2015年度工学院大学 第1部応用化学科
生物学I(General Biology I)[6563]
2単位 鈴木 基文 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 生物学は、この世にある全ての生きもの(生命)の学問であり、分子生物学を基盤にした生命科学である。すべての生物(生命)は細胞からなり、その細胞は無生命の種々の分子の集まりであるが、生命特有の性質(生命の本質;Nature of Life)をもっている。本授業のねらいとしては、生命の本質となる自己複製する「遺伝子DNA」と二つになることを夢みる「DNAを包む細胞」にある普遍性と多様性の二面性を理解することである。すなわち、普遍性の例として、「一つの細胞」または「細胞の集合体」からなる生命が、 遺伝子DNAとその情報の流れの原理(生命のセントラルドグマ)を基礎にしていること、多様性の例として、地球誕生以来46億年の長い時間の中で、地球環境の変化とともに多様な生命が進化してきたことを理解する。
- <受講にあたっての前提条件>
- 生物学に関心があること。
- <具体的な到達目標>
- (1)生命には歴史(自然史)があり、多様性があることを理解する。(2)生命の分子的基礎となる生体分子は多様な化学構造をもつことを認識し、その生物学的意義を理解する。(3)生命の基本的姿である細胞のかたち(構造)を理解する。(4)細胞の基本的な働き(機能)である細胞の生存・分裂・増殖・分化を細胞周期、アポトーシス(細胞死)、がん化と関連させて、細胞レベル及び分子レベルで理解する。(5)細胞のもう一つの基本的な働き(機能)である細胞の物質代謝とエネルギー代謝の基本を理解し、地球環境問題と関連させて光合成と呼吸の仕組みを理解する。本授業によって、生命の基本単位である細胞の機能と生命の設計図である遺伝子DNAとの関わり合いについての基本的な知識を習得することができる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1. [はじめに] 本授業の概要を説明する。自然史(自然誌)、分子生物学の誕生から生命科学への発展について学ぶ。
2. [生命の歴史(1] 生命の起源、化学進化、そして生命(細胞)の誕生について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 160〜163を読んで理解しておくこと。 3. [生命の歴史(2)] 地質時代と関連させて、細胞進化および生物進化、ヒトの進化の概要について学ぶ。環境変化による生物の大絶滅と進化の関係について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 164〜167、179〜181を読んで理解しておくこと。 4. [生体分子(1)] 核酸(DNA、RNA)およびタンパク質の基礎化学およびそれらの生物学的意義について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 1〜11、pp. 27〜30 を読んで理解しておくこと。 5. [生体分子(2)] 遺伝子DNAの情報の流れ(DNA→RNA→タンパク質)の原理(生命のセントラルドグマ)の重要性について、遺伝暗号の読み方演習も含めて学ぶ。 準備学習:テキストpp. 32〜38を読んで理解しておくこと。 6. [生体分子(3)] 細胞膜の構成成分として重要な脂質と糖鎖の基礎化学および膜タンパクの生物学的意義について学ぶ。 準備学習:前回でプリントを配布するので、読んで理解しておくこと。 7. [細胞(1)] 細胞学の歴史を踏まえて、原核細胞と真核細胞およびオルガネラの構造と機能について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 74〜79を読んで理解しておくこと。 8. [細胞(2)] 細胞増殖の基本である細胞分裂(有糸分裂)と減数分裂の細胞レベル機構について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 86〜88を読んで理解しておくこと。 9. [細胞(3)] 細胞分裂調節機構の細胞周期について、遺伝子の複製と関連させて学ぶ。 準備学習:テキストpp. 84〜86を読んで理解しておくこと。 10. [細胞(4)] 細胞のアポトーシス(細胞死)およびがん化について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 89〜90、テキストpp. 109〜110、p. 116を読んで理解しておくこと。 11. [細胞(5)] 動物の初期発生における細胞分化および造血系細胞分化について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 97〜102を読んで理解しておくこと。 12. [代謝(1)] 生体触媒の酵素と遺伝子との関係および物質やエネルギー代謝の通貨であるATPについて学ぶ。 準備学習:テキストpp. 49〜51を読んで理解しておくこと。 13. [代謝(2)] 糖代謝、呼吸および光合成について学ぶ。 準備学習:テキストpp. 51〜62を読んで理解しておくこと。 14. [代謝(3)] 生態系における炭素循環および窒素循環について学ぶ。 準備学習:前回でプリントを配布するので、読んで理解しておくこと。 15. 学習成果の確認(試験) 準備学習:前回までの総復習を行う。
- <成績評価方法>
- 理解度をみるための中間テスト(1回)(レポート形式で、問題用紙配布後、指定した日に答案を提出する)および定期試験の結果を総合的(原則として中間テスト2:定期試験8の割合)に評価し、60点以上の者に単位を認める。
- <教科書>
- 「生命科学入門」丸山工作、丸山 敬 著(東京教学社)
- <参考書>
- 「指定参考書なし」
授業にて紹介致します。
- <オフィスアワー>
- 授業終了後、教室にて質問を受けます。
- <学生へのメッセージ>
- テキストとプリントを中心に授業を行います。授業で、生物学に関する時事ニュース、有名な科学者の伝記、科学の啓蒙書などを紹介し、生物学に興味をいだくきっかけをつくりたいと思っています。原則として毎回、授業のテーマに関する基本用語の理解度テストを行います。基本用語については、定期試験で再確認いたしますので、復習しておいてください。
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