2015年度工学院大学 第1部応用化学科
地学II(General Earth Science II)[5462]
2単位 野津 憲治 非常勤講師
- <授業のねらい>
- 「地学」は「地球科学」と呼ばれることも多く,われわれ人類が生活する場である地球や太陽系、さらに宇宙についての理解を深め、そこで過去から現在までに起きている現象の法則性や原因を探り、将来の地球環境を見通す学問である。地学は我々の好奇心を満足させるばかりか,人類が持続的に発展するために必要な知識を提供する学問であり,受講者ひとりひとりが地学の基礎知識を身につけ、自分なりの地球観、宇宙観を持ち、身の回りで起きる地学現象に関わる問題を考えて解決できる能力を養う。前期の「地学T」と後期の「地学U」で地学全体をカバーするので、両方受講することが好ましい。後期の「地学U」では、地学の中でも主に地質学(地球史)、大気水圏の地球科学、地球環境の分野を扱う。
- <受講にあたっての前提条件>
- とくに前提条件は設けない。地学Tを履修しなくても履修できる。
- <具体的な到達目標>
- 講義を通して地球や宇宙の成り立ちや仕組みを系統的に理解すると,地球や宇宙についてのより次元の高い見方が出来るようになり、資源、環境,自然災害などの人類の生存に深く関わる問題に対応できるようになる。
- <授業計画及び準備学習>
- 1.(ガイダンス、および)地球の誕生と直後の分化:
星間ガスから太陽系形成。微粒子から微惑星、原始惑星への成長。地球誕生時の大規模溶融。 核−マントル分離 準備学習:教科書のp.18, 19, 38, 136, 138を読んでおくこと 2.大気、海洋の誕生: 原始大気の起源と化学組成。初期脱ガスの証拠。原始海洋の誕生。大気、海水組成の時間変化 準備学習:教科書のp.19, 136, 138を読んでおくこと 3.生命の誕生と進化、生物活動の地球環境への影響: 生命の起源を調べる方法。最古の化石と進化系統樹。化学進化からのアプローチ。 単細胞生物から多細胞生物へ。生物活動による地球環境変化 準備学習:教科書のp.132-133, 136, 138-139を読んでおくこと 4.年代測定と地質時代区分: 地層の対比と年代測定。放射年代測定法。地球史の地質時代区分。生物大量絶滅 準備学習:教科書のp.132-137を読んでおくこと 5.先カンブリア時代、古生代の地球: 誕生直後の地球。地球の長期的変動を起こす要因。先カンブリア時代(固体地球の変化、 大気海洋生物圏の変遷)。古生代(カンブリア紀、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、 石炭紀、ペルム紀) 準備学習:教科書のp.132, 136-141を読んでおくこと 6.中生代、新生代の地球: 中生代の自然環境。、中生代の生物進化(トリアス紀、ジュラ紀、白亜紀)。 新生代(古第三紀、新第三紀、第四紀)。人類の進化 準備学習:教科書のp.133, 136-137, 142-147を読んでおくこと 7.日本列島の地質と形成史: 日本列島の地形とプレート分布。島弧−海溝系に特有な現象。日本列島の地質構造。 日本列島の起源と形成史 準備学習:教科書のp.71, 76-83, 96, 148-151を読んでおくこと 8.大気圏の構造と組成、地球の熱平衡: 大気圏の鉛直構造。大気の化学組成。成層圏オゾン層。地球の熱収支と大気による温室効果 準備学習:教科書のp.152-153, 158-159を読んでおくこと 9.大気の流れと大循環、大気中の水: 大気の流れ:風。大気の大循環。大気中の水蒸気と雲や雨。10種類の雲形 準備学習:教科書のp.154-157, 160-163, 167を読んでおくこと 10.気象現象、天気と天気図: 気圧と天気図。気団と前線。高気圧と低気圧。様々な気象現象。日本の天気 準備学習:教科書のp.153, 164-173, 180を読んでおくこと 11.地球における水循環と水圏の化学組成: 地球上の水の分布と循環。天水、陸水の化学組成。海水の化学組成。海水温度, 塩分の緯度変化と鉛直分布。海水溶存成分濃度の鉛直分布 準備学習:教科書のp.174-175を読んでおくこと 12.海水の大循環、波と潮汐: 海水の表層循環:海流。海水の深層循環。エルニーニョ現象とラニーニャ現象。海の波。 潮汐と潮流 準備学習:教科書のp.175-179, 183を読んでおくこと 13.人間活動による地球環境変化: 局地的環境汚染から地球環境問題へ。地球温暖化。成層圏オゾン層の破壊。 森林の現象と砂漠化。環境放射能汚染 準備学習:教科書のp.184-189を読んでおくこと 14.古環境の復元と将来の地球環境: 古環境の推定方法。過去1000年の気温変化。氷床コアを用いる過去数10万年の古環境推定。 過去350万年の古気候。地球形成以来の地球環境のまとめ。将来の地球環境 準備学習:教科書のp.32, 135, 147を読んでおくこと 15.学習成果の確認(試験) 準備学習:前回までの総復習をおこなうこと
◯ 毎回の講義では、最後の15〜20分を使ってまとめの小テストを行い、その日の出席の確認も兼ねて講義内容の理解度を確かめる。小テストの解説は翌週の講義の最初に行うとともに、添削して各自に返却し、学生の復習に役立てる。 ◯毎回の講義内容はKuportの電子教材に掲載し、復習に役立てる。
- <成績評価方法>
- 第15回目に行う試験の得点と、試験得点60%+毎回の小テスト結果40%で計算した得点とを比べ、高得点の方をその学生の成績とする。
- <教科書>
- ニューステージ「新地学図表」浜島書店(2014) 790円 講義資料を配布する代わりに、この本の図表を講義資料として使用する。
(昨年度使用した教科書の改訂版であるので,必ず新たに購入すること)
- <参考書>
- 西村裕二郎ほか「基礎地球科学」(第2版)朝倉書店(2010)
小倉義光「一般気象学」(第2版)東京大学出版会(1999) 池谷仙之、北里洋「地球生物学」東京大学出版会(2004) ポール・R・ピネ「海洋学」(原著第4版)東海大学出版会(2010) 不破敬一郎、森田昌敏「地球環境ハンドブック」(第2版)(2002) 野津憲治「宇宙・地球化学」朝倉書店(2010) 国立天文台「理科年表」丸善(2014)
- <オフィスアワー>
- 講義開始前、終了後、八王子キャンパス非常勤講師室
E-mailでのやりとりもできます:notsu@cc.kogakuin.ac.jp
- <学生へのメッセージ>
- 地学は、われわれが生活する地球環境の過去から現在の姿を知り、将来を思い描く学問です。われわれの知的好奇心を満足させるだけではなく、人類が持続的に生存していく術を学び取る学問です。皆さんが将来の地球環境についての問題意識を持って勉強することを期待します。前期の地学1、夏期集中の地学実験も受講することを勧めます。
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