなかで取りうるエネルギー状態も決まる。2回目は結晶構造とエネルギーバンドの関係を学び、電気電子材料の電気的性質と熱的性質の概要を理解する。
3.導電材料(1):導電材料は金属等の良導体であり、電線などに用いられる。そこに求められる性質は低い抵抗率や材料としての強度などである。1回目は物質の導電現象、電気抵抗の原因、不純物の影響、熱処理の影響など、素材としての導電材料の基礎を理解する。
4.導電材料(2):前回に引き続き、導電材料を学ぶ。2回目は導電材料の実際の利用例として各種電線、接点材料についての理解を深める。
5.半導体材料(1):半導体の性質については2年次の「電力用デバイス」で修得済みであるが、ここで再度学ぶとともに、製造方法についての理解を深める。1回目は半導体材料の基礎として、結晶構造、接合界面、光電変換、発光(ルミネセンス)、ホール効果について理解する。
6.半導体材料(2):2回目は半導体の物性値制御と、それに応じた製造プロセスを学ぶ。
7.誘電材料:誘電材料はキャパシタや圧電素子などに利用されている。誘電材料の基礎理論ならびに圧電性と焦電性についても学ぶ。
8.絶縁材料:絶縁材料は導電材料とは反対になるべく電気を通さないようにする材料である。このため、材料そのものの性質のみならず、絶縁破壊が起こるメカニズムを理解する必要がある、これらを理解する。
9.各種誘電・絶縁材料:誘電材料、絶縁材料について、求められる性能や性質、それに対応した材料の選定、ならびに具体的利用例について理解する。
10.磁気材料(1):磁気材料はセンサーや記録媒体として用いられている。なぜ材料が磁気的な性質を有するのか、それを原子分子レベルの現象から理解する。
11.磁気材料(2):各種磁気材料の分類と応用例を理解する。
12.発電材料:火力や水力以外の発電として太陽光発電が注目されている。また、種々の燃料を使うことができる燃料電池も今後、発展が見込まれる。太陽電池、燃料電池の原理ならびに材料、そして解決するべき課題などを理解する。
13.蓄電用材料:蓄電池はたとえば、ハイブリッド車や電気自動車、各種バックアップ電源として利用が広まっている。用いられる材料は電池の容量を増やしたり、耐久性を上げるといったニーズにこたえなければならない。蓄電池の原理、用いられる材料について理解する。
14.材料の評価・分析手法:材料の開発や、それを用いた部品、装置の開発においてそれらを評価する方法もまた重要である。主として物性的な分析方法、電気・電子的な計測方法について理解する。
15.学習成果の確認(試験)

各回の講義後、演習問題を解き、復習すること。

<成績評価方法>
期末試験において60点以上を合格とする。なお、欠席が5回以上の者は期末試験を受けることはできない。

<教科書>
山本秀和、小田昭紀著、「現代電気電子材料」、コロナ社

<参考書>
なし

<オフィスアワー>
木曜日13:00-15:00(新宿キャンパス)
ただし、事前にメール(宛先 ct13087@ns.kogakuin.ac.jp)で連絡してください。

<学生へのメッセージ>
材料の開発によって社会は大きく変化します。例えば、歴史的には石、銅、鉄、そしてシリコンと人類がこれらの材料使いこなすことによって革新的な技術が生まれてきました。次はどんな材料が時代を変えるのでしょうか。一緒に考えてみましょう。


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