2015年度工学院大学 第1部環境エネルギー化学科

物理学II(Physics II)[3176]

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2単位
渡部 隆史 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
「物理学I」で身につけた「物理的な考察力」および「自分で考える姿勢」により,以下の到達目標を達成する。
  • マクロ的な物理現象である「熱力学」において,熱力学的物理量を具体例を用いて計算できる。
  • 現代物理学の基本的な考えである場の理論へ通ずる「電磁気学」において,電場,磁束密度などの物理量が計算できる。

<受講にあたっての前提条件>
  • 「物理学I」を受講していること。
  • 多項式関数,指数関数などの初等関数の微分,積分計算ができること。

<具体的な到達目標>
  • 熱力学の状態変化過程において,出入るする熱量,気体が外部に対して行う仕事が計算できる。
  • 熱変化過程を組み合わせた熱サイクルの熱効率が計算できる。
  • エントロピーの変化量を具体的な例を使って計算できる。
  • マクスウェル方程式を使って,点電荷,直線電流から派生する電場,磁場等の具体的な例題を計算し,グラフなどによって可視化できる。

<授業計画及び準備学習>
  1. 熱と温度:
    気体の基本的な性質を現象論的にとらえ,熱とは何かを解説していく。
      準備学習:教科書118〜124ページを熟読し,例題,類題を解く。
  2. 2体の衝突問題:
    質点同士の衝突問題を題材に,運動量の保存について具体的に解説する。
      準備学習:教科書71〜78ページを熟読し,例題,類題を解く。
  3. 気体分子運動論:
    気体の基本的な性質を気体分子の運動に起因すると考え,統計力学を基に考察していく。
      準備学習:教科書124〜128ページを熟読し,例題,類題を解く。
  4. 熱力学第一法則:
    力学的エネルギー保存則を拡大解釈し,熱力学第一法則を解説する。
      準備学習:教科書128〜132ページを熟読し,例題,類題を解く。
  5. 状態変化:
    熱変化過程における様々な状態変化について,状態量の変化等を計算する。
      準備学習:教科書132〜136ページを熟読し,例題,類題を解く。
  6. 熱機関:
    熱機関(熱サイクル)とその効率について考察していく。
      準備学習:教科書136〜138ページ,139〜141ページを熟読し,例題,類題を解く。
  7. 熱力学第二法則:
    熱力学第二法則を取り上げ,熱過程の不可逆性について学んでいく。
      準備学習:教科書138〜139ページ,141〜146ページを熟読し,例題,類題を解く。
  8. 統計力学の初歩:
    エントロピーを題材に,熱力学の法則をミクロな視点から検討する。
      準備学習:教科書147〜153ページを熟読する。
  9. 電気学の初歩:
    電気学に関する歴史を振り返り,クーロンの法則を学ぶ。
      準備学習:教科書155〜160ページを熟読し,例題,類題を解く。
  10. ガウスの法則:
    電気の力を電場を用いて解釈し,ガウスの法則を導きだす。
      準備学習:教科書160〜165ページを熟読し,例題,類題を解く。
  11. 電場と電位1:
    ガウスの法則を用いて,電荷分布に合わせた電場計算の練習をする。
      準備学習:教科書165〜171ページ、173〜175ページを熟読し,例題,類題を解く。
  12. 電場と電位2:
    前回学んだ電場計算を利用し静電ポテンシャルを導き,静電場の電位について考察をする。また,電気における場とポテンシャルの考え方を磁気への拡張し,統一性を解説する。
      準備学習:教科書165〜171ページ、173〜175ページを熟読し,例題,類題を解く。
  13. 電荷と電流:
    電荷の時間変化を考え,直流による電気回路を説明する。また,誘電体(絶縁体)を用いて電気容量について学び,静電エネルギーについて考察を行う。
      準備学習:教科書171〜173ページ,200〜201ページを熟読し,例題,類題を解く。
  14. 電気力学:
    ローレンツ力による電気力学を学ぶ。さらに,電流と磁場の関係をアンペールの法則,ファラデーの電磁誘導則によって考察をする。
      準備学習:教科書175〜185ページを熟読し,例題,類題を解く。
  15. 学習成果の確認(試験)
      準備学習:前回までの総復習を行う。

<成績評価方法>
定期試験と講義中に行う小テストによる100点評価で行う。60点以上で合格とする。配点の内訳は以下の通りとなる。

定期試験,小テストについてはそれぞれ、
  • 定期試験(A)…100点満点で定期試験期間に行う。
  • 講義中に行う小テスト(B) …毎時間2点満点で行い合算する。ただし,合算については20点を満点とし,越えた分は切り捨てる。

とする。この2区分の評価点を
  1. <評価点1> = A
  2. <評価点2> = A × 0.8 +B

で合算し,それぞれの大きいほうを評価点とする。

<教科書>
「理工系 物理学講義(改訂版)」加藤潔著(培風館)

<参考書>
  • 「物理学演習テキスト」(学術図書出版)
    物理学演習IおよびIIのテキストである。各回の講義終了の段階で,演習テキストの中より復習のための問題を指定する予定でいる。復習のため,その日の内容を確実に身に付けるためにも手元においておくことが望ましい。
  • 「なっとくシリーズ」(講談社)
    高校時代の物理学履修が不十分であった学生,未履修であった学生は,慣れという意味でのハンディを背負っているといえる。残念ながら,初学者向けの書籍(特に「必ず単位が取れる」などと謳っている書籍)だけで,大学の物理学が身につくとはない。また,そのようには絶対に考えないでほしい。学問の王道は努力であると信じる。とはいえ,「物理学」や「数学」といった学問に慣れることも大切である。たとえば,ここに挙げた「なっとくシリーズ」などは,導入という意味では比較的読みやすいシリーズであると思う。
  • 「裳華房フィジックスライブラリー・シリーズ」(裳華房)
    高校で学んだ物理学と大学で学ぶ物理学の一番の違いは数学的取り扱い方法にあると考える。微積分,ベクトル演算,行列など,英語における単語にも等しい重要度を持つこれらの手段を確かなものにすることは、物理学に限らず、今後の大学生活の中においても有用であろう。あまり初学者向けの書籍とはいえないが,このシリーズの「物理数学I」には,1年生で使う内容がおおよそ書かれている。初めはなかなか判り辛いかもしれないが,何度か読み直していくうちに次第に理解が進んでくるだろう。その他,共通基礎科目だけではなく専門科目を学んでいく際にも役に立つであろう書籍がこのシリーズには多々含まれている。

<オフィスアワー>
火曜日 12:40〜13:20 (八王子校舎総合教育棟01W-332室)

<学生へのメッセージ>
講義時間は1時間30分と長いようで短い。本来ならば,系統立てて学んだ内容を演習で訓練する時間が講義時間内に設けられるべきであろうが,それがかなわない状況にある。そこで,木曜日の午後の「物理学演習II」の受講を勧める。若干の時間的ずれが学会出張などによって生じることもあるが,基本的に物理学の講義と連動するようになっている。演習の時間を有効活用してもらいたい。

講義で使用するスライドは,講義開始前までにWebサイトへ掲載する。下記「参考ホームページアドレス」から辿ることができるので,有効活用してほしい。

質問は歓迎する。ただし,必ず居室にいるとは限らないので,E-mailを利用するか事前にアポイントメントを取るように(ft11196[at]ns.kogakuin.ac.jp)。

<参考ホームページアドレス>
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~ft11196/


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