2015年度工学院大学 第1部応用化学科

地学I(General Earth Science I)[5461]

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2単位
野津 憲治 非常勤講師  
最終更新日 : 2016/01/21

<授業のねらい>
「地学」は「地球科学」と呼ばれることも多く,われわれ人類が生活する場である地球や太陽系、さらに宇宙についての理解を深め、そこで過去から現在までに起きている現象の法則性や原因を探り、将来の地球環境を見通す学問である。地学は我々の好奇心を満足させるばかりか,人類が持続的に発展するために必要な知識を提供する学問であり,受講者ひとりひとりが地学の基礎知識を身につけ、自分なりの地球観、宇宙観を持ち、身の回りで起きる地学現象に関わる問題を考えて解決できる能力を養う。前期の「地学T」と後期の「地学U」で地学全体をカバーするので、両方受講することが好ましい。前期の「地学T」では、地学の中でも主に天文学、固体地球科学の分野を扱う。

<受講にあたっての前提条件>
とくに前提条件は設けない。地学を勉強したい学生は誰でも受講できる。

<具体的な到達目標>
講義を通して地球や宇宙の成り立ちや仕組みを系統的に理解すると,地球や宇宙についてのより次元の高い見方が出来るようになり、資源、環境,自然災害などの人類の生存に深く関わる問題に対応できるようになる。

<授業計画及び準備学習>
1.(ガイダンスおよび)宇宙の構造と起源:
   宇宙の構成要素。銀河と銀河系。宇宙の階層構造。観測できる宇宙の果て。宇宙の誕生と膨張
  準備学習:教科書のp.6-15を読んでおくこと
2.恒星の性質と分類:
   天球の座標。恒星までの距離。明るさ(等級)と色、スペクトル型。
   HR(ヘルツシュプルング・ラッセル)図。連星と変光星,星団   
  準備学習:教科書のp.11, 36-39, 42-47を読んでおくこと
3.恒星の進化と宇宙物質循環:
   星間ガスの収縮による恒星の誕生。恒星の進化と元素合成。いろいろな元素合成の核反応。
   恒星の一生と宇宙物質循環。宇宙の化学進化
  準備学習:教科書のp.35, 38-41, 44-45を読んでおくこと
4.太陽系の構造と形成、太陽の姿と活動:
   太陽系の構造と広がり。太陽系を構成する天体と物質。太陽系の形成。太陽の姿と表面現象。
   11年周期の太陽活動
  準備学習:教科書のp.16-19, 25-27, 30-35を読んでおくこと
5.惑星、月、隕石:
   惑星の姿と公転,自転。惑星の内部構造と大気組成。惑星ごとの特徴。地球の衛星:月。
   隕石と小惑星
  準備学習:教科書のp.16-29を読んでおくこと
6.地球、惑星の運動と地球の物理学的特徴:
   地球の自転と公転。惑星の運動。地球の大きさと形。地球の重力。地磁気と熱流量
  準備学習:教科書のp.48-53, 56-61, 66を読んでおくこと
7.地球の内部構造と構成物質:
   内部構造を調べる方法。地震波走時曲線による内部構造推定。密度成層構造と構成物質。
   海洋地殻と大陸地殻,プレート。マントルの三次元構造
  準備学習:教科書のp.62-65を読んでおくこと
8.鉱物:天然物質の最小構成要素:
     岩石と鉱物。鉱物の性質。鉱物の結晶化学。鉱物の分類。造岩鉱物
   準備学習:教科書のp.102-107を読んでおくこと
9.岩石(T)火成岩:
   岩石の分類。火成岩の産状。火成岩の組織と分類、化学組成。マグマの発生・上昇・固化。
   マグマの多様性を生む現象    
  準備学習:教科書のp.96-101, 126を読んでおくこと
10.岩石(U)堆積岩と変成岩:
   堆積岩の生成過程。堆積物の種類と堆積岩。変成作用。変成岩。岩石の循環     
  準備学習:教科書のp.108-115, 122-123, 126を読んでおくこと
11.プレートテクトニクス:
   大陸移動説から海洋底拡大説へ。プレートテクトニクス。プレート拡大(発散)境界。
   プレート収束境界。プルームテクトニクス
  準備学習:教科書のp.67-73, 120-121を読んでおくこと
12.地震現象、活断層:
   地震の発生。マグニチュードと震度,震源距離。地震の分布と種類。地震に伴う現象。
   地震災害と地震防災。活断層
  準備学習:教科書のp.74-87, 118, 121を読んでおくこと
13.火山活動(マグマ活動):
   火山活動と火山の表面現象。火山の分布と火山地形。火山噴火と火山噴出物。
   火山災害、火山の恩恵。噴火予測と火山防災
  準備学習:教科書のp.88-97を読んでおくこと
14.地球の資源:
   地球資源問題。エネルギー資源。日本のエネルギー供給。鉱物資源。日本の鉱物資源
  準備学習:教科書のp.124-125, 190-191を読んでおくこと
15.学習成果の確認(試験)
  準備学習:前回までの総復習をおこなうこと

◯ 毎回の講義では、最後の15〜20分を使ってまとめの小テストを行い、その日の出席の確認も兼ねて講義内容の理解度を確かめる。小テストの解説は翌週の講義の最初に行うとともに、添削して各自に返却し、学生の復習に役立てる。
◯毎回の講義内容はKuportの電子教材に掲載し、復習に役立てる。

<成績評価方法>
第15回目に行う試験の得点と、試験得点60%+毎回の小テスト結果40%で計算した得点とを比べ、高得点の方をその学生の成績とする。

<教科書>
ニューステージ「新地学図表」浜島書店(2014) 790円 講義資料を配布する代わりに、この本の図表を講義資料として使用する。
(昨年度使用した教科書の改訂版であるので,必ず新たに購入すること)

<参考書>
西村裕二郎ほか「基礎地球科学」(第2版)朝倉書店(2010)
尾崎洋二「宇宙科学入門」(第2版)東京大学出版会(2010)
東京大学地震研究所「地球科学の新展開」朝倉書店(1,2巻:2002, 3巻:2003)
野津憲治「宇宙・地球化学」朝倉書店(2010)
国立天文台「理科年表」丸善(2014)

<オフィスアワー>
講義開始前、終了後、八王子キャンパス非常勤講師室
E-mailでのやりとりもできます:notsu@cc.kogakuin.ac.jp

<学生へのメッセージ>
地学は、われわれが生活する地球環境の過去から現在の姿を知り、将来を思い描く学問です。われわれの知的好奇心を満足させるだけではなく、人類が持続的に生存していく術を学び取る学問です。皆さんが将来の地球環境についての問題意識を持って勉強することを期待します。後期に開講される地学U、夏期集中の地学実験も受講することを勧めます。


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