2015年度工学院大学 第1部電気システム工学科

幾何学II(Geometry II)[4478]

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2単位
長谷川 研二 准教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
曲線や曲面の方程式による表現や概形の把握を主眼とする。曲線でも関数のグラフでない陰関数の状態のままでは難しい。ここでは方程式が2次式である2次曲線、2次曲面に限定して、線形代数学の固有値・固有ベクトルを応用する。以下の到達目標を達成する。
  • 曲線や曲面を方程式から概形や特徴が把握できる。
  • 線形代数の固有値・固有ベクトルの重要な応用例を学ぶ。

<受講にあたっての前提条件>
  • 線形代数学I・IIを履修する。特に固有値・固有ベクトルを計算して行列の対角化ができる。

<具体的な到達目標>
  1. 対称行列の対角化で2次形式を標準形に直せる。
  2. 平行移動と回転によって2次曲線・曲面を標準形に変換できる。
  3. 2次曲線の焦点・準線・離心率を求めることができる。
  4. 標準形から2次曲面の分類ができ、概形を把握できる。

<授業計画及び準備学習>
  1. 直線と平面の方程式:
    1次の方程式は直線や平面を表すことを理解し、ベクトルとの関係を解説する。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントは事前に配布できないので線形代数学の復習をしておく。
  2. 2次曲線と2次曲面:
    方程式が1次でないと曲線や曲面になることがあるが、本科目の主題が2次の方程式で表現される2次曲線や2次曲面であることを説明し、中学校や高校で習った円、2次関数のグラフ、1次分数関数のグラフ、球面、円柱、円錐が典型例であることを紹介する。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  3. 2次形式と対称行列:
    2次の項しかない2次式を2次形式と呼び、線形代数学で習ったベクトル、内積、および対称行列で表現できることを学ぶ。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  4. 回転を表わす直交行列:
    線形代数学IIで対称行列は直交行列で対角化できることを学んだが、2次直交行列は平面における原点を中心とした回転を表す行列であることを学ぶ。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  5. 平行移動と回転移動による曲線の変換:
    平行移動と回転移動により方程式は変わるが、曲線の特徴は不変である。できるだけ扱いやすい方程式にする平行移動と回転移動の選び方を解説する。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  6. 2次曲線の標準形:
    前回の授業で扱いやすい方程式に変換した状態を標準形という。これより2次曲線の形状と特徴が把握できる。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  7. 楕円・双曲線・放物線:
    2次曲線は3種類に分類できることを理解して、それぞれの概形が描写できるようになる。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  8. 焦点・準線・離心率:
    座標を使わなくても円がコンパスで描写できるように、2次曲線は座標がなくても描写できる。そのためには焦点と準線の設定が必要である。また離心率は惑星の軌道(楕円)の特徴を表す指数として使われることを紹介する。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  9. 一般の2次曲線の分類:
    一般的な2次曲線の方程式は必ずしも曲線になるとは限らず、直線、点、空集合になることもあり、それらの見極めができるようになる。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  10. 3次直交行列と空間の回転移動:
    3次元空間で原点を通る直線を軸とした回転移動は3次直交行列で表現でき、逆に一般の3次直交行列は2つの回転移動の合成になることを学ぶ。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  11. 2次曲面の標準形:
    2次曲線と同様に回転移動と平行移動によって扱いやすい方程式に変換した状態を標準形という。対称行列の対角化によって方程式の2次の項が変数の2乗のみになり、さらに平行移動により1次の項または定数項が消える形になる。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  12. 楕円面・双曲面・錐面:
    変数の2乗の項が3個ある標準形の2次曲面は楕円面・双曲面・錐面である。標準形から曲面の概形を把握し、媒介変数表示の方法を学ぶ。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  13. 楕円放物面・双曲放物面:
    変数の2乗の項が2個ある標準形の2次曲面は楕円放物面・双曲放物面である。標準形から曲面の概形を把握する。問題を解き答案用紙を提出する。(採点し次回の授業で返却)
    準備学習:プリントを読んでおく。
  14. 一般の2次曲面の分類:
    一般の2次曲面の方程式は柱面のような平面を曲げたような曲面や平面、直線、点、空集合もある。2次曲面の方程式から曲面の形状を分類できるようになる。問題を解き答案用紙を提出する。(次回は試験なので、試験前のオフィスアワーで希望者に返却)
    準備学習:返却された答案用紙を復習する。プリントを読んでおく。
  15. 学習成果の確認(試験):
    準備学習:配布されたプリントを復習する。特に問題については再度解いてみる。

<成績評価方法>
定期試験の得点が80点以上であればそれを成績点とする。定期試験の得点が80点未満であればそれをx点として、成績点を(ax)b(小数点以下四捨五入)とする。ただしabは(80a)b =80で合格基準点x0に対して(ax0)b =60を満たすように定める。合格基準点は60点以下で各受講生毎に定めるとして、授業中に解かせた問題の解答状況による平常点が高いほど合格基準点は低くなる。平常点が最高であれば基準点は40点前後である。

<教科書>
  • 指定教科書なし
  • プリントを授業で配布したり、予習のためにキューポートにPDFファイルを事前にアップロードする。

<参考書>
  • 線形代数講義 金子 晃 著 サイエンス社
  • 線型代数入門 斎藤 正彦 著 東京大学出版会
  • 解析幾何学入門 関沢 正躬 著 日本評論社

<オフィスアワー>
木曜日3,5時限(01E−313数学研究室)


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