2015年度工学院大学 第1部電気システム工学科

生物学概論(Introduction to Biology)[5501]

試験情報を見る] [授業を振り返ってのコメント(学内限定)

2単位
鈴木 基文 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
「いきもの」すなわち生物(生命)は細胞からなっているが、その細胞は物質(分子)からなっている。生物を機械とみなしている生物機械論は工学的で合目的的であるが、一方、生物には偶然の要素もある。したがって、生命には必然性(合目的的なもの)と偶然性(確率論的なもの)の二面性があることを理解する。また、生命には普遍性と多様性の両面があることを理解する。遺伝子DNAとその遺伝子を包む細胞が単細胞として、もしくは、細胞集合体の多細胞として、繰り広げる生命の世界には起源があり進化があり、自己複製能、修復能、変異能、分裂・増殖能、代謝能、刺激応答能、調節能などがあることを理解する。生命倫理や環境保全の考え方を理解する。

<受講にあたっての前提条件>
生物学に関心があること。

<具体的な到達目標>
到達目標は以下の通りである。(1)生命には歴史があり、生命の分子的基礎となる生体分子は多様な化学構造をもつことを認識し、その生物学的意義を理解できる。(2)細胞の生存・分裂・増殖・分化を細胞周期、アポトーシス(細胞死)、がん化と関連させて、細胞レベル及び分子レベルで理解できる。(3)個体の発生や再生について細胞および分子レベルで理解できる。(4)生体の恒常性(免疫系、内分泌系、神経系)について細胞および分子レベルで理解できる。(5)生物と環境との相互関係に基づく生態および進化について理解できる。(6)生命科学における生命哲学、生命倫理および環境倫理の重要性について理解できる。
(JABEE学習・教育到達目標)
「機械工学エネルギー・デザインプログラム」: D-1 ◎

<授業計画及び準備学習>
1. 「概要」 生物学の歴史、分子生物学の誕生から生命科学への発展について学ぶ。次回から第14回までの授業を予習するためのプリントを配布しますので、各回の講義前までに予習しておくこと。
2. 「生命の歴史」 生命の起源、化学進化から細胞進化へ、そして生命の誕生および生命の普遍性と多様性について学ぶ。
3. 「分子と細胞1」 DNA、RNA、タンパク質の構造と機能、および細胞核と遺伝情報の流れ(セントラルドグマ)について学ぶ。
4. 「分子と細胞2」 脂質、膜タンパク、糖鎖の構造と機能、および細胞膜とオルガネラについて学ぶ。
5. 「生命と遺伝子 1」 遺伝子DNAの複製、細胞分裂と細胞周期の分子機構、ガン化について学ぶ、
6. 「生命と遺伝子 2」 遺伝子の転写、翻訳、突然変異および修復機構について学ぶ。
7. 「生命と遺伝子 3」 遺伝子組み換え、クローニングの基礎について学ぶ
8. 「生命と遺伝子 4」 遺伝子発現の調節機構について学ぶ。
9. 「発生」 個体発生における細胞分化および細胞死について学ぶ。
10. 「免疫系」 免疫系の仕組み、抗体タンパクの構造と機能および抗体の多様性とその遺伝子との関係について学ぶ。
11. 「内分泌系と脳神経系」 内分泌細胞とシグナル伝達機構および神経細胞の構造と機能およびシナプスにおける神経伝達の分子機構について学ぶ。
12. 「進化」 分子進化学、生物進化と大量絶滅、ヒトの進化について学ぶ。
13. 「生態」 生物と環境、炭素循環、窒素循環、生態学について学ぶ。
14. 「保全生物および生命哲学」 環境保全、生物多様性条約、生命倫理について学ぶ。
15. 学習成果の確認(試験)

<成績評価方法>
理解度をみるための中間テスト(1回)(レポート形式で、問題用紙配布後、指定した日に答案を提出する)および定期試験の結果を総合的(原則として中間テスト2:定期試験8の割合)に評価し、60点以上の者に単位を認める。
Grade D以上の者に単位を認める。

<教科書>
指定教科書なし

<参考書>
「生命科学入門」 丸山工作、丸山 敬 著 (東京教学社)
「ニューステージ 新生物図表」 浜島書店編集部 (浜島書店)
他の参考書は授業にて紹介します。

<オフィスアワー>
授業終了後、教室にて質問を受けます。

<学生へのメッセージ>
プリントを中心に授業を行いますが、参考書に記した「新生物図表」を持つことを推奨します。授業で、生物学に関する時事ニュース、有名な科学者の伝記、科学の啓蒙書などを紹介し、生物学に興味をいだくきっかけをつくりたいと思っています。原則として毎回、授業のテーマに関する基本用語の理解度テストを行います。基本用語については、定期試験で再確認いたしますので、復習しておいてください。


このページの著作権は学校法人工学院大学が有しています。
Copyright(c)2015 Kogakuin University. All Rights Reserved.