2015年度工学院大学 第1部電気システム工学科

化学実験(Experiments in Chemistry)[5210]

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1単位
兼清 真人 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
一般教養として基礎的な化学の実験を通じ、化学理論を実験により検証し、化学変化を観察する。その上で化学の基本的素養を身につけた科学的に広い視点から物事を思慮できる人格の形成を目指す。

<受講にあたっての前提条件>
高校レベルの化学の基礎知識を有することが望ましいが、必須ではない。高校で化学を履修しなかった人は、学習支援センターを活用し、化学の知識を補うこと。さらに本科目で習得した内容の理論的背景を「化学I・II」で履修することが望ましい。また、本科目で化学の基本的素養を習得することは、今後の専門科目の履修ばかりでなく工学全分野で有用である。

<具体的な到達目標>
・安全と環境に配慮し、化学実験器具や化学薬品を適切に取り扱うことができる。
・実験の全体像を理解し、実験ノートに予習を行うことができる。
・実験中に起こる変化を注意深く観察・洞察し、正確にノートに記述することができる。
・実験データに基づき、濃度・収率などの量を計算することができる。
・実験結果を十分に考察し、実験レポートを作成できる。

<授業計画及び準備学習>
高校で化学を十分学習していない学生に配慮し、高校化学程度の初歩的な内容から始める。実験はほとんど個人で実験で行う。実験テーマは、定性分析を主とし、未知試料の定性実験、初歩的な定量分析実験を行ない、さらに2〜3の物理化学実験、合成実験を行なう。他クラスとの進度の調整のため、以下の実験内容と順序は、やむを得ず変更あるいは省略になることがある。

第1週:実験を行なうにあたっての注意・ガイダンス
 [学習内容] テキスト配布、安全に関する注意、レポートの書き方、評価方法等を説明する。
 [学習準備] 特に必要ないが、履修を予定している学生は初回の授業に必ず出席すること。
第2週:炎色反応(Na+, K+, Ca2+, Sr2+, Ba2+)
 [学習内容]  Na+, K+, Ca2+, Sr2+, Ba2+の炎色反応を見る。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第3週:無機陽イオン各個の反応(Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+)
 [学習内容]  Ag+, Pb2+, Al3+, Fe3+各イオンの存在を確認するための化学反応を行う。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第4週:第I属陽イオン(Ag+, Pb2+)の系統的分析
 [学習内容]  Ag+, Pb2+イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第5週:第III属陽イオン(Al3+, Fe3+)の系統的分析
 [学習内容]  Al3+, Fe3+イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。
 [準備学習] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第6週:第I, III属陽イオンの混合試料の分析
 [学習内容] 第一属・第三属イオンの混合溶液から各イオンを分離・確認する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第7週:第I, III属陽イオンの未知試料の分析
 [学習内容] 第一属・第三属イオンの未知試料溶液から各イオンを分離・同定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第8週:酸塩基指示薬の性質
 [学習内容] 数種の酸塩基指示薬を用い、pHの変化に伴う指示薬の色変化を観察する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第9週:アルカリ標準液による酸の定量
 [学習内容] 濃度の分かっているアルカリ標準液を用いて、酸の濃度を滴定法で決定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第10週:市販食酢中の酢酸の定量
 [学習内容] 濃度既知のアルカリ標準液を用いて、市販食酢中の酢酸の濃度を滴定法で決定する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第11週:硫酸銅の合成と再結晶による精製
 [学習内容] 無機化合物である硫酸銅を合成し、再結晶法による精製を行う。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第12週:蒸留水の製造
 [学習内容] 水道水を蒸留することにより精製し、比抵抗測定によりその純度向上を確認する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第13週:ナイロン6 10の界面重合
 [学習内容] 有機化合物である合成高分子ナイロン6 10を合成する。
 [学習準備] テキストの該当箇所を熟読し、実験ノートに予習を行うこと。
第14週:実験のまとめ。
 [学習内容] 第2-13週の実験を振り返り、必要があれば既に提出したレポートを書き直す。
 [学習準備] 第2-13週の実験ノートを見直しておくこと。
第15週:総合試問。
 [学習内容] 化学実験の内容、レポート、課題に関する試問に答える。
 [学習準備] 実験全体を復習し、内容、理論、結果などを理解しておくこと。

<成績評価方法>
実験・実習系の科目であるので、毎回の出席と全てのレポート提出を評価の前提とする。
毎回のレポート内容を数値化し、成績はそれらを総合して評価する。
Grade D以上の者に単位を認める。
欠席・レポートの提出が無い場合は、その回の点数は0点となる。
実験ノートの不備・遅刻・レポート遅延などは減点対象である。
レポート提出は学園ポータルサイトを使用する。但し、履修登録前のレポート提出は電子メールを用いる。レポート提出要領や評価法の詳細は最初の授業の際に説明する。

<教科書>
教材は初回に配布するテキストを使用する。

<参考書>
「化学実験 第3版」東京大学教養学部化学教室化学教育研究会編 東京大学出版会
「フォトサイエンス 化学図録」数研出版
「ダイナミックワイド 図説化学」東京書籍
各種データは以下のような書籍を参考にするとよい。
「理科年表」丸善出版
「化学便覧」丸善出版

<オフィスアワー>
後期金曜日10:00−11:00とする。教員の居室は八王子キャンパス(講師室)。不在の可能性があるので、事前に連絡を取ることを推奨する。メールで連絡・質問する場合は、fu41137@ns.kogakuin.ac.jpまで。

<学生へのメッセージ>
安全に注意しつつ、興味を持って主体的に実験に取り組んでほしい。また、化学実験室では立って実験を行なうので、健康に留意し実験に臨んでほしい。実験とレポート作成の一連の作業を通して、自然現象の観察力、現象を統合・整理する能力、論理的文章の構成力などを養い、科学的に広い視点から物事を思慮できるようになってもらいたい。

<備 考>
実験直前に初めて教材プリントを見るようでは、実験中に慌てて事故につながる。安全かつ手際良く実験を行うため、事前に予習を行うこと。このため、実験ノートの準備を必須とする。予習を忘れた場合や、遅刻した場合は、実験を禁止する場合がある。
化学実験室の収容人数60名を超える場合は、抽選などにより受講者を選別する。


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