2015年度工学院大学 第1部応用化学科

高分子合成化学(Synthetic Chemistry of Polymer)[1B22]

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2単位
小林 元康 教授  [ 教員業績  JP  EN ]
最終更新日 : 2016/01/21

<学位授与の方針>
1. 基礎知識の習得
2. 専門分野知識の習得
3. 汎用的問題解決技能
4. 道徳的態度と社会性
5. 創成能力

<授業のねらい>
身の回りにある合成高分子と生体高分子の事例を挙げるとともに、高分子の定義を理解する。基本的な合成高分子の合成方法として付加重合と逐次重合について学ぶとともに、身近にある高分子材料がどのような原料から合成され、化学構造式をもち、どのような性質を与えているのかを結びつけて理解することを目標とする。さらに高分子化学と環境問題との関わりについて学習する。

<受講にあたっての前提条件>
有機化学I、II、IIIを受講済み、またはこの講義と平行して受講していることが望ましい。

<具体的な到達目標>
(1)身の回りにある合成高分子と生体高分子の事例を挙げるとともに化学構造式で表わすことができる。
(2)逐次重合によるポリエステル、ポリアミド、フェノール樹脂などの合成法を化学式を用いて説明できる。
(3)付加重合により得られる代表的な合成高分子の化学構造式を用いて説明できる。
(4)ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合における素反応を説明できるとともにそれぞれの開始剤、モノマー、停止剤の具体例を挙げることができる。
(5)開環重合に用いられるモノマーと得られるポリマーの化学構造式と名称をのべることができる。
(6)ランダム、ブロック、グラフト共重合体の合成方法を述べることができる。
(7)環境問題に対して高分子合成はどのような貢献が可能か、自分の考えを持つ。

<授業計画及び準備学習>
事前に教科書の単元(下記にページ番号を示してある)を読んでおくこと。
1.高分子とは何か:定義と合成法の種類
    教科書p10-43
2.重縮合:ポリアミドとポリエステル
    教科書p75-94
3.重付加:ポリウレタンとポリウレア樹脂
    教科書p96-106
4.付加縮合:フェノール樹脂とエポキシ樹脂
    教科書p108-126
5.ラジカル重合:素反応と重合方法
    教科書p128-170
6.ラジカル共重合
    教科書p172-184

7.中間試験

8.試験の講評。アニオン重合
    教科書p206-217
9.アニオン重合:ブロック共重合体
    教科書p218-222
10.カチオン重合
    教科書p186-204
11.遷移金属触媒重合
    教科書p222-236
12.開環重合:ポリエーテル
    教科書p238-261
13.高分子反応とゲル
    教科書p304-320
14.無機高分子
    教科書p264-282
15.くらしと高分子:生分解性ポリマー
    教科書p322-351

<期末試験>

なお、毎回授業の最後に演習を行う。

<成績評価方法>
中間試験(配分50%)、期末試験(配分50%)で最終成績を評価、60点以上のものに単位を認める。
毎回の講義で演習問題を解答し提出してもらうが、成績には反映されない。

<教科書>
西久保忠臣 編「ベーシックマスター 高分子化学」 オーム社 ISBN978-4-274-21000-6

<参考書>
中條善樹、中健介 著「高分子化学 合成編」丸善 ISBN978-4-621-08259-1
高分子学会 編「基礎高分子科学」東京化学同人 ISBN978-4-8079-0635-2
蒲池幹治 著「高分子化学入門 高分子の面白さはどこからくるか」 エヌティーエス ISBN978-4-86043-124-2
齊藤勝裕、坂本英文 著「わかるXわかった!高分子化学」 オーム社 ISBN978-4-274-20842-3
大津隆行 著「改訂 高分子合成の化学」 化学同人 ISBN4-7598-0137-5
渡辺順次 編「分子から材料までどんどんつながる高分子」 丸善 ISBN-13: 978-4621081808
井上祥平 著「高分子合成化学(改訂版)」 裳書房
遠藤剛、三田文雄 著「高分子合成化学」 化学同人

<オフィスアワー>
木曜15:00-17:00八王子キャンパス 5号館202号室
水曜15:00-16:00新宿キャンパス 20階A-2066号室
事前にメールで問い合わせ下さい。小林:motokoba@cc.kogakuin.ac,jp

<学生へのメッセージ>
高分子とは身の回りにあるプラスチックだけではなく、私たちの身体自体が高分子でできています。すなわち高分子なくして私たちは存在できません。それだけ大切な物質がどのように作られ、その化学構造が材料の性質にどのように反映され、さらには私たちのくらしを支えているのかを知るためには「高分子合成化学」が不可欠な学問です。そして高分子化学の背景には有機化学や無機化学があること、さらには低環境負荷型社会を築く基礎学問となることを知って、次のステップ(卒業研究や大学院)に進んでほしい。


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