2015年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科
△流体の輸送現象(Transport Phenomena of Fluid)[4272]
2単位 石川 徹 非常勤講師 [ 教員業績 JP EN ]
- <学位授与の方針>
○ | 1. 基礎知識の習得 | ◎ | 2. 専門分野知識の習得 | ○ | 3. 汎用的問題解決技能 | | 4. 道徳的態度と社会性 | | 5. 創成能力 |
- <授業のねらい>
- 私たちは空気という気体の中で生活し、水という液体と密接に関わり合っている。それらは地球環境を支配し、生物を創り出し、文明の発展に寄与してきた。工学的に見ても、流体(気体と液体を総称して流体と呼ぶ)は非常に多くの問題と関係している。流体の流れ(流動)は身近な現象であるあるにもかかわらず、その現象を物理的に理解することはあまりない。また、反応装置や配管内部で起こる化学反応に伴う熱の移動や、反応物・生成物などの物質移動を深く理解するためには、流れの理解が必要である。流体の輸送現象では、流れについての基本的な原理や法則を学び、流れ現象を理解する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 数学および物理的要素がたくさん出てくるので、1,2年次に習った数学、物理学を良く復習しておくこと。
- <具体的な到達目標>
- 重要な無次元数であるレイノルズ数をよく理解し、円管内流れの層流と乱流を説明できる。流体輸送に必要なポンプの所要動力を求めることができる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. 流体の粘性と流動の基本的事項:ニュートンの粘性法則について学び、流体(気体と液体)の重要な性質である粘性について理解する。
2. 流動における物質収支:円管内定常流れ流れにおける物質収支を考え、さまざまな流量や流速の表わし方を理解する。 3. 円管内層流:無次元数であるレイノルズ数の仕組み、臨海レイノルズ数の意味を学び、層流、乱流の違いを理解する。微小区間の運動量収支から円管内層流の速度分布式を誘導し、層流の特徴を理解する。 4. 円管内乱流(1):乱流の表示方法および円管内乱流の構造を学び、層流との違いを理解する。代表的な円管内乱流の速度分布を表す指数法則速度分布式について学ぶ。 5. 円管内乱流(2):摩擦速度に基づいた円管内乱流の速度分布を表す対数法則速度分布式について学ぶ。 6. 円管内流れの摩擦損失:円管内流れの摩擦によるエネルギー損失を理解し、ファニングの式を誘導する。円管内層流、乱流の摩擦係数の算出法について学び、圧力損失、エネルギー損失を理解する。 7. 水力相当直径、充填層内の流れ:非円形断面流路内流れで用いられる水力相当直径について学ぶ。充填層に流体を流す操作は、触媒反応、吸着分離、濾過などで行われている。充填層内の圧力損失の求め方を理解する。 8. 流動におけるエネルギー収支(1):定常状態流れにおけるエネルギー保存則(エネルギー収支)の導出を理解する。 9. 流動におけるエネルギー収支(2):定常状態流れにおける機械的エネルギー保存則から機械的エネルギーの式(ベルヌーイの式の一般形)を誘導する。 10. 配管内流れのエネルギー損失:摩擦損失係数の導入を理解し、直円管、拡大・縮小管、配管付属品のエネルギー損失について学ぶ。 11. 流体輸送の所要動力:機械的エネルギー保存式から流体輸送に必要な理論所要動力を求める式を誘導する。ポンプの総合効率を考慮に入れた実際の所要動力を求める。 12. 流体輸送機の種類と特徴:流体を輸送する場合、液体輸送機または気体輸送機を用いて輸送管内を連続的に輸送する。さまざまな流体輸送機について種類と、その特徴について学ぶ。 13. 圧力、流速の測定:液柱圧力計の原理を学び、ピトー管による流速測定法を理解する。 14. 流量の測定:絞り流量計の一種であるオリフィス流量計の測定原理について理解する。 15. 学習成果の確認(試験) 準備学習:配布された資料を基に、前回の講義内容を復習し理解しておくこと。
- <成績評価方法>
- 成績評価は定期試験の結果で評価し、評点(100点満点)が60点以上を合格とし、学生便覧に記載された基準で成績評価を行う。なお、定期試験の受験資格は、講義出席率が75%(3/4)以上であること。
- <教科書>
- パワーポイントを使って授業を行うので、その資料を授業開始時に配布する。
指定教科書無し。
- <参考書>
- 指定参考書無し。
- <オフィスアワー>
- 講義の日には八王子校舎1号館の講師室にいます。講義等で質問・疑問があれば遠慮なく訪ねてきて下さい。質問はメールでも可能です。石川 徹 E-mail : bt70148@ns.kogakuin.ac.jp
- <学生へのメッセージ>
- 毎回の講義に出来るだけ出席し、自分で勉強しても理解できない所は遠慮なくどんどん質問してください。毎回の講義の最後に学生の出 席ならびに理解度(5段階)などの状況を把握するためにアンケートを実施します。理解度2以下の場合には具体的に記載してください。次回以降の講義に反映 するなど、効果的な教育方法を模索し、改善を図ります。講義と連動した流体及び熱輸送現象演習もぜひ受講してください。
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