2015年度工学院大学 第1部電気システム工学科

エネルギー・環境倫理(Ethics of Energy and Environment)[5106]

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2単位
坂本 哲夫 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
今後のエネルギーを考えるうえでは技術論だけではなく、環境問題も大いに考慮する必要がある。即ち、再生可能なエネルギーの利用、既存エネルギーとの適切な組み合わせなどにより、安全で環境負荷の低いエネルギー発生と利用が大きな課題となるであろう。
本講義では、将来こうした課題に取り組むことを想定して、いわゆる環境問題から講義を開始し、これらの環境負荷を低減する循環型社会の概念や新エネルギーなど具体的な取り組みを解説する。将来の電気・エネルギー従事者にとって必須の基礎知識を身に着けることを目的とする。

<受講にあたっての前提条件>
本講義を受講するにあたり、予め受講するべき科目はない。本講義の内容は主として電気分野における開発動向の一つである省エネ製品の開発、太陽光・風力発電などと関連性が深い。このため、2年次以降の科目では「電気機器基礎」、「電気機器」、「電力回路」、「電力エネルギー発生」といった科目の基礎にも相当する。

<具体的な到達目標>
・一技術者、開発者としてエネルギーと環境に係る過去ならびに現在の状況を正しく理解できる。
・電気系技術者として、エネルギーと環境に係る解決技術ならびに今後の課題を正しく理解できる。
・知的財産、PL法など技術者として自身に関連する法規などを正しく理解できる。

<授業計画及び準備学習>
1.地球環境問題を捉える視点:いわゆる環境問題、公害の歴史と現状を学び、現在我々が抱えている問題や、その中で技術者が果たすべき役割を理解する。
2.持続的開発の概念:世界的に見て、持続的開発がエネルギー・環境技術の目指すところである。持続的開発の概念が誕生した経緯、具体的な取り組みなどを理解する。
3.エネルギー工学と環境保全:持続的開発を目指すということは、経済活動とエネルギー生産をともに発展させることである。風力エネルギーの利用を一つの例としてその経済性、問題点を理解する。
4.風力発電:風力発電について、その原理と効率、技術的課題などについて理解する。
5.熱エネルギーとその利用システム:エネルギーの相互変換、熱機関、およびヒートポンプについてその原理とエネルギー効率の基礎理論を理解する。
6.エネルギー変換と省エネ:第5回の内容を踏まえ、熱機関およびヒートポンプの熱効率の詳細を学ぶ。また、ヒートポンプの省エネ性について理解する。
7.前半のまとめ:第1回〜6回の内容をまとめ、重要項目をチェックする。
8.エネルギー変換・新エネルギー:新エネルギーの一種である燃料電池の原理と現状、課題点を理解する。
9.エネルギー資源と都市環境:種々のエネルギー・環境対策にはその実現性を前もって評価する方法が必要である。その方法として、LCA,LCCについて学ぶ。
10.自然と都市環境の調和:自然環境の保護と都市環境の発展は相反するものである。しかしながら、森林部・河川を適切に管理し、下流域(都市部)との調和を図れば、それらは両立が可能である。こうした取り組みの実例を理解する。
11.技術者の倫理1(技術者の倫理、内部告発):技術者として心得ておくべき種々の倫理を学ぶ。11回は経営者と技術者を対比させた場合の技術者の倫理、および内部告発の倫理について理解する。
12.技術者の倫理2(製造物責任、知的財産):PL法ならびに知的財産権の目的・意義について理解する。
13.技術者の倫理3(安全性とリスク、研究の倫理):実際に製品を開発する際のコストとリスク(安全係数)の考え方、および研究者としての倫理を理解する。
14. 総論
15. 学習成果の確認(試験)

準備学習: 毎回、予めキューポートに授業資料を載せておくので、前日までに一通り読んでおくこと。

<成績評価方法>
期末試験において60点以上を合格とする。但し、欠席が5回を超えた者は期末試験を受けることはできない。

<教科書>
阿部剛久編、「これからのエネルギーと環境 −水・風・熱の有効利用ー」、共立出版

<参考書>
なし。ただし、エネルギーと環境に係る書籍は多数出版されているため、自ら探してみると良い。

<オフィスアワー>
金曜日 15:00-17:00
ただし、予め電子メール(宛先: ct13087@ns.kogakuin.ac.jp)で連絡してください。

<学生へのメッセージ>
エネルギーと環境、それに倫理にかかわる知識はこれからの技術者にとって不可欠の要素です。これを機会に新しく勉強するとともに、いま我々が抱えている問題を考えてみましょう。


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